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授業科目名 現代社会のための応用行動分析学入門
分類健康福祉
時間割番号 CKH020 A
担当教員名 松下 浩之
開講学期・曜日・時限 1Q・月・III 単位数 1
<対象学生>
2025以降入学生(教・医)
<授業の目的>
 人間の行動の原因を考えるとき、我々はその「目的」や「意味」に注目して考えがちであり、それらはその人の「こころ」や「性格」、「脳のはたらき」などに起因させられることが多い。しかし、「こころ」や「性格」は実体がなく目に見えず、「脳」を変えることはできないため、行動の「目的」や「意味」についても推察するしかない。そしてその推察は場合によって「あてにならない」ものであり、ともすれば循環論に陥り、行動を変えるところまでいきつかないのが現実である。
 現代社会において個人を取り巻く環境は、非対面も含めて限りなく多く存在し、すべての環境や刺激に反応することで疲弊してしまう。そのようなメンタルヘルスの不調は身体症状に現れ、適応的な行動を阻害することもある。適応的な行動を増やし、現代社会をよりよく生きるためには、自分あるいは他者の行動の原因を環境との相互作用から整理し、現実的な環境を変えることが重要である。
 そこで本授業では、行動のメカニズムを環境との相互作用からシンプルに捉える「応用行動分析学」(ABA)の基本的な理論について、身の回りで起こりそうな事象から学修し、受講生が自身の行動を調整するヒントを得ることを目的とする。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
全学共通教育科目向け
記号コンピテンシー(能力・資質)説明 
N-A共通論理的かつ柔軟に思考する力(思考)問題を細分化して多面的・客観的にとらえ、専門分野や文理を問わない幅広い知識に基づき様々な観点から考察し、結果を筋道立てて根拠を示しながら説明できるようにすることで、論理的かつ状況の変化に対して柔軟に対応できる思考力を備える
N-Bより良く生きるための力(福利)心身の健康を維持増進して国際社会の一員として暮らすために必要な知識技能を備え、自己と社会の理解に基づき人生設計する力を備える
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
共通
1先入観や思い込みにとらわれず、個人の行動をその周囲の環境との相互作用から客観的に分析する「三項随伴性」の観点から説明することができるN-A
2メンタルヘルスの不調とそのメカニズムについてレスポンデント条件づけの観点から整理し、よりよく生きるための認知行動療法的アプローチについて説明することができるN-B
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
150%到達目標について、毎回の小テストおよび感想、期末テスト(あるいはレポート)から総合的に評価する
250%到達目標について、毎回の小テストおよび感想、期末テスト(あるいはレポート)から総合的に評価する
合計100% 
<授業の方法>
各テーマについて、映像資料や具体的な事例を適宜紹介しながら、講義を中心に解説する。
毎回の授業終了後に、Teamsを利用して小テスト(ワーク)および感想の提出を求める(翌日締め切り)。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
一般的に「文系」と考えられがちな心理学に関する内容ですが、応用行動分析学は、事実やデータに基づいた客観的な分析という点で、「理系的」な分野です。授業の中では、身の回りの事象や哲学、宗教、スポーツ、教育に関する内容が取り上げられることもありますので、「文系」や「理系」にこだわらず、社会全般や人の行動に広い関心のある受講生の積極的な参加を歓迎します。
<テキスト>
(未登録)
<参考書>
  1. 島宗理著, 人は、なぜ約束の時間に遅れるのか : 素朴な疑問から考える「行動の原因」, 光文社新書, ISBN:4334035795,
    (2010年出版)

  2. 奥田健次著, メリットの法則 : 行動分析学・実践編, 集英社新書, ISBN:4087206645,
    (2012年出版)
<授業計画の概要>
1タイトルその行動はなぜ起きるのか
事前学習
事後学習
Teamsに保存されている講義資料を読み、授業で取り扱う内容を把握し、日常生活における該当場面を考えておく(10分)
講義を録画した動画を必要に応じて試聴し、Teamsから小テストへの回答および感想の提出を行う(60分)
授業内容応用行動分析学の最も基本的で唯一の原理である「三項随伴性」の枠組みから、人の行動が生起したり消失したりするメカニズムを解説する。
2タイトルなぜ「約束」を守れないのか?
