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授業科目名 考古学について
分類・系統人文科学 文化系
時間割番号 CAC003
担当教員名 佐野 隆
開講学期・曜日・時限 前期・水・II 単位数 2
<対象学生>
全学生対象
<授業の目的>
文字資料(史料)以外のあらゆる物質的資料を用いて人類の過去の営みを研究し、人類史を復元する考古学の研究方法と現時点での研究成果を学びます。考古学を通じて、人類の営みと、文化の普遍性と特殊性を理解することは、文化・経済面における国際交流が活発な現代において、自己と他者を理解し、異文化間のコミュニケーションを図るうえで、基礎的な素養となり得ます。授業では山梨県内の考古資料を用いて、日本列島の人類史を解説し、必要に応じて世界各地の遺跡情報も紹介します。
※本科目は、「地域課題解決人材育成プログラム」及び「やまなし未来創造教育プログラム」の開講科目です。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
全学共通教育科目向け
記号コンピテンシー(能力・資質)説明 
A共通教養多様な知識の獲得単位を取得した教養教育科目の概要と、重要な基礎的事項を説明できる。
B批評力学んだ内容を自らの言葉で的確に論評・伝達できる。
C地域理解自らの生活の場である地域の特色・課題を説明できる。
D汎用能力4・論理的思考力情報を多面的・客観的にとらえ、筋道を立てて根拠を示しながら説明できる。
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
共通
1考古学の研究法を理解し、考古学について説明できる。A
2考古学の学びを通じて、専門分野以外の知識を身につけ、幅広い視野で物事を多角的に捉えることができる。B
3所与の情報から仮説を論理的に考察し、自らの言葉で論理的に説明できる。D
4日本列島と山梨県の地域性を、考古学・歴史・人類史に即して説明できるC
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
140%ミニットペーパーと2回のレポート内容から理解度を測定し、評価します。
225%2回のレポート内容から人類史的視点に基づく事物の見方、考え方を評価します。
315%2回のレポートの論理構成の程度を評価します。
420%2回のレポートのテーマ、内容から「地域性」への理解を評価します。
合計100% 
<授業の方法>
パワーポイントを用いた「面接授業」を基本とします。新型コロナウイルス感染症の状況および本学の授業実施方針によっては「オンライン授業」とする場合があります。授業後に授業の感想、質問事項を記載したミニットペーパーを提出してもらい、授業の理解度と受講態度の評価に用いるほか、次回授業で質問に対して応答します。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
考古学は千年、万年という長期にわたる人のあらゆる営みを研究し、「人類史」の再構成を試みます。考古学を通じて、ヒトという生物の特性、人類と自然・社会環境との関わりと変化、人の文化の普遍性と多様性を学び、気候変動、社会格差と分断、戦争といった現代的な社会課題に向き合うための教養としてほしいと思います。授業では山梨県内の考古資料、世界各地の考古資料、民族資料を用いて、人類史的視点から日本列島の先史時代を解説します。
<テキスト>
(未登録)
<参考書>
  1. 鈴木公雄著, 考古学はどんな学問か, 筑摩書房, ISBN:9784480510372,
    (2021年出版 ちくま学芸文庫, [ス25-1])

  2. 山梨県編, 山梨県のあゆみ, 山梨県, ISBN:9784897108360,
    (2008年出版 山梨県史 / 山梨県編, 概説編)

  3. 松木武彦著, はじめての考古学, 筑摩書房, ISBN:9784480684134,
    (2021年出版 ちくまプリマー新書, 389)

  4. 工藤雄一郎編集 ; 石井礼子画, 復元イラストでみる!人類の進化と旧石器・縄文人のくらし, 雄山閣, ISBN:9784639028444,
    (2022年出版)

