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授業科目名 生物工学実験II
時間割番号 LBT321
担当教員名 山村 英樹/中川 洋史/大槻 隆司
開講学期・曜日・時限 前期・月/火/木/金/水・III-IV/III-IV/III-IV/III-IV/III-IV 単位数 3
<対象学生>
BT過年度生
<授業の目的および概要>
本実験では、前半で応用微生物学実験、後半に分子生物学実験を行う。
1:基礎微生物学、応用微生物学I,IIの知識を基に、応用微生物学実験を行う。バイオテクノロジーに関する様々な研究を進める上で必要な微生物学的手法を修得する。殺菌法、無菌操作法、各種培養基の調整、接種・培養法、微生物の肉眼的観察、顕微鏡観察、生体染色、有用微生物の純粋分離等を行う。
2:生物の能力を利用して人類に恩恵をもたらす生物工学では、DNAの情報をもとに成り立っている細胞の生化学を基本に、応用のために多くの知識と技術が求められるため、生物機能の解析や利用に必須である分子生物学・遺伝子工学の分野を重点的に実践する。この過程で行う培養、遺伝子クローニングなどの技術を「手段」の一つとして身につけることも重要であるが、目的達成のためにどのような戦術を用いてアプローチするかを考える力を養うことに主眼を置く。
<到達目標>
1.殺菌、無菌操作、各種培養基の調整、肉眼および顕微鏡観察、生理性状試験、純粋分離などの技術を身に付け、自ら実践できる。
2.DNAや酵素の取扱に関する基礎知識および技術を習得する。
3.遺伝子組換え生物の取扱に関する基礎知識および技術を習得する。
4.基本的な生物機能解析・改変方法論の理解する。
<授業の方法>
対面実習。マスク着用、適宜喚起を行い、手洗いや手指の消毒を行う。新型コロナウイルス対応の動向により変更することがあるのでCNSやMoodleでの連絡に注意すること。
研究室で作成した英文の実験テキスト「Experiments on Applied Microbiology」および「日程表(実験の進行と準備)」をプリントして配布する。実験開始前に当日の実験内容に関する説明およびデモンストレーションをできるだけ丁寧に行う。実験は原則、個人実験として行い、必要に応じ、各人の技術(無菌操作、染色技術、顕微鏡操作法等)の修得具合をチェックする。各実験項目が終わった際にはそのつど小レポートを提出させる。実際の実験研究と同様に、最終目的に向けて順序立てて実験を組み立て、理解しやすく基礎知識や技術が習得できるよう工夫している。日々の実験の最初に、その日の実験の内容、意味、注意点等について詳しく説明し、その後実際に実験を行うことで、より理解が深まりやすいようにしている。最終レポートの様式はできるだけ卒論に近いものとする。
<成績評価の方法>
No評価項目割合評価の観点
1小テスト/レポート 50  %本実習で身に付けた知識や方法に関する設問に対して、正確に記述できるかを評価する。本人が内容 を十分に理解し、他人にもわかりやすくレポートを作成できているか、 理論的に考察が行えているかを高く評価する。最終レポートにお いては実験に関連する設問を課すのでその解答も必須とする。 
2受講態度 35  %課題に対する復習や授業中における疑問点への質問の回数等を評価する。 本実験は一連の流れとして理解できるように組んであるので、無断の遅 刻・欠席は大きな減点となる。 
3発表/表現等 15  %スケッチ等の小レポートおよび最終レポートが正確に記述できているかを評価する。グループ実験であるので積極的に実験に参加することを期待する。実験をそつなくこなすことではなく、目的を理解した上で、理論的かつ効率 的に行うことを重視する。 
<受講に際して・学生へのメッセージ>
基本的な化学実験技術を身に付けているとともに、微生物およびその取扱法に関する知識を有していることが要求される。これまで履修してきたすべての講義、演習、実験で得た知識と経験を総動員する必要があるので、復習をよくしておくこと。実習であるのでやむを得ない理由以外の欠席が重なると単位を認められないので心して履修されたい。
<テキスト>
  1. 東京大学大学院農学生命研究科 応用生命化学専攻・応用生命工学専攻編, 実験農芸化学, 朝倉書店, ISBN:4254431155
  2. 専用テキストを配布する
<参考書>
  1. 関口睦夫 監訳, 遺伝子操作の原理 第5版, 培風館, ISBN:4563077585
<授業計画の概要>
第1週:生物工学実験IIの概要説明、殺菌法および無菌操作法の実習を行い、基本的な微生物培養基(天然培地、合成培地等)を作成し、細菌、放線菌、カビ、酵母の代表的な菌種の接種技術、培養技術について実習を行う。純粋培養に至る一連の操作が自らできるようになることを目標とする。
第2週:各種微生物の培養技術(液体培養法、平板培養法等)、生育している微生物の肉眼観察技術を実習する。光学顕微鏡の原理と操作法について実習する。各種微生物の顕微鏡標本の作成法を学び、スケッチを行う。培養中各種微生物を所定の項目について観察し、菌種を同定できること、細菌、放線菌、カビ、酵母の代表的菌種の標本を自ら作製でき、顕微鏡下で各微生物の特徴を示す微小形態のスケッチを完成することを目標とする。
第3週:微生物の生理性状試験(細菌の酵素試験、酵母の発酵試験)、空中微生物の採取、培養、同定、ヨーグルトからの乳酸菌分離と同定、生体染色法(酵母の胞子染色、細菌のグラム染色他)、育種改良に重要な突然変異誘発と変異株の取得法、PCを用いたデータ(変異誘発率、生理的性状試験、分離実験等)解析法を実習する。微生物機能の検出技術を修得すること、単離微生物を純粋分離し、簡易同定、菌種の推定ができること、育種改良に関する基礎技術の修得を目標とする。PCを用いたレポート作成、実験内容の理解に関する試験を行う。
第4週:DNAの取り扱い、無菌操作、培養の実習を行う。遺伝子クローニングにおける目的外微生物混入阻止は、目的外遺伝子混入と目的遺伝子を破壊するDNA切断酵素の混入を避けるために必須である。その点を理解し、留意した無菌操作、純粋培養を自ら計画し、実施できることを目標とする。
第5週:遺伝子クローニング、電気泳動等によるDNA・タンパク質の解析、酵素発現実験を行う。プラスミドDNAおよびターゲット遺伝子の塩基配列情報をデータベースより抽出すること、クローニングに必要な制限酵素処理、ライゲーション、電気泳動、形質転換によるクローニングの成否を独力で正しく判断できることを目標とする。
第6週:組換え体酵素生産、有用物質生産タンパク質量測定、酵素活性測定に関する実験を行う。目的酵素組換え体大量発現に必要な実験条件設定、タンパク質生産量および酵素活性測定法を自ら調査、計画し、定量実験が行えること、測定データを統計的に正しく処理・評価できることを目標とする。
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
公的研究機関(微生物研究分野、分子生物学分野)に勤務した経験をもつ教員が、微生物資源の収集経験、保存および管理に関する経験を生かして、なぜ微生物を学ぶのか、どのように産業に利用されてきたのかを、学生に問いながら授業を行う。