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授業科目名 博物館展示論
時間割番号 EEC218
担当教員名 小畑 茂雄
開講学期・曜日・時限 後期・火・II 単位数 2
<対象学生>
学芸員資格の取得を目指す学生を対象とする。
<授業の目的および概要>
「私たちにとって〈展示〉とはなにか」という問いから、展示製作における考え方や実践的知識および技能を身につけるとともに、博物館の諸機能との関係性やミュージアムの経営的観点から考察し、博物館展示を形成的かつ立体的に理解することを目的とする。
<到達目標>
・学芸員としての立場から、展示を利用する人々の目線や需要に配慮した博物館展示のあり方について考察し、具体的手法について積極的に提案すること。
・博物館展示にまつわる制限事項や課題について理解し、現実性の伴った改善策を提案すること。
・以上の目標に基づいて授業に参加し、最終的にはオリジナルの展示計画を立案し、展示設計や施工に結びつく内容を備えたレポートにまとめること。
<授業の方法>
スライドショーを用いた講義中心の授業形式をとるが、適宜ディスカッションや実技的な演習、展示施設(学内)見学などを行う。初回に「自分にとって心に残っている展示」を問うので、一利用者としての「展示の価値」についてふりかえり臨んでもらいたい。そして、授業を通じては、学芸員としてどのように「展示の価値」をもたらすかを思考することをもとめるので、最終的なレポートも見据えて「作りたい展示」を意識しながら受講してほしい。
<成績評価の方法>
No評価項目割合評価の観点
1小テスト/レポート 80  %展示計画に必要な要素を立案できたか(期末レポート) 
2受講態度 10  %意見の発表や議論へ積極的に参加できたか(演習・発表) 
3発表/表現等 10  %学芸員としての視野から展示に関する手法や改善点について考察できたか(演習・発表) 
<受講に際して・学生へのメッセージ>
学芸員資格を取得する動機やモチベーションはそれぞれですが、取得するからには教職員としての、あるいは自らの生涯にわたる学習利用を目的として、博物館展示を見る目を培ったり、使い方を広げられるように、意欲的に授業に参加していただきたいと思います。
<テキスト>
(未登録)
<参考書>
  1. 椎名仙卓著, 日本博物館成立史 : 博覧会から博物館へ, 雄山閣, ISBN:4639018924,
    (2005年出版 わが国における博物館展示の源流について学べます。)

  2. デビッド・ディーン著 ; 山地秀俊, 山地有喜子訳, 美術館・博物館の展示 : 理論から実践まで, 丸善, ISBN:9784621073629,
    (2004年出版 海外の著作ですが、具体的に展示の原理や手法が記された良著です。)

  3. 平井康之 [ほか] 著, 知覚を刺激するミュージアム : 見て、触って、感じる博物館のつくりかた, 学芸出版社, ISBN:9784761525682,
    (2014年出版 見るだけでない「鑑賞」や、さまざまな人がともに楽しめる展示へのヒントが挙げられています。)

  4. 藤原工著, 学芸員のための展示照明ハンドブック : 博物館と美術館の照明に役立つポイント, 講談社, ISBN:9784061565210,
    (2014年出版 あまり出版例がない展示照明に関する書籍です。)

  5. 稲庭彩和子, 伊藤達矢著 ; 東京都美術館×東京藝術大学とびらプロジェクト編, 美術館と大学と市民がつくるソーシャルデザインプロジェクト, 青幻舎, ISBN:9784861527005,
    (2018年出版 展示をめぐるコミュニケーションやソーシャルデザインに関する取り組み事例です。)
<授業計画の概要>
【内容(前年度実績に基づく予定)】
・第1回 「展示とは何か」
 博物館展示を学ぶことの目的と到達目標について
 (※「記憶と心に残った博物館展示」は何か口頭で発表できるように準備すること)
・第2回 「人々と展示」
 おもしろい展示とつまらない展示のあいだ 「展示価値」とは何か
・第3回 「さまざまな展示」
 展示の類型や手法について
・第4回 「さまざまな展示」
 どのような展示を行うべきか コロナ禍のなかの展示
・第5回 「博物館の使命と展示構想・計画」
 どうして・どのように作るのかの実務
 (※あなたが「博物館展示に求めるもの」について発表できるように準備すること)
・第6回 「博物館の使命と展示構想・計画」
 展示内容やアイディアを可視化する
・第7回 「博物館展示の評価」
 博物館展示に対する評価のあり方とやり方
 (※博物館などを訪れた際には、展示を評価する視点でチェックしてみてください。)
・第8回 「企画展示」
 さまざまな企画展とその実務
・第9回 「展示計画レポートに向けて」
 展示の主題・主体・使命・目的・規模・構成・手法・運営
 (※オリジナルの展示計画のテーマ案を作成して発表できるように準備すること)
・第10回 「展示の要素」
 展示を構成する備品・製作物・デザイン・環境・演出と実務
・第11回 「施設見学」
 学内の大村智記念学術館を見学予定
・第12回 「ライティング」
 展示演出の基礎と制限と可能性およびその知識と実務
・第13回 「展示の活用とワークショップ」
 展示の理解とコミュニケーション 
 (※「視覚障害者と絵画を鑑賞するワークショップ」の疑似体験を行います。)
・第14回 「展示の活用と解説」
 博学連携の現況 生涯学習と「回想法」
・第15回 「これからの博物館展示」
 問われる主体とテクノロジー 「開かれた展示」とは 「役に立つ」博物館展示

(※順序は前後する場合がある。進捗状況によって、「壁面展示実習」、「立体物の固定」、「施設見学2」に変更される場合がある。)
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
公立博物館の学芸員として、展示施設の立ち上げと開館後の運営に従事してきた実務経験から、そのプロセスや関連事項、必要な知識・技能について、多数の実例を提示しながら、展示について考察を深める機会としていく。