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授業科目名 西洋史特殊講義
時間割番号 EES301
担当教員名 皆川 卓
開講学期・曜日・時限 後期・月・III 単位数 2
<対象学生>
3年生以上
<授業の目的および概要>
中・近世ヨーロッパの国家的アイデンティティ(national identity)の形成過程とメカニズムを学び、それが近代国家にどのような影響を与えたかという点について、最新の研究成果を論じ、それが当時の世界観と価値観にどのような変化をもたらしたかを考える。
<到達目標>
歴史に対する社会的な視点での分析能力を高めると共に、現在の激しい社会的流動性にどのように向き合うべきかを巨視的に考察し、耐える力を養う。
<授業の方法>
配布したプリントの内容に沿って、講義形式で行う。単元の終了ごとに出席カード等で質問や意見を受け付ける。成績は期末に行う定期試験と出席状況、そしてこの質問・意見の提出状況で評価する。
<成績評価の方法>
No評価項目割合評価の観点
1小テスト/レポート 60  %講義理解力/問題設定能力 
2受講態度 40  %講義理解力/問題設定能力 
<受講に際して・学生へのメッセージ>
ナショナリズムは近代主権国家の中で生まれたものですが、その「元ネタ」はそれに先立つ各国の歴史、特に近代の基礎となる社会構造が創られた近世(16〜19世紀。日本で言う戦国〜江戸時代)にあります。ここで創られたコンセプトが、なぜ国への感情的な執着を生み出すのか、それを、ナショナリズムの基本的なメカニズムと、それぞれタイプの違う近世史を抱えるヨーロッパの三つの国の例を重ね合わせて読み解いてきます。
<テキスト>
  1. テキストは使用しない
<参考書>
  1. 塩川伸明, 民族とネイション−ナショナリズムという難問, 岩波書店, ISBN:400431156X
  2. 谷川稔, 国民国家とナショナリズム, 山川出版社, ISBN:4634343509
  3. 樋口映美・中條献, 歴史のなかの「アメリカ」−国民化をめぐる語りと創造, 彩流社, ISBN:4779111471
<授業計画の概要>
1. ナショナリズムの光と影(1〜3回)
2.近代以前に国民主義は存在するか(4〜5回)
3.ナショナリズムの「パーツ」を生み出す各国の「歴史主義」(6〜7回)
4.近世の国家と個人の帰属意識を重ねる試み:「王国」のフランス(8〜9回)
5.近世の国家と個人の帰属意識を重ねる試み:「帝国」のブリテン(10〜11回)
6.近世の国家と個人の帰属意識を重ねる試み:「国家連合」から「民族」に変容するドイツ(12〜14回)
7.総合評価とまとめ−日本型「祖国愛」のカルテ(15回)