授業科目名				担当教員
統計力学				石川　陽
時間割番号	単位数	コース	履修年次	期別	曜日	時限
TAM313	2	(未登録)	3	前期	金	II
［概要］
統計力学とは，物質を構成する原子，分子，電子の運動や相互作用など微視的情報から，確率統計の考え方を取り入れて，巨視的な性質を導く理論体系である．つまり，巨視的性質を経験則によって説明する熱力学に対して微視的根拠を与え，ミクロとマクロをつなぐ役割を担っている．気体，液体，固体などの物質の性質は，極めて多数の粒子の振る舞いで決まるが，個々の粒子を追跡することは不可能である．もし可能だとしても，個々の粒子とそれらの相互作用から，極めて多数の粒子の集団的性質を予言できるものではない．物質の性質を微視的性質から理解するためには，粒子を個別にではなく集団としてとらえなければならない．そこには，極めて物理学らしい概念，考え方，計算手法が現れる．本講義では，それら統計力学の基本的な考え方を学び，代表的な問題を解くことで，物理学や化学の問題に対しての統計力学の有用性を理解する．そして，原子や分子を操作し新しい機能を持つ材料を作製，分析，応用する，最先端の物質工学の根本となる専門的知識技術の習得を目指す．
［具体的な達成目標］
微視的な性質から物質の巨視的な性質を導き，熱力学に対して微視的な根拠を与える，統計力学という理論体系の考え方，基礎的知識，基本的問題への応用力を習得するために，以下の達成目標を目指す． （１）各種アンサンブルの概要を説明できる． （２）理想気体の熱力学を統計力学で説明できる． （３）エントロピーの微視的意味を説明できる． （４）閉じた系，開いた系へ統計力学を適用できる． （５）統計力学を用いて相転移の概念を説明できる． （６）量子統計の特徴を説明できる．
［必要知識・準備］
熱力学，初等力学，初等量子論，量子力学，微分積分学，複素関数論．
［評価方法・評価基準］
No 評価項目 割合 評価の観点 1 試験：期末期  60  % 具体的な達成目標に対する達成度を評価する．  2 小テスト／レポート  40  % 毎回の授業内容の理解度を評価する．
［教科書］
独自の講義ノートを用いる．, ※たくさんの教科書が出版されているので，自分に合うものを見つけて欲しい．
［参考書］
加藤岳生, ゼロから学ぶ統計力学, 講談社, ISBN:9784061546769 北原和夫，杉山忠男, 統計力学, 講談社, ISBN:9784061572089 松下貢, 統計力学入門, 裳華房, ISBN:9784785322670 田崎晴明, 統計力学Ｉ・ＩＩ, 培風館, ISBN:9784563024376 市村浩, 統計力学, 裳華房, ISBN:4785321342
［講義項目］
第１回：統計力学とは何か？ 第２回：熱力学の復習 第３回：ミクロカノニカルアンサンブル 第４回：カノニカルアンサンブル 第５回：グランドカノニカルアンサンブル 第６回：ゴム弾性 第７回：単原子分子理想気体 第８回：固体比熱 第９回：相転移と相分離 第１０回：イジングモデルと強磁性相転移 第１１回：気液相分離 第１２回：ギンツブルク−ランダウ理論 第１３回：ボース−アインシュタイン統計 第１４回：フェルミ−ディラック統計 第１５回：総括評価・まとめ
［教育方法］
講義で学んだ統計力学の基本的な考え方を，代表的な問題へ応用することで，理解度を深めるとともに，応用力を身につける．毎回の授業でレポートに取り組むことで，確実な知識の定着を目指す．原則「ライブ型」によるリアルタイムのオンライン形式で行う．ただし，総括評価・まとめは対面形式で行う．
［JABEEプログラムの学習・教育目標との対応］
(未登録)
［その他］
(未登録)