  5. ユヴァル・ノア・ハラリ著 ; 柴田裕之訳, サピエンス全史 : 文明の構造と人類の幸福 下, 河出書房新社, ISBN:9784309226729,
    (2016年出版)
<授業計画の概要>
1タイトルはじめて学ぶ考古学
事前学習
事後学習
事前にアップロードしたパワーポイント資料に目を通してください。
講義についての感想や質問などを整理しておいてください。
授業内容考古学が解明しようとすること、考古学の研究手法を具体例に即して解説します。
2タイトル人類の進化と拡散史
事前学習
事後学習
事前にアップロードしたパワーポイント資料に目を通してください。
講義についての感想や質問などを整理しておいてください。
授業内容Homo属の出現と拡散史を紹介し、生物界における人類の特異性を解説します。
3タイトル狩猟採集民のくらしと文化1 東アジアの旧石器時代
事前学習
事後学習
事前にアップロードしたパワーポイント資料に目を通してください。
講義についての感想や質問をミニットペーパーに記入して提出してください。
授業内容ユーラシア大陸に拡散した初期人類は東アジアで独自の進化を遂げ、その一部が約4万年前に日本列島に到達します。氷河期の日本列島で展開した狩猟採集民の生活技術と文化を紹介します。
4タイトル狩猟採集民のくらしと文化2 後氷期の狩猟採集民 縄文時代草創期~早期
事前学習
事後学習
事前にアップロードしたパワーポイント資料に目を通してください。
講義についての感想や質問などを整理しておいてください。
授業内容最終氷期が終わり日本列島の環境が激変しました。後氷期の日本列島で生じた環境変化と人類の適応行動を紹介します。
5タイトル狩猟採集民のくらしと文化3 温暖期の狩猟採集民 縄文時代前期
事前学習
事後学習
事前にアップロードしたパワーポイント資料に目を通してください。
講義についての感想や質問などを整理しておいてください。
授業内容後氷期最温暖期の環境変化に人はどう適応したか。古東京湾沿岸地域と内陸部の遺跡を対比させ、多様な環境下で展開した生活技術と文化、黒曜石の流通などを紹介します。
6タイトル狩猟採集民のくらしと文化4 温暖期の狩猟採集民 縄文時代前期
事前学習
事後学習
事前にアップロードしたパワーポイント資料に目を通してください。
講義についての感想や質問をミニットペーパーに記入して提出してください。
授業内容後氷期最温暖期の日本列島沿岸部と内陸部の遺跡を紹介し、環境変化に人はどう適応したか、多様な環境下で展開した生活技術と文化、黒曜石の流通などを紹介します。
7タイトル狩猟採集民のくらしと文化5 安定期の狩猟採集民 縄文時代中期
事前学習
事後学習
事前にアップロードしたパワーポイント資料に目を通してください。
講義についての感想や質問をミニットペーパーに記入して提出してください。
授業内容大規模な集落遺跡が形成され、装飾性豊かな土器がつくられた縄文時代中期は、「繁栄」の時代とも評されます。食料資源利用から中期の生活文化と技術を考え、「繁栄」の評価を再考します。
8タイトル狩猟採集民のくらしと文化6 縄文時代の生業と集落
事前学習
事後学習
事前にアップロードしたパワーポイント資料に目を通してください。
講義についての感想や質問などを整理しておいてください。
授業内容縄文時代の暮らしをささえた狩猟採集漁撈活動と植物資源の管理・栽培、居住地(集落)について、生態人類学的な視点から考えます。
9タイトル狩猟採集民のくらしと文化7 縄文時代の社会と交易、精神文化
事前学習
事後学習
事前にアップロードしたパワーポイント資料に目を通してください。
講義に関連したテーマについて中間レポートにまとめて提出してください。
授業内容縄文時代の黒曜石交易から社会ネットワークと縄文時代の経済活動について、土偶や墓などからみた精神文化について、それぞれ考えます。
10タイトル狩猟採集民のくらしと文化8 寒冷期の狩猟採集民 縄文時代後期・晩期
事前学習
事後学習
事前にアップロードしたパワーポイント資料に目を通してください。
講義についての感想や質問などを整理しておいてください。
授業内容温暖で安定した気候が変化した時代に、人々はどのように行動したのでしょうか。「衰退」の時代と評される縄文時代後晩期を見直し、複雑化する縄文社会像を考えます。
11タイトル稲作農耕民のくらしと文化1 食糧生産と人口爆発 弥生時代
事前学習
事後学習
事前にアップロードしたパワーポイント資料に目を通してください。
講義についての感想や質問などを整理しておいてください。
授業内容日本列島に稲作農耕が定着する弥生時代中期。急激に人口が増加し、「倭国大乱」の時代を迎えます。農耕⇒人口爆発⇒戦争のプロセスを考えます。
12タイトル稲作農耕民のくらしと文化2 階層化社会と古墳 古墳時代前期
事前学習
事後学習
事前にアップロードしたパワーポイント資料に目を通してください。
講義についての感想や質問をミニットペーパーに記入して提出してください。
授業内容「倭国大乱」を経て大和王権による政治的安定が実現します。社会の階層化と巨大古墳の造営、原国家形成の過程を紹介します。
13タイトル稲作農耕民のくらしと文化3 原国家の形成 古墳時代中期~後期
事前学習
事後学習
事前にアップロードしたパワーポイント資料に目を通してください。
講義についての感想や質問などを整理しておいてください。
授業内容律令制国家以前の「原国家」とはいかなるものだったのか?人々はなぜ「国家」を必要としたのか?古墳時代後半期の歴史を通じて「国家」の意味を考えます。
14タイトル平安時代の開発と「牧」・中世以降の考古学
事前学習
事後学習
事前にアップロードしたパワーポイント資料に目を通してください。
講義についての感想や質問などを整理しておいてください。
授業内容 平安時代の甲斐国における辺境地域開発と「牧」(馬の生産)について、考古学の視点から考えます。
15タイトル考古学と人新世 Anthropocene
事前学習
事後学習
事前にアップロードしたパワーポイント資料に目を通してください。
講義に関連したテーマについて期末レポートにまとめて提出してください。
授業内容ヒトの活動が地球環境を左右するほどに巨大化し、解決困難な課題をもたらした現代。考古学を学ぶことが、どのような意義をもつのか。一緒に議論して考えたいと思います。
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
教員(佐野隆)は北杜市教育委員会において31年間、NPO法人茅ヶ岳歴史文化研究所において2年間、埋蔵文化財の発掘調査等の文化財保護行政に従事し、史跡指定から史跡整備、活用事業も担当しつつ、八ヶ岳山麓を中心とした縄文時代を研究してきました。この実務経験から山梨県内の先史時代を幅広く紹介するだけでなく、文化財の保護、考古学の調査研究が現代社会にどのように貢献できるのか、考古学ファン、考古学マニアの視点を超えた学びを提供します。
<JABEEプログラムの学習・教育目標との対応>
《土木環境工学科》
(A) 技術者の責務の自覚
 様々な知識を修得し、技術が社会や自然に及ぼす影響や効果、および技術者の社会に対する責任を理解して、これを説明することができる。
<前年度授業に対する改善要望等への対応>
・大教室における定員150人の全学共通教育科目の講義であるため、学生さんが講義に主体的に参加できるような講義形態ではありませんが、質問、意見等がありましたら、講義終了後に遠慮なく講師に声をかけてください。またミニットペーパーで質問を寄せていただいても結構です。ミニットペーパーに回答を記載して返却します。
・世界の考古学研究は日進月歩で進展しています。講義では可能な限り最新の研究成果、知見を紹介・解説します。
<備考>
(未登録)