山梨大学電子シラバス>検索結果一覧>授業データ



授業科目名
ヒトの体と病気
担当教員
小田 賢幸/高垣 堅太郎/篠原 良章
時間割番号
単位数
履修年次
期別
DMA117 1 1 前期
<授業の概要>
医学の学習は解剖学、生理学など正常なヒトの体の構造と機能を理解することから始まる。その一方で、学び始めにはそれがどのように病気の診断や治療に役立つのかが見えにくいため、学生の意欲が高まりにくいことが指摘されている。本講では、臨床各科の第一線で活躍している臨床医による疾患講義を展開し、医学を学習する上でのモチベーションを高めることを目的とする。適宜、解剖学や生理学にも触れ、今後の医学を学ぶ上での基礎医学の重要性を理解し、学習の動機づけとなることを目指す。具体的な目標のひとつとして、重要な疾患群を大まかに理解し、医学生の視点で第三者に説明できるようになることを定める。最終回では、学生が医師役・患者役に分かれて外来診療の寸劇を演じ、より現実に近い形で疾患と向き合う機会を設ける。

科目が属する学問分野の概要と関連性
本科目は医学の中でも「基礎医学」と「臨床医学」を橋渡しする役割を持つ。人体の正常構造・機能を理解する基礎医学と、実際の診断・治療を担う臨床医学の両方に関連し、疾患の発生機序や診療の基本的な流れを学ぶことで、医学全体の体系的な理解を促す。特に、解剖学や生理学といった基礎医学の知識が、臨床の現場でどのように応用されるかを実感する機会を提供する。

科目や学問分野と社会との関連性
医学は社会と密接に関わる学問であり、疾病の理解とその診療は健康維持・医療制度・福祉政策など多くの分野と関連する。本科目を通じて、医療の現場で求められる実践的な知識とともに、社会における医師の役割や医療のあり方について考える機会を提供する。また、医療は科学技術の発展とともに進歩しており、現代の医療課題を理解することは、社会全体の健康増進にもつながる。

科目と4テーマの社会課題との関連性
本科目は以下の4つの社会課題と密接に関連する。

人間と文化
医学は単なる科学的知識の蓄積ではなく、患者との共感や倫理的判断が求められる分野である。本科目では、医師と患者の関係、インフォームドコンセントの重要性を学び、医療現場におけるコミュニケーション能力の向上を図る。

環境と人間
疾患の多くは生活環境と密接に関係しており、例えば公害病や生活習慣病などは環境要因が大きく関与する。本科目では、こうした疾病の背景を学ぶことで、健康と環境の相互作用についての理解を深める。

産業と社会
医療技術の進歩や医薬品開発、医療機器の発展は、産業と社会の発展と密接に関連している。放射線診断や人工臓器移植などの先端医療について学ぶことで、医学の社会的役割を理解する。

平等と公正
医療へのアクセスには地域や経済格差が影響を及ぼし、医療倫理や公衆衛生の観点からも重要な課題である。本科目では、医療の公平性や患者の権利についても考察し、医療者としての社会的責任を学ぶ。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
医学部>医学科向け
記号コンピテンシー(能力・資質) 
A専門2.医学的知識、基本的な診療能力及び患者個々に応じた適切な対応能力
B4.生涯にわたり学び、地域医療及び国際医療・社会に継続的に貢献する姿勢
<到達目標>
目標NO説明コンピテンシーとの対応
医学
1正常と異常に関して疾患と関連づけながら自分の意見を述べられる。A
2講義で扱った主な病気に関して簡単に説明できる。A
3講義内容に関して疑問に感じたことを探求できる。B
4講義で扱った病気に関してどのような医学研究が行われているか説明できる。A
<成績評価方法>
目標No割合評価の観点
125%レポートおよび発表により「正常と異常に関して疾患と関連づけながら自分の意見を述べられる」か否かを判定する。
225%レポートおよび発表により「講義で扱った主な病気に関して簡単に説明できる」か否かを判定する。
325%レポートおよび発表により「講義内容に関して疑問に感じたことを探求できる」か否かを判定する。
425%レポートおよび発表により「講義で扱った病気に関してどのような医学研究が行われているか説明できる」か否かを判定する。
合計100% 
<授業計画>
基本的に臨床の第一線で活躍している臨床医の講義である。第1回と最終回はコーディネーターの解剖学講座の教授が導入、総括を行う。

