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授業科目名 ドイツ語圏の文学
分類人文科学
時間割番号 CKH025 A
担当教員名 寺田 雄介
開講学期・曜日・時限 3Q・月・IV 単位数 1
<対象学生>
2025以降入学生(教・医)
<授業の目的>
 文学とはフィクションです。そこには作者の祈りが様々な技法を用いて綴られています。だからこそ私たちは本を片手に時に息苦しい現実世界を暫しのあいだ離れ,物語世界を逍遥することができます。
 しかし同時に,文学とはフィクションではありません。それは作品が成立した場所の社会や文化,すなわち現実世界を映し出すスクリーンであり,私たちが経験したことのない時代や訪れたことのない場所を知るための,有益な資料になり得るからです。
 本科目では,各時代を代表するドイツ語圏の文学作品と向き合いながら,フィクション/ノンフィクション両面からの分析を試みます。各作品の中で描かれる多様なテーマが,現代の私たちが抱えている問題と深く関連する普遍的なものであることを理解し,解決の手がかりをつかむことを目標とします。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
全学共通教育科目向け
記号コンピテンシー(能力・資質)説明 
N-A共通情報を適切に活用する力(情報)図書館やインターネットなどから多様な文献や資料を倫理的、合法的に収集し、収集した文献や資料から適切な情報を選択し、様々な情報を統計学的手法やAI技術なども活用して分析し、的確にまとめて活用できる力を備える
N-B論理的かつ柔軟に思考する力(思考)問題を細分化して多面的・客観的にとらえ、専門分野や文理を問わない幅広い知識に基づき様々な観点から考察し、結果を筋道立てて根拠を示しながら説明できるようにすることで、論理的かつ状況の変化に対して柔軟に対応できる思考力を備える
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
共通
1それぞれの文学作品の成立過程を,ドイツ語圏の文化史や作家論・作品論の観点から説明できる。N-A
2文学作品を丁寧に読み込み,そこに描かれた主題を適切に,また多様に解釈できる。N-B
3主観的に作品と向き合うだけでなく,担当教員の問いや自ら立てた問いに対して,客観的な分析手法を用いて論述できる。N-B
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
140%クイズ/ミニッツペーパーで目標に到達できているかを評価する
240%クイズ/ミニッツペーパーで目標に到達できているかを評価する
320%ミニッツペーパーで目標に到達できているかを判断する
合計100% 
<授業の方法>
 基本的には面接授業で実施します。
 ドイツ語圏の国々の各時代を代表する8つの文学作品について解説を行います。その後,クイズを通して授業内容の理解度と履修者の気づきを確認します。取り上げる文学作品のテーマは,人間相互の理解,人としての尊厳,そして人の生活基盤に関わる問題など,現代社会にも通じるものばかりです。それらの諸問題との向き合い方について,ミニッツペーパーで履修者同士の考えを共有します。
 評価はテストやレポートではなく,クイズへの回答による形成的評価と,ミニッツペーパーの提出による総括的評価を組み合わせて行います。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
 日本語訳を用いて授業を進めるため,ドイツ語の知識は一切問いません。ストーリーの展開が面白く,本学の附属図書館や一般の書店でも入手できる中・短編作品を厳選しました。
 読書が好きな学生はもちろんですが,他の履修者との意見交換を楽しめる学生を歓迎します。
<テキスト>
(未登録)
<参考書>
  1. ゲーテ著 ; 酒寄進一訳, 若きウェルテルの悩み, 光文社, ISBN:9784334102197,
    (2024年出版 光文社古典新訳文庫, [KAケ3-3])

  2. クライスト作 ; 山口裕之訳, ミヒャエル・コールハース ; チリの地震 : 他一篇, 岩波書店, ISBN:9784003241660,
    (2024年出版 岩波文庫, 赤(32)-416-6)

  3. ケラー作 ; 草間平作訳, 村のロメオとユリア 改訳, 岩波書店, ISBN:9784003242551,
    (1972年出版 岩波文庫, 1048, 赤(32)-425-5)

  4. ヨハンナ・シュピリ著 ; 遠山明子訳, アルプスの少女ハイジ, 光文社, ISBN:9784334754457,
    (2021年出版 光文社古典新訳文庫, [KAシ11-1])

  5. フランツ・カフカ [著] ; 川島隆訳, 変身, KADOKAWA, ISBN:9784041092361,
    (2022年出版 角川文庫, 23060, [カ2-6])

  6. ミヒャエル・エンデ作 ; 大島かおり訳, モモ, 岩波書店, ISBN:9784001141276,
    (2005年出版 岩波少年文庫, 127)

  7. ベルンハルト・シュリンク [著] ; 松永美穂訳, 朗読者, 新潮社, ISBN:9784102007112,
    (2003年出版 新潮文庫, 7170, シ-33-1)

