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授業科目名
解剖学B
担当教員
竹田 扇/小田 賢幸
時間割番号
単位数
履修年次
期別
DMB201 4 2 通期
[学習目標]
<解剖学総論>
肉眼解剖学履修の目標は人体に関する3次元の地図を頭の中につくることである。人間は自らの身体を皮膚、筋肉、骨、内臓などに分節し、それぞれに名称を付し概念化することで理解を試みた。またこの方法論を用いると知識構造は必然的に重層的し、それに応じた膨大な名称が発生する。これらを習得するにあたって基本となる解剖学総論を前期の系統講義で学ぶ。膨大な個別知識の抽象化がその主な目的であるため最初は難しく感じると思われる。従って理解の助けとなるような具体例を交えながら講述するので、それを基盤にしてまずは諸君それぞれが規範的な人体の見取図を構築してもらいたい。

<発生学・骨学>
1個の受精卵から発生する人体は最終的には37兆の細胞からなる有機体を形成する。上述の様に領域、階層ごとにある程度の理解が進んでいれば俯瞰的な理解が可能となる。本講では発生学の基本知識をいくつかの領域ごとに講述し、身体の部品がどのように形成されるのかを概説する。同時に骨学実習を展開することで実像と概念の照合を行い、得られた知識を実のあるものとすることも目的である。

<肉眼解剖学実習>
系統講義で得られた知識に基づいて献体を用いた系統解剖学実習を展開し、知識と実像を比較する。また細部の名称を解剖を通じて覚える。実習前に1時間程度の実習講義を行うが、当日の実習範囲を完全に網羅することはできない。従って献体が無償で提供された貴重な教材であることを常に意識し、十分な予習を行ってから実習に臨む姿勢が要求される。また献体に接することで医師としての倫理観を涵養し、併せて解剖に関する法的取り扱いも知ってもらいたい。一方、実習では実習書とアトラスが不可欠である。タブレットに読み込んだ電子書籍のアトラスでも構わない。また全15回が予定されている小テストでは、解剖学用語の確認のみならず、3次元的な構築や障害された場合の症状などに関しても問う。それぞれの構造と機能を表裏一体のものとして捉えることで、臨床医学での症状、徴候、病態生理を理解する上での基盤が形成される。
[授業計画
2021.05-13(木)PM 発生学講義(01)概論
2021.05-17(月)PM 発生学講義(02)頭頚部
2021.05-20(木)PM 骨学講義・実習(01)体幹を構成する骨
2021.05-27(木)PM 骨学講義・実習(02)下肢を構成する骨
2021.06-01(火)PM 骨学講義・実習(03)上肢を構成する骨
2021.06-03(木)PM 骨学講義・実習(04)頭蓋を構成する骨
2021.06-07(月)PM 発生学講義(03)消化器系
2021.06-10(木)PM 発生学講義 予備日
2021.06-15(火)PM 発生学講義(04)泌尿生殖器系
2021.06-24(木)PM 発生学講義(05)循環器系
2021.06-25(金)PM 発生学試験 予備日
2021.07-19(月)PM 中間試験