事前学習
事後学習
Teamsに保存されている講義資料を読み、授業で取り扱う内容を把握し、日常生活における該当場面を考えておく(10分)
講義を録画した動画を必要に応じて試聴し、Teamsから小テストへの回答および感想の提出を行う(60分)
授業内容友だち同士や家族、仕事など様々な場面で「約束」がなされるが、行動生起のメカニズムである「三項随伴性」の観点から、それが機能する条件や工夫について解説する。
3タイトルポイントカードは有効な方法なのか?
事前学習
事後学習
Teamsに保存されている講義資料を読み、授業で取り扱う内容を把握し、日常生活における該当場面を考えておく(10分)
講義を録画した動画を必要に応じて試聴し、Teamsから小テストへの回答および感想の提出を行う(60分)
授業内容店舗や企業などで発行されるポイントカードや、スタンプラリーイベント、通信教育などでの景品交換などについて、意図的に行動を引き出すという目的から、どのようなメカニズムがあり、活用のためにどのような工夫が必要か解説する。
4タイトル「うまくなる」ための効果的な方法
事前学習
事後学習
Teamsに保存されている講義資料を読み、授業で取り扱う内容を把握し、日常生活における該当場面を考えておく(10分)
講義を録画した動画を必要に応じて試聴し、Teamsから小テストへの回答および感想の提出を行う(60分)
授業内容自転車やスポーツ競技などの運動技能、機械の操作などの複雑な動作を新しく身につけるための方法を、チェイニングやシェイピング、モデリングなど応用行動分析学にもとづく行動形成技法の観点から解説する。
5タイトルなぜ体罰はなくならないのか?
事前学習
事後学習
Teamsに保存されている講義資料を読み、授業で取り扱う内容を把握し、日常生活における該当場面を考えておく(10分)
講義を録画した動画を必要に応じて試聴し、Teamsから小テストへの回答および感想の提出を行う(60分)
授業内容体罰や虐待は禁止されているにもかかわらず、報道が後を断たない。個人の倫理観や罰則規定の強化ではなく、行動生起のメカニズムという観点から論点を整理し、学校現場で普及している「スクールワイドPBS」の取り組みを紹介する。
6タイトル夕方5時のチャイムが悲しくなるのはなぜか
事前学習
事後学習
Teamsに保存されている講義資料を読み、授業で取り扱う内容を把握し、日常生活における該当場面を考えておく(10分)
講義を録画した動画を必要に応じて試聴し、Teamsから小テストへの回答および感想の提出を行う(60分)
授業内容夕方5時に流れる「夕焼け小焼け」や「ふるさと」などの曲やチャイムを聴くと、なぜ悲しく切ない気持ちになるのだろうか。そのような「情緒的反応」のメカニズムをレスポンデント条件づけ理論にもとづいて解説する。
7タイトルミナイチカラに立ち向かう
事前学習
事後学習
Teamsに保存されている講義資料を読み、授業で取り扱う内容を把握し、日常生活における該当場面を考えておく(10分)
講義を録画した動画を必要に応じて試聴し、Teamsから小テストへの回答および感想の提出を行う(60分)
授業内容実体のないものに対して抱く恐怖や不安は消失できた方が楽に生活できる可能性がある。従来より行動療法として発展してきたレスポンデント条件づけの消去メカニズムにもとづく諸技法を解説し、その効果と課題を検討する。
8タイトル現代社会を楽に生きるために
事前学習
事後学習
Teamsに保存されている講義資料を読み、授業で取り扱う内容を把握し、日常生活における該当場面を考えておく(10分)
講義を録画した動画を必要に応じて試聴し、Teamsから小テストへの回答および感想の提出を行う(60分)
授業内容現代社会の課題の一つであるメンタルヘルスの不調について、そのメカニズムを整理し、認知行動療法的アプローチの紹介と体験的ワークを通じて、より楽に生活するためのヒントを各自で考える。
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
授業担当者は公認心理師資格を有し、市町村保健センターや幼稚園、保育所、小中学校、特別支援学校、大学教育相談室等で、スクールカウンセラーを含め、幼児から成人までを対象に、20年以上の心理・教育的支援に関する実務経験がある。
<前年度授業に対する改善要望等への対応>
新規開設につき該当しない
<備考>
(未登録)