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授業科目名 いじめ事例の検討から学ぶ発達臨床心理学
分類健康福祉
時間割番号 CKJ002 B
担当教員名 若本 純子
開講学期・曜日・時限 2Q・月・IV 単位数 1
<対象学生>
2025以降入学生(工・生)
<授業の目的>
近年,毎年のように過去最大値が報告されているいじめの現状について,文部科学省等の資料をもとに多角的に考察し,発達臨床心理学の専門性に基づく事例検討を通して,いじめという事象およびいじめに対する「支援」について体験的・実践的に学ぶ。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
全学共通教育科目向け
記号コンピテンシー(能力・資質)説明 
N-A共通論理的かつ柔軟に思考する力(思考)問題を細分化して多面的・客観的にとらえ、専門分野や文理を問わない幅広い知識に基づき様々な観点から考察し、結果を筋道立てて根拠を示しながら説明できるようにすることで、論理的かつ状況の変化に対して柔軟に対応できる思考力を備える
N-B多様な人々と調和する力(調和)人や社会の多様性に対する知識と理解を基に自己や社会のあり方について相対的視点を持ち、自らの言葉(日本語、英語)で的確に論評・伝達することで、多様な人々と共働する基礎力を備える
N-C共創により問題を解決する力(共創)問題設定、多様な解決方法の案出と検討、実現可能な計画の立案、計画に従った問題解決、解決方法や計画の改善などを他者と共働して行う力を備える
N-Dより良く生きるための力(福利)心身の健康を維持増進して国際社会の一員として暮らすために必要な知識技能を備え、自己と社会の理解に基づき人生設計する力を備える
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
共通
1いじめという社会集団的な事象と当事者・関係者に対して包摂的に理解することができるN-A
2資料をもとに,いじめに関連する諸相について,多様な観点を有する他者と積極的な討論ができるN-B
3いじめ事例に対して,発達臨床心理学の観点に基づくアセスメント,支援計画の立案等に協働的に取り組めるN-C
4いじめを理解・支援するのに必要となる発達臨床心理学の基礎知識を習得し活用できるN-D
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
125%いじめという社会的な事象と当事者・関係者に対して包摂的に理解することができる
225%資料をもとに,いじめに関連する諸相について,多様な観点を有する他者と積極的な討論ができる
325%いじめ事例に対して,発達臨床心理学の観点に基づくアセスメント,支援計画の立案等に協働的に取り組める
425%いじめを理解・支援するのに必要となる発達臨床心理学の基礎知識を習得し活用できる
合計100% 
<授業の方法>
対面授業で実施。資料(データ)検討,事例検討等では個人演習とグループワークを並行的に実施する。討論のための資料閲覧,および個人演習内容の投稿のため,PC,タブレットを持参すること。
事前学習・事後学習の内容を,毎回のリフレクションとして記載・提出を課す。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
・いじめ事例を複数取り上げ,個人で考え,グループワークで討論するという形態をとりますので,ご自身または身近な人に関連して,いじめに対してつらい思いを抱えている方には,受講をお勧めしません。
・受講生の理解度や質問等に応じて,授業の進行を変更することがあります。
・講義を聞いていればいい受身型の授業ではありません。当事者意識を持ち,積極的に参画してくださる方の受講を希望します。
・いじめという立場によって全く見方が異なるセンシティブな事象をテーマにする授業ですので,他者や他者の見解に対して,過度に辛辣な態度,攻撃的な態度等をとる方については,クオーターの途中であっても受講の取りやめをお願いすることがあります。
<テキスト>
  1. 文部科学省, 生徒指導提要改訂版,
    (https://www.mext.go.jp/content/20230220-mxt_jidou01-000024699-201-1.pdf)
<参考書>
(未登録)
<授業計画の概要>
1タイトルいじめの現状・実態・課題
事前学習
事後学習
・自分なりのいじめに対する考えについて整理しておく
・本日の演習・ディスカッションをもとに,いじめ支援・指導における課題を考察する
授業内容文部科学省が年次作成している「諸課題」資料をもとに,資料の読み取り(個人演習),およびディスカッションを行う
2タイトルいじめとは何か/現行のいじめ対応の課題
事前学習
事後学習
・「いじめ防止対策推進法」に基づくいじめの定義について調べる
・法や理論を参照して,実際のいじめ対応の要点・課題を考察する
授業内容・いじめ対応の基盤となる「いじめ防止対策推進法」や森田やSalmivalliなどのいじめの構造理論に基づいていじめを捉え直し,現在行われているいじめ対応について支援・介入理論との照合によって課題を明らかにする
3タイトル「いじめ認知」について再考する①歴史的観点
事前学習
事後学習
・「いじめ認知」というキーワードで,どのような報告や議論がなされているか調べる
・現在のいじめの定義に基づくと,児童生徒にどのようないじめ認知を行うよう教育・指導する必要があるか考察する
授業内容いじめの定義の歴史的変遷をふまえ,現在のいじめの定義に基づくいじめ認知の意味を考察する
4タイトル児童生徒のいじめ認知(プチ事例検討を含む)
事前学習
事後学習
・いじめ認知のプチ事例検討(選択肢式)への取り組み
・授業後,前回課題で考察したいじめ認知の教育・指導案からの変化・改善等について考察する
授業内容児童生徒のいじめ認知に関する研究結果を参照しながら,特徴や背景についてディスカッションを行い,理解を深める
5タイトル事例Aの検討①アセスメント
事前学習
事後学習
・事例Aのアセスメントへの取り組み
・事例Aのアセスメントブラッシュアップ(改善点を考察)し,支援計画を試案する
授業内容事例Aのアセスメントについてディスカッションを行い,いじめの諸相について理解を深める
6タイトル事例Aの検討②支援・指導の計画
事前学習
事後学習
・事例Aに対してどのような支援・指導を行えばいいか,支援計画を試案する
・第2次予防の要点と意義を考察する
授業内容事例Aの支援計画についてディスカッションを行い,要点や課題について理解を深める
7タイトル事例Aの検討③X先生の介入案の批判的検討
事前学習
事後学習
・X先生の事例Aに対する介入案に目を通しておく
・Z先生の介入案をもとに,望ましいいじめへの介入の要点を整理する
授業内容事例Aに対するX先生の介入例を批判的に検討することで,実践面での課題や困難を明らかにし,より望ましい介入のあり方について考察する
8タイトルインターネットが介在するいじめ(事例Qの検討を含む)
事前学習
事後学習
・事例Qに目を通しておく
・事例Qに対するアセスメント,支援計画の立案
授業内容インターネットが介在するいじめの特徴について理解し,事例Qのアセスメントと支援計画についてディスカッションを行う
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
学校,児童福祉施設等において,子ども,保護者,教職員に対する心理学的支援の経験者(臨床心理士・公認心理師)
<前年度授業に対する改善要望等への対応>
・より柔軟なグループワークの活用
<備考>
(未登録)