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授業科目名 学習のためのユニバーサルデザイン
分類社会科学
時間割番号 CKJ014 A
担当教員名 永田 真吾
開講学期・曜日・時限 1Q・月・IV 単位数 1
<対象学生>
2025以降入学生(教・医)
<授業の目的>
近年,急速なICTの発展・オンライン教育の拡充により,学習環境は大きく変革を遂げている。一方で,学習者のバックグラウンドや身体的・認知的特性の多様化が進み,すべての学生が等しく学習機会を得られる仕組みづくりが急務である。こうした背景のもと,本授業では「学びのユニバーサルデザイン(UDL)」の理念を学びつつ,ICT機器やアシスティブテクノロジーを積極的に活用した教育方法を検討する。具体的には,UDLの3原則(Engagement・Representation・Action & Expression)を総合的に理解し,多様な学習者のニーズに応える授業設計や教材開発,評価法の実践力を身につけることを目指す。これにより,誰もが学習しやすい環境を創出するとともに,予期せぬ事態や学習形態の変化にも対応できる柔軟な教育者・支援者を育成することが本授業の目的である。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
全学共通教育科目向け
記号コンピテンシー(能力・資質)説明 
N-A共通多様な人々と調和する力(調和)人や社会の多様性に対する知識と理解を基に自己や社会のあり方について相対的視点を持ち、自らの言葉(日本語、英語)で的確に論評・伝達することで、多様な人々と共働する基礎力を備える
N-B共創により問題を解決する力(共創)問題設定、多様な解決方法の案出と検討、実現可能な計画の立案、計画に従った問題解決、解決方法や計画の改善などを他者と共働して行う力を備える
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
共通
1UDLの背景理論と3つの原則を説明し,学習者の多様性に対応した学習環境の設計のポイントを説明できる。N-A
2ICT機器やATの特徴や活用事例を踏まえ,自身の授業や支援場面に応用できる具体的な手立てを考案・提案できる。N-B
3UDLの考え方を実際の教材・指導案に取り入れ,実践の問題点や改善策を検討・共有する。N-B
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
130%小レポート・小テスト:講義内容の理解度や振り返りレポート。
240%ワークショップ・グループワーク:ICT・ATを取り入れた教材・指導案の完成度と創意工夫,ディスカッションへの積極性。
330%最終発表とレポート:UDLの3原則を活かした総合設計と活用提案の論理性・実現可能性。
合計100% 
<授業の方法>
講義により,UDLおよびICT・ATの基礎理論や導入事例を解説し,理解を深める。また,ワークショップ形式にて実機やソフトウェアを活用しながら,UDL的視点での教材開発やアクティビティを実践的に学ぶ。実践事例や学習者特性を想定した演習課題に対して,グループディスカッションにより解決策やアイデアを検討し合う。グループまたは個人で作成した指導案・教材案を発表し,相互にフィードバックを行う。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
みなさんが大学生活をスタートするにあたり,学び方や教育のあり方について考える機会はまだ少ないかもしれません。しかし,いま私たちを取り巻く社会や教育現場では,学習環境の急速な変化や多様なニーズへの対応が求められています。本授業では「誰にとっても学びやすい環境づくり」を目指すユニバーサルデザインの考え方をもとに,ICT機器やアシスティブテクノロジーの活用事例も取り上げながら,実践的に学んでいきます。大学生としての視点は,むしろ新鮮な意見やアイデアを生み出す大きな強みになります。授業を通じて,自分の学習スタイルを見つめ直すと同時に「より多くの人が学びやすい仕組み」を一緒に考えてみましょう。
<テキスト>
(未登録)
<参考書>
  1. トレイシー・E・ホール, アン・マイヤー, デイビッド・H・ローズ編 ; バーンズ亀山静子訳, UDL学びのユニバーサルデザイン : クラス全員の学びを変える授業アプローチ, 東洋館出版社, ISBN:9784491035086,
    (2018年出版)

  2. 阿部利彦編著, 決定版!授業のユニバーサルデザインと合理的配慮 : 子どもたちが安心して学べる授業づくり・学級づくりのワザ, 金子書房, ISBN:4760828397,
    (2017年出版)

