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授業科目名 多文化社会とことば
時間割番号 CKHK05
担当教員名 長坂 香織
開講学期・曜日・時限 3Q・水・IV 単位数 1
<対象学生>
全学部、山梨大学生、科目等履修生(社会人)、特別聴講生(大学コンソーシアムやまなし等)
<授業の目的>
「多文化共生」ということばが使われるようになって、少なくとも25年以上が経過している。共生にあたり3つの壁「ことば、文化、制度」があると言われているが、この四半世紀、これらの壁は低くなったのだろうか。「共生」への眼差しは、日本社会でどれほど育まれたのだろうか。
本講義では、多文化共生社会/異文化コミュニケーションにおける複雑に絡み合った「3つの壁」の内、「ことばの壁」に焦点をあて、乳幼児期からのことばの獲得と母語・継承語教育を含めた、多文化共生社会における言語支援について理解し、多文化共生に向けて、その知識を仕事や人生などにどのように活かすか、自分には何ができるのか考えることを目的とする。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
全学共通教育科目向け
記号コンピテンシー(能力・資質)説明 
N-A共通論理的かつ柔軟に思考する力(思考)問題を細分化して多面的・客観的にとらえ、専門分野や文理を問わない幅広い知識に基づき様々な観点から考察し、結果を筋道立てて根拠を示しながら説明できるようにすることで、論理的かつ状況の変化に対して柔軟に対応できる思考力を備える
N-B多様な人々と調和する力(調和)人や社会の多様性に対する知識と理解を基に自己や社会のあり方について相対的視点を持ち、自らの言葉(日本語、英語)で的確に論評・伝達することで、多様な人々と共働する基礎力を備える
N-C共創により問題を解決する力(共創)問題設定、多様な解決方法の案出と検討、実現可能な計画の立案、計画に従った問題解決、解決方法や計画の改善などを他者と共働して行う力を備える
N-Dより良く生きるための力(福利)心身の健康を維持増進して国際社会の一員として暮らすために必要な知識技能を備え、自己と社会の理解に基づき人生設計する力を備える
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
共通
1多文化社会における「3つの壁」について説明できる。N-A
2多文化社会における言語支援について例をあげて説明することができる。N-A
3多文化社会にむけて、自身に何ができるのか考えることができる。N-C
4やさしい日本語を使うことができる。N-C
5共生社会における人権とその課題について理解し意識化して日常を振返ることができる。N-B
6共生社会における人権とその課題について理解し意識化して日常を振返ることができる。N-D
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
110%授業内での意見交換、振返りから評価する。
210%授業内での意見交換、振返りから評価する。
330%授業内での意見交換、振返り、提出課題から総合的に評価する。
410%授業内での意見交換、振返りから評価する。
520%振返り、課題提出、ディスカッションにおける意見交換から評価する。
620%振返り、課題提出、ディスカッションにおける意見交換から評価する。
合計100% 
<授業の方法>
各回は、下記授業内容と、それに関する質疑応答、意見交換、また、時間に応じて異文化コミュニケーションのエクササイズを行う。原則として対面ですが、学外者にはオンライン同時配信も行います。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
授業への積極的な参加を求める。
<テキスト>
  1. なし
  2. <参考書>今井むつみ, ことばと思考(岩波新書), 岩波書店,
    (2010)

  3. <参考書>今井むつみ, ことばの発達の謎を解く(ちくまプリマ―新書), 筑摩書房,
    (2013)
<参考書>
  1. 岡本夏木, ことばと発達(岩波新書), 岩波書店,
    (1985)

  2. ジム・カミンズ、中島和子(訳著), 言語マイノリティを支える教育, 慶応義塾大学出版会,
    (2011)

  3. 中島和子, 完全改訂版 バイリンガル教育の方法, アルク,
    (2016)

  4. 水野真木子、内藤稔, コミュニティ通訳: 多文化共生社会のコミュニケーション, 書房,
    (2018)

  5. 文化庁, 在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン,
    (https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/92484001.html)