2021.09-15(水)PM 肉眼解剖学実習(01) はじめに 皮剥ぎ 頸部と体幹の浅層 §1-3
2021.09-16(木)PM 肉眼解剖学実習(02) 頸部と体幹の浅層 §4-6
2021.09-17(金)PM 肉眼解剖学実習(03) 頸部と体幹の浅層 §7&8
2021.09-21(火)PM 肉眼解剖学実習(04) 頸部と体幹の浅層 §9&10
2021.09-22(水)PM 肉眼解剖学実習(05) 上肢 §11&12
2021.09-28(火)PM 肉眼解剖学実習(06) 上肢 §13-15
2021.09-29(水)PM 肉眼解剖学実習(07) 上肢 §16&17
2021.09-30(木)PM 肉眼解剖学実習(08) 上肢 §18-20
2021.10-04(月)PM 肉眼解剖学実習(09) 上肢 §21-25(§21-23を重点的に)
2021.10-05(火)PM 肉眼解剖学実習(10) 体壁 §26-29(§28&29を重点的に)
2021.10-08(金)PM 肉眼解剖学実習(11) 体壁 §30-34
2021.10-12(火)PM 肉眼解剖学実習(12) 胸腔 §35-37
2021.10-15(金)PM 肉眼解剖学実習(13) 胸腔 §38-40
2021.10-18(月)PM 肉眼解剖学実習(14) 胸腔 §41&42
2021.10-19(火)PM 肉眼解剖学実習(15) 腹腔 §43-45
2021.10-22(金)PM 肉眼解剖学実習(16) 腹腔 §46-48
2021.10-25(月)PM 肉眼解剖学実習(17) 腹腔 §49&50
2021.11-01(月)PM 肉眼解剖学実習(18) 腹腔 §51&52
2021.11-02(火)PM 肉眼解剖学実習(19) 下肢 §53-55 
2021.11-05(金)PM 肉眼解剖学実習(20) 下肢 §56&57
2021.11-08(月)PM 肉眼解剖学実習(21) 下肢 §58-60
2021.11-10(水)PM 肉眼解剖学実習(22) 下肢 §61-63(§61&62を重点的に)
2021.11-15(月)PM 肉眼解剖学実習(23) 骨盤 §64-65m或いは§64-66f
2021.11-17(水)PM 肉眼解剖学実習(24) 骨盤 §66m-68m或いは§67f-69
2021.11-18(木)PM 肉眼解剖学実習(25) 骨盤 §69-71或いは§70f&71
2021.11-19(金)PM 肉眼解剖学実習(26) 頭部 §72&73
2021.11-24(水)PM 肉眼解剖学実習(27) 頭部 §74-76
2021.11-29(月)PM 肉眼解剖学実習(28) 頭部 §78&79
2021.12-01(水)PM 肉眼解剖学実習(29) 頭部 §80-82
2021.12-06(月)PM 肉眼解剖学実習(30) 頭部 §83&84
2021.12-08(水)PM 肉眼解剖学実習(31) 頭部 §85-88
2021.12-09(木)PM 肉眼解剖学実習(32) 頭部 §89-91(§89&91を重点的に)
2021.12-13(月)PM 納棺・実習室清掃
2022.01-      解剖学B試験

〈授業形態について〉
本科目は面接授業を基本とする。但し、新型コロナウィルスの状況に応じて面接授業とライブ配信の併用を行う。
[到達目標]
1.解剖学総論
(1)からだを記述する際の軸、断面、運動の方向などを理解し運用できること。
(2)からだを構成する器官系を理解しその構成と機能を説明できること。

2.発生学・骨学
(1)ヒトの発生の概要を理解し、その特徴、過程を説明出来ること。特に胚盤胞、原腸形成、3胚葉の概念を理解すること。
(2)人体解剖学各論で扱う複雑な臓器の成り立ちを理解する為の基盤を構築すること。そのためには各胚葉からの器官原基の分化を理解すること。
(3)神経堤の発生の概要を理解し、その特徴、分化する組織を説明できること。
(4)咽頭弓の概念を理解し、その発生に関して説明できること。
(5)現代生命科学の基盤としての発生学を理解し基本的な遺伝子操作を説明出来ること。
(6)頭頚部の構造を骨、筋肉、軟骨などの骨格が頭蓋腔、鼻腔、副鼻腔、口腔などの腔を形成する観点から理解し、図示できること。
(7)顔面発生の概要を理解し、その形成過程を適切な用語を用いて説明できること。
(8)口蓋発生の概要を理解し、その形成過程に関して説明できること。
(9)消化器を管と腺に分けてそれらの簡単な機能を説明できること。
(10)消化器の発生を原腸の回転、腸管膜の発生と関連づけて説明できること。
(11)男性生殖器、女性生殖器の構造と機能を概説できること。
(12)男女の生殖器の構造的相違や発生学的な類似点を意識しながらその発生過程を説明できること。
(13)泌尿器の発生に関して概説できること。
(14)心臓と大血管の構造と機能を概説できること。
(15)心臓の発生と胎児循環を概説し、その異常と先天性心疾患の関係を説明できること。
(16)身体を構成する骨を4つの領域に分けてその構築を説明できること。
(17)関節に関してその種類を挙げ、構造と運動様式から分類・説明できること。

3.肉眼解剖学実習
(1)献体を解剖することを通じて医師としての倫理感を涵養すること。
(2)体表から体内の構造の大まかなマッピングを推測できるようになること。
(3)皮膚から骨