  3. 桂聖 [ほか] 編著, 多様な学び方が生きる授業 : 学びのエキスパートを育てるUDL, 東洋館出版社, ISBN:4491039488,
    (2020年出版 授業のユニバーサルデザイン : 教科教育に特別支援教育の視点を取り入れる, Vol.12)
<授業計画の概要>
1タイトルオリエンテーション・UDLの概要
事前学習
事後学習
事前課題に取り組む。
授業で紹介されたキーワードを整理し,疑問点をリストにしておく。
授業内容・シラバスの説明(目的・目標・評価方法)
・UDLの基本概念や背景(インクルーシブ教育との関連)
・多様な学習者のニーズに対応する教育デザインの意義
・ICT・AT活用の必要性やメリットの概要
2タイトルUDLの背景理論:認知科学・神経科学と学習者の多様性
事前学習
事後学習
配布資料の熟読。
自分自身の学習経験で感じた困難点やそれに対して有効だった工夫を,UDLの観点から振り返る。
授業内容・認知科学・神経科学が示す学習の多様性の要因(学習スタイル,個人差など)
・UDLの3つの原則と脳の働きとの関係
・多様な学習者を想定した学習環境整備(物理的・心理的側面)の視点
3タイトルUDLの3つの原則(1):Multiple Means of Engagement(関心・動機づけ・学習意欲)
事前学習
事後学習
自分が強くモチベーションを感じた学習体験を3つ挙げ,共通点を見つける。
授業で紹介されたICTやアプリを実際に触れ,使用感や可能性を整理する。
授業内容・「学習者の関心や動機づけを多様な手段で高める」方法を学ぶ
・学習者が主体的に学べる環境設計(ゲーミフィケーション,協働学習など)
・ICT・ATを活用した動機づけの事例紹介(音声読み上げアプリによる学習支援,学習管理ツールなど)
4タイトルUDLの3つの原則(2):Multiple Means of Representation(情報の提示方法)
事前学習
事後学習
指定されたオンライン教材やATツールを実際に触れ,メリット・デメリットを整理する。
授業で紹介された複数の提示方法を踏まえ,簡単な学習教材を作成し,どのように多様な学習者に対応するかをまとめる。
授業内容・「情報提示の多様化」に焦点を当て,テキスト・音声・映像・図解・AR/VRなどのメディアを活用する具体的手法を学ぶ
・スクリーンリーダーや字幕生成ソフト,拡大読書器などのAT事例を紹介・体験する
・学習教材のマルチモーダル化を検討する演習
5タイトルUDLの3つの原則(3):Multiple Means of Action & Expression(表現・活動の多様性)
事前学習
事後学習
自分がこれまで経験した評価・表現方法を列挙し,その利点と問題点を整理しておく。
授業で体験したATやICTツールの感想や活用アイデアを個人レポートにまとめる。
授業内容・「学習者が学んだことを表現・活動する手段の多様化」をテーマに,レポート,プレゼン,実技,ディスカッションなど多面的な評価形態を検討する
・学習支援技術の実演とハンズオン体験
・グループ演習:様々な学習者を想定し,多様な提出・発表形式を取り入れた授業案を共同で考える
6タイトルUDL×ICT・ATワークショップ:教材開発と評価デザイン
事前学習
事後学習
自分の専門領域や興味分野で,活用できそうなICT・ATを事前に調べておき,簡単に紹介できるようにしておく。
グループワークで作成した教材案を自分の所属分野・想定授業に転用する場合のプランをまとめる。
授業内容・これまで学んだUDLの3原則を統合し,ICT・ATを取り入れた教材・評価方法の設計プロセスを実践する。
・実機・ソフトウェアを用いた演習
・仮想の授業単元を題材に,教材案・評価プランを具体化するグループワークを行う
7タイトル事例検討とグループワークのブラッシュアップ
事前学習
事後学習
第6回の事後学習でまとめたプランをグループ内で共有できるよう,Teamsにアップロードする。
最終発表に向けた,グループや個人で担当部分の役割分担を確認・準備。
授業内容・実際の教育現場でのUDL実践事例(特にICT・AT活用事例)について,成功要因や課題に関するグループディスカッションを行う
・第6回で作成した教材案・評価プランを具体化・ブラッシュアップする
・ハンズオンで得られた知見を共有し,現実的な運用や導入コスト・時間を考慮して改善策を検討する
8タイトルグループ発表・まとめと今後の展望
事前学習
事後学習
発表用資料,ワークシートなどの最終調整。発表シミュレーションを行う。
全体を通して学んだことの振り返りレポートを提出する。
授業内容・各グループがUDL×ICT・ATを組み込んだ教材・授業案を発表し,相互にフィードバック
・授業全体の振り返りと総括:今後の学習や現場適用に向けた課題整理
・まとめ(教員からの講評および質疑応答)
<前年度授業に対する改善要望等への対応>
新規開設科目につき該当しない。
<備考>
(未登録)