山梨大学電子シラバス>検索結果一覧>授業データ



授業科目名 データサイエンス応用及び演習
時間割番号 UCS202
担当教員名 小澤 賢司
開講学期・曜日・時限 前期・金・III 単位数 2
<対象学生>
工学科2年次以上
<授業の目的>
 1年次科目「データサイエンス入門」では,記述統計学(データを整理し,要約し,視覚化するための手法)を学んだ。その知識に基づいて,本科目では,推測統計学(サンプルデータを基にして母集団全体について推論を行うための方法)を学ぶ。その背景として,コンピュータ理工学コースでは,卒業研究としてユーザインタフェースの評価のために被験者による心理学的実験を行う場合がある。このとき個人による評価は同一刺激に対しても繰返しでばらつき,また個人差もある。このようなバラツキのあるデータから意味のある結論を得るための道具として,推定・検定・分散分析を使いこなす力を修得することを目的とする。
 さらに,本講義の後半では,今日のコンピュータ・ユーザ・インタフェースとして必須の技術である音声認識・合成の基礎となる音響信号処理を学ぶ。かつて,音声認識・合成システムは,音響学的な技術を集積して構築するものであった。今日では,機械学習に基づくEnd-to-end(音声/テキストを入力として直接テキスト/音声を出力する)システムが主流である。そのシステム構築を理解するための基礎知識を取得するために,音声を含む音一般の分析する方法を修得する。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
工学部>工学科向け
記号コンピテンシー(能力・資質)説明 
工-A専門③数理データ分析力ICT等により多様な情報を適切に収集し数理的に分析
工-B⑦理解力・判断力自然現象や社会的事象を理解・分析
工-C⑧論理的思考力問題や課題を論理的思考で解決
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
工学
1統計的推定の基礎を理解し,実際に区間推定を実施できること工-A
2統計的検定の概念を理解し,t検定など代表的な検定を実施できること工-A
3分散分析の手法の基礎を理解し,実際に実施できること工-C
4音声認識・合成の基礎となる音響信号処理の基礎を理解し,実際に実施できること工-B
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
120%標本抽出の概念を説明でき区間推定を実施できるか,毎講義の小テスト/期末試験とレポートにより評価
230%t検定など代表的な検定を実施できるか,毎講義の小テスト/期末試験とレポートにより評価
320%分散分析を実施できるか,毎講義の小テスト/期末試験とレポートにより評価
430%音響信号処理を実施できるか,毎講義の小テスト/期末試験により評価
合計100% 
<授業の方法>
【基本事項】
-「データサイエンス入門」を履修済みであること
【授業実施】
- 毎回小テストを実施することで,その授業における理解度を自覚する機会をもつ
- Pythonを用いた演習を行い,理解したことをプログラムとして実装する経験を積む
<受講に際して・学生へのメッセージ>
卒業研究では,ユーザインタフェースをはじめとした各種システムを構築する場合が多くあります。一般に「新しいシステムを構築しました」で終わることはなく,「評価した結果から,既存のシステムより優れている」ことを示す必要があります。その評価では,統計学的な有意性を明らかにすることが求められます。この機会に,その評価の道具である検定・推定・分散分析を修得しましょう。また,私達の身の回りには多くの時系列データがあることに気付き,その解析のための基本的手法を修得しましょう。
<テキスト>
(未登録)
<参考書>
  1. 小寺平治著, ゼロから学ぶ統計解析 第10刷, 講談社, ISBN:4061546562,
    (2007年出版 ゼロから学ぶシリーズ)

  2. 谷合廣紀著, Pythonで理解する統計解析の基礎, 技術評論社, ISBN:4297100495,
    (2018年出版 Python × math series)
<授業計画の概要>
1タイトル推定の基礎(母集団と標本抽出,標本分布)
事前学習
事後学習
事前学習:教科書の該当ページを閲読
事後学習:授業内容の振り返り
授業内容・母集団と標本抽出の概念について解説