  8. フェルディナント・フォン・シーラッハ著 ; 酒寄進一訳, 神, 東京創元社, ISBN:9784488011291,
    (2023年出版)
<授業計画の概要>
1タイトルヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ:『若きウェルテルの悩み』を読む
事前学習
事後学習
事前学習:特になし
事後学習:講義で扱った内容についてクイズに回答し,ミニッツペーパーを提出する。(15分)
授業内容・授業全体の到達目標や授業の進め方についてガイダンスを行う
・ゲーテの『若きウェルテルの悩み』について,ドイツ語圏の文化史や作家論・作品論の観点から講義する
・講義後に,moodle上で講義内容の理解度をはかるクイズに回答する
・【「人間と文化」との関連性】マスメディアの報道により自殺者が増加するという,ウェルテル効果について考察する
2タイトルハインリヒ・フォン・クライスト:『チリの地震』を読む
事前学習
事後学習
事前学習:特になし
事後学習:講義で扱った内容についてクイズに回答し,ミニッツペーパーを提出する(15分)
授業内容・クライストの『チリの地震』について,ドイツ語圏の文化史や作家論・作品論の観点から講義する
・講義後に,moodle上で講義内容の理解度をはかるクイズに回答する
・【「人間と文化」との関連性】いじめや同調圧力など,集団心理が引き起こす恐れについて考察する
3タイトルゴットフリート・ケラー:『村のロメオとユリア』を読む
事前学習
事後学習
事前学習:特になし
事後学習:講義で扱った内容についてクイズに回答し,ミニッツペーパーを提出する(15分)
授業内容・ケラーの『村のロメオとユリア』について,ドイツ語圏の文化史や作家論・作品論の観点から講義する
・講義後に,moodle上で講義内容の理解度をはかるクイズに回答する
・【「人間と文化」との関連性】資産と権利の問題がロマンティックな恋の物語と対峙する,詩的リアリズムについて考察する
4タイトルヨハンナ・シュピリ:『アルプスの少女ハイジ』を読む
事前学習
事後学習
事前学習:特になし
事後学習:講義で扱った内容についてクイズに回答し,ミニッツペーパーを提出する(15分)
授業内容・シュピリの『アルプスの少女ハイジ』について,ドイツ語圏の文化史や作家論・作品論の観点から講義する
・講義後に,moodle上で講義内容の理解度をはかるクイズに回答する
・【「人間と文化」との関連性】近代的教育と自然や宗教の相剋を通して,社会における女性の地位の変遷について考察する
5タイトルフランツ・カフカ:『変身』を読む
事前学習
事後学習
事前学習:特になし
事後学習:講義で扱った内容についてクイズに回答し,ミニッツペーパーを提出する(15分)
授業内容・カフカの『変身』について,ドイツ語圏の文化史や作家論・作品論の観点から講義する
・講義後に,moodle上で講義内容の理解度をはかるクイズに回答する
・【「人間と文化」との関連性】20世紀初頭のメディアテクノロジーが,人間の身体性やコミュニケーションを変容させた点について考察する
6タイトルミヒャエル・エンデ:『モモ』を読む
事前学習
事後学習
事前学習:特になし
事後学習:講義で扱った内容についてクイズに回答し,ミニッツペーパーを提出する(15分)
授業内容・エンデの『モモ』について,ドイツ語圏の文化史や作家論・作品論の観点から講義する
・講義後に,moodle上で講義内容の理解度をはかるクイズに回答する
・【「人間と文化」との関連性】資本主義と交換システムが人間の労働に与えた影響について考察する
・エンデの『モモ』について,ドイツ語圏の文化史や作家論・作品論の観点から講義する
・講義後に,moodle上で講義内容の理解度をはかるクイズに回答する
・【「人間と文化」との関連性】資本主義と交換システムが人間の労働に与えた影響について考察する
7タイトルベルンハルト・シュリンク:『朗読者』を読む
事前学習
事後学習
事前学習:特になし
事後学習:講義で扱った内容についてクイズに回答し,ミニッツペーパーを提出する(15分)
授業内容・シュリンクの『朗読者』について,ドイツ語圏の文化史や作家論・作品論の観点から講義する
・講義後に,moodle上で講義内容の理解度をはかるクイズに回答する
・【「人間と文化」との関連性】戦争犯罪と悪の陳腐さ,ならびに言語と思考の関係について考察する
8タイトルフェルディナント・フォン・シーラッハ:『神』を読む
事前学習
事後学習
事前学習:特になし
事後学習:講義で扱った内容についてクイズに回答し,ミニッツペーパーを提出する(15分)
授業内容・シーラッハの『神』について,ドイツ語圏の文化史や作家論・作品論の観点から講義する
・講義後に,moodle上で講義内容の理解度をはかるクイズに回答する
・【「人間と文化」との関連性】自死と自殺幇助に関する様々な言説を参照し,人間の尊厳について考察する
・授業全体の総まとめを行う
<前年度授業に対する改善要望等への対応>
アンケート結果確認中
<備考>
(未登録)