山梨大学電子シラバス>検索結果一覧>授業データ



授業科目名 システムダイナミックス及び実習
時間割番号 LEV233
担当教員名 島  弘幸
開講学期・曜日・時限 後期・火・III 単位数 2
<対象学生>
非開講(過年度生・希望者のみ対象)
<授業の目的および概要>
 物理学の視点から複合的なシステムとして存在する自然環境や社会現象を簡便にモデル化し、システムダイナミックスの手法を用いてシステムの振舞いを解析する手法を学ぶ。汎用ソフトのSTELLAを利用してシミュレーションの実習も行う。
<到達目標>
 複雑な社会システムや環境システムの振舞を知る手法として、コンピュータシミュレーションがある。システムを簡単な物理モデルで記述し、システムの特徴を調べることができる。この授業の目標は、複雑なシステムを物理学の視点から簡単なモデルに書き換え、システムシミュレーションの技法を駆使して、システムの振舞を理解できるようになることである。
<授業の方法>
前半で講義を行い、後半で講義に関連した内容のコンピュータ実習を行う。
講義は行わず実習のみを行うこともある。
<成績評価の方法>
No評価項目割合評価の観点
1小テスト/レポート 70  %授業の理解と学習意欲さらにはプログラミング能力の向上を見るためにレポートの提出を求める。 
2受講態度 30  %プログラミングの実習を行うので、出席状況を勘案しながら、授業への取り組みの意欲を評価する。 
<受講に際して・学生へのメッセージ>
教科書を指定しないかわりに、講義内容に関連する資料をその都度配布する。
<テキスト>
(未登録)
<参考書>
  1. M.L.Deaton & J.J.Winbrake, Dynamic Modering of Environmental Systems, Springer 2000, ISBN:0387988807
<授業計画の概要>
第1回:システムダイナミックスの概要
自然環境や社会システムのような複雑なシステムのシミュレーションを実行するために発展してきたシステムダイナミックス手法について説明する。

第2回:シミュレーションソフトSTELLA に関する説明
実習で利用する汎用ソフトSTELLA の特徴や使用方法について説明する。

第3回:システムの基本要素システム思考。
静的システムとダイナミックシステムの例を用いて、入力・出力、フィードバック機構など、システムの特徴的な振舞を理解する。

第4回:環境システムにおける基本的なモデル概念
個体数の変動は環境・社会システムを記述する上で欠くことのできない特徴であることから、人口の変動を基本とした環境システムについて説明する。

第5回:線形的な成長と激衰、指数関数的な成長と激衰
簡単なシステムとして物理量が線形的に増加・減少あるいは指数関数的に増加・減少を続けるシステムの振舞を解析的に理解する。

第6回:ロジスティックな成長
力学的にもよく知られているロジスティック曲線にしたがう人口増加を例としてシステムを記述し素の振舞を理解する。

第7回:オーバーシュートと崩壊
ロジスティックなシステムの応用として人口と資源が相互に関連し合うオーバーシュートと崩壊の振舞を理論的に学習する。

第8回:捕食・非捕食の振動システム
捕捉と非捕食の物理モデルも相互に関連し合うシステムの振舞を示すが、時間とともに周期が4分の1ずれた力学的な振動現象を示すことを学ぶ。

第9回:レポート作成(これまでの学習のまとめ)
システムの振舞を理解する上で重要な基本的振舞について理解度を評価するためにレポートを作成させる。

第10回:生態系における物質循環システム
炭素や窒素、イオウ、リン、水などの物質循環における特徴及びフローに関するドナー・レセプター制御について学習する。

第11回:温室効果と地球温暖化1(温暖化モデルの説明・理論解析)
温暖化を物理的に捉え、太陽エネルギー流量に対する温室効果ガスの影響に関する理論解析と導出されたレート方程式の振舞について学習する。

第12回:温室効果と地球温暖化2(シミュレーションプログラムの作成)
エネルギーの流れに着目した物理モデルとして地球温暖化モデルをSTELLAを利用してプログラミングする。

第13回:地球温暖化シミュレーションのレポート作成1
シミュレーションを実行し、物理的に計算される地球の平均気温と同じ温度が導出されることを学ぶ。

第14回:地球温暖化シミュレーションのレポート作成2
温暖化モデルの物理パラメータ(潜熱・顕熱、惑星反射率、吸収・反射率等)を変更することによって、地球の平均気温やエネルギーの流れがどのように変化するのかを見る。

第15回:地球温暖化シミュレーションのレポート作成3
温暖化を促進する正のフィードバックや抑制する負のフィードバックを同定し、地球温暖化をよりよく理解する。全体的なシステムの振舞をレポートにまとめる。