  6. 庵功雄、岩田一成 他, 〈やさしい日本語〉と多文化共生, ココ出版,
    (2019)

  7. 荒巻重人、榎井縁 他, 外国人の子ども白書―権利・貧困・教育・文化・国籍と共生の観点から(第2版), 明石書店,
    (2022)

  8. 田中宝紀, 海外ルーツの子ども支援―言葉・文化・制度を越えて共生へ, 青弓社,
    (2021)

  9. 川上郁雄, 「移動する子どもたち」のことばの教育学, くろしお出版,
    (2011)

  10. 国立国語研究所, 「病院の言葉」を分かりやすくする提案,
    (https://www2.ninjal.ac.jp/byoin/)
<授業計画の概要>
1タイトル(10/1水) オリエンテーション/現状把握/「3つの壁」について
事前学習
事後学習
予習資料を熟読
振り返りを提出
授業内容本講義を受講するにあたってのオリエンテーションを行うと同時に、在留外国人の現状(3つの壁)について概観する。「多文化共生」に対する各自のイメージをグループで共有する
2タイトル(10/8水) ことばと思考の発達/乳幼児期の言語獲得
事前学習
事後学習
予習資料を熟読
振り返りを提出
授業内容乳幼児期の言語獲得と思考の発達について学ぶ。
3タイトル(10/15水) 生活言語と学習言語/ダブルリミテッド/母語・継承語
事前学習
事後学習
予習資料を熟読
振り返りを提出
授業内容生活言語と学習言語、ダブルリミテッド、母語・継承語など、学童期から青年期にかけて見られる言語に関わる諸問題について学ぶ。
4タイトル(10/22水) 小中高での日本語学習
事前学習
事後学習
予習資料を熟読
振り返りを提出
授業内容小中高での日本語教育(日本語学習)について、現場からゲストスピーカーを招き、その現状、課題、課題への対応策について学ぶ。  ゲストスピーカー:今澤悌氏
5タイトル(10/29水) 外国人住民への情報提供とやさしい日本語
事前学習
事後学習
予習資料を熟読
振り返りを提出
授業内容外国人住民への情報提供の方法とやさしい日本語について、その必要性を理解し、実際に「やさしい日本語」への書き換えをしてみる。
6タイトル(11/5水) 地域の日本語教室
事前学習
事後学習
予習資料を熟読
振り返りを提出
授業内容地域における日本語教室について、現場からゲストスピーカーを招き、その現状、課題、課題への対応策について学ぶ。
7タイトル(11/12水) コミュニティ通訳
事前学習
事後学習
予習資料を熟読
振り返りを提出
授業内容コミュニティ通訳(医療、司法、行政、教育分野における通訳)の特徴、通常の通訳との違いを知るとともに、その必要性について理解する。併せて、言語権について学ぶ。
8タイトル(11/19水) 発表とディスカッション、まとめ
事前学習
事後学習
授業を通して関心のある分野で、各自問いを立てそれについて調べ(自分なりの答えを出して)発表する準備をする。他の受講者の発表、ディスカッションに関してまとめの振り返りをする。
授業内容各自(人数によってグループごと)の発表と、それに関するディスカッションを行い、授業をとおしたまとめをする。
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
科目担当者は、やまなし医療通訳研究会AIMY、多文化社会の保健医療を考える会JUNTOSの代表を経て、現在、(一社)ダイバーシティネットワークVENTOSの代表理事。多文化社会コーディネーター、CLAIR認定多文化共生マネージャー。外国人学校健診、外国につながりのある子どものための日本語作文コンテスト、医療通訳セミナー・フォーラムなど企画運営してきた。
<前年度授業に対する改善要望等への対応>
授業評価アンケート対象外
<備考>
・本科目は、14:50~16:20の時間帯に山梨県立大学飯田キャンパスで実施します(他大学の学生・社会人はオンライン可)。
・事前学習の資料は、その都度提示します。
・他大学の学生や社会人等とともに学ぶ「PENTAS YAMANASHI」の科目です。