[日程]
[1]2025/4/17(木) 10:40~12:10 導入:病気とは何か   小田 賢幸(解剖学講座構造生物学)
[2]2025/4/24(木) 10:40~12:10 消化管の病気       市川 大輔(外科学講座第1教室)
[3]2025/5/1 (木) 10:40~12:10 肝胆膵の病気       高本 健史(東京大学肝胆膵・人工臓器移植外科)
[4]2025/5/8 (木) 10:40~12:10 女性生殖器の病気       吉野 修 (産婦人科学)
[5]2025/5/15(木) 10:40~12:10 脳の病気       吉岡 秀幸(脳神経外科学)
[6]2025/5/22(木) 10:40~12:10 泌尿器および男性生殖器の病気 三井 貴彦(泌尿器科学)
[7]2025/5/29(木) 10:40~12:10 運動器の病気         芦沢 知行(整形外科学)
[8]2025/6/5 (木) 10:40~12:10 皮膚の病気          三井 広 (皮膚科学)
[9]2025/6/12(木) 10:40~12:10 循環器の病気(オンライン)  島田 悠一(米国コロンビア大学循環器内科)
[10]2025/6/19(木) 10:40~12:10 放射線科の診断(オンライン) 西澤 光生(順天堂大学放射線科)
[11]2025/6/26(木) 10:40~12:10 呼吸器の病気        副島 研造(内科学講座呼吸器内科)
[12]2025/7/3 (木) 10:40~12:10 アレルギー性疾患      櫻井 大樹(耳鼻咽喉科・頭頸部外科学)
[13]2025/7/10(木) 10:40~12:10 造血・免疫系の病気     犬飼 岳史(小児科学)
[14]2025/7/17(木) 10:40~12:10 視覚器の病気        柏木 賢治(眼科学)
[15]2025/7/24(木) 10:40~12:10 総括:寸劇発表       小田 賢幸/篠原 良章(解剖学講座)


【担当講座】
山梨大学医学部附属病院
呼吸器内科, 小児科, 皮膚科, 外科学講座第1教室(消化器外科), 整形外科, 脳神経外科, 産婦人科, 泌尿器科, 眼科, 頭頸部・耳鼻咽喉科

【非常勤講師】
高本健史 東京大学医学部肝胆膵・人工臓器移植外科 講師・医局長
西澤光生 順天堂大学医学部 放射線診断学講座 特任准教授
島田悠一 コロンビア大学メディカルセンター循環器内科 准教授

【コーディネーター】
小田賢幸 山梨大学医学部 解剖学講座構造生物学教室 教授
篠原良章 山梨大学医学部 解剖学講座システム生物学教室 教授

〈授業形態について〉
本科目は対面授業を基本とする。授業はおよそ60分の講義と30分の質問・議論から構成される。
学生を各講義に対応する13グループに分ける。各グループは担当する講義回において必ず一人1回講師に質問する義務を負う。事前に掲示される講義資料を予習し、講師への質問を用意しておくこと。
各講義の終わりにレポート課題を提示するので翌週の講義までに提出すること。すべてのレポートが提出されない限り単位は与えられない。
各講義に対応して、グループごとに症例シナリオが与えられる。最終回では、各グループが担当する症例シナリオに沿って5分程度のインフォームドコンセントの寸劇を演じてもらう。
最終回の寸劇が終了後、総まとめとして最終レポートを提出してもらう。
<教科書>
(未登録)
<参考書>
  1. 坂井建雄, 河原克雅総編集, カラー図解人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版, 改訂第4版, 日本医事新報社, ISBN:9784784931811,
    (2021年出版)
[実務経験のある教員による授業科目の概要]
基本的に臨床の第一線で活躍している臨床医の講義である。
[前年度授業に対する改善要望等への対応]
寸劇の内容を詳しく指示してほしいという意見が多かったので、第一回の講義にて詳細な説明を行う。