・標本分布の平均と分散について解説
2タイトル統計的推定(信頼区間,母平均の推定)
事前学習
事後学習
事前学習:教科書の該当ページを閲読
事後学習:授業内容の振り返り
授業内容・区間推定の概念について解説
・母平均および母比率に関する信頼区間の算出法について解説
3タイトル統計的推定(母分散,母比率の推定)
事前学習
事後学習
事前学習:教科書の該当ページを閲読
事後学習:授業内容の振り返り
授業内容・母比率及び母分散に関する信頼区間の算出法について解説
4タイトル正規分布に関する演習
事前学習
事後学習
事前学習:Pythonの文法の確認
事後学習:レポート課題を解いて提出
授業内容・Pythonを用いての正規分布理解
・受講生がプログラムをつくり演習レポート作成
5タイトル区間推定に関する演習
事前学習
事後学習
事前学習:Pythonの文法の確認
事後学習:レポート課題を解いて提出
授業内容・Pythonを用いて区間推定する技術を修得
・与えられたデータに対して受講生がプログラムをつくり演習レポート作成
・二項検定について解説
6タイトル仮説検定(帰無仮説,有意水準,棄却域,両側・片側検定,母平均の検定)
事前学習
事後学習
事前学習:教科書の該当ページを閲読
事後学習:授業内容の振り返り
授業内容・t検定に関して解説
7タイトル仮説検定(母分散の検定,等分散の検定)
事前学習
事後学習
事前学習:教科書の該当ページを閲読
事後学習:授業内容の振り返り
授業内容・χ^2検定に関して解説
8タイトル仮設検定に関する演習
事前学習
事後学習
事前学習:Pythonの文法の確認
事後学習:レポート課題を解いて提出
授業内容・Pythonを用いて仮説検定する技術を修得
・与えられたデータに対して受講生がプログラムをつくりレポート作成
9タイトル分散分析(1次元実験配置,分散分析表)
事前学習
事後学習
事前学習:配付資料を閲読
事後学習:授業内容の振り返り
授業内容・分散分析の概念について解説
・1元配置分散分析表の構成法に関して解説
10タイトル分散分析に関する演習(2次元実験配置への導入を含む)
事前学習
事後学習
事前学習:Pythonの文法の確認
事後学習:レポート課題を解いて提出
授業内容・Pythonを用いて分散分析する技術を修得
11タイトル音声信号処理学習の導入,A/D変換,波の数式表現
事前学習
事後学習
・事前学習:配付プリント閲読
・事後学習:講義内容の集約レポート作成(A4判1ページ)
授業内容・A/D変換(標本化,量子化,符号化)に関する解説
・正弦波形の数式表現(振幅,周波数,位相)に関する解説
12タイトルフーリエ級数展開・スペクトル
事前学習
事後学習
・事前学習:配付プリント閲読
・事後学習:講義内容の集約レポート作成(A4判1ページ)
授業内容・フーリエ級数展開の概念(周期波形の基本波+高調波による分解・合成)について解説
・振幅/位相スペクトルに関する解説とスペクトルを考えることのメリットの確認
13タイトル離散フーリエ変換
事前学習
事後学習
・事前学習:配付プリント閲読
・事後学習:講義内容の集約レポート作成(A4判1ページ)
授業内容・離散時間信号に対する離散フーリエ変換に関する解説
・アナログ信号とディジタル信号のスペクトルの関係について解説
14タイトル音声認識・合成の基礎
事前学習
事後学習
・事前学習:配付プリント閲読
・事後学習:講義内容の集約レポート作成(A4判1ページ)
授業内容・人間における音声の生成過程と母音のフォルマントによる認識に関する解説
・音声情報の圧縮と合成手法に関する解説
15タイトル最終評価(総括とまとめ)
事前学習
事後学習
事前学習:第1~14回の内容の復習
事後学習:期末試験に関する解説を受けての振り返り
授業内容・記述式の期末試験に取り組んだ後,略解を見ながら自己採点
・授業担当教員から出題意図の解説や,誤りやすい点に関して注意
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
・担当教員は被験者を用いた音響心理学実験を多数実施し,そのデータを統計解析して論文執筆した経験を有している。また,音響信号処理に関する研究を実施しており,専門書籍も執筆している。
・基礎知識をいかに現場の問題に応用するかの実例をできるだけ多く取り入れ、知識を活用する能力を習得させる。
<前年度授業に対する改善要望等への対応>
新規開設科目につき該当しない
<備考>
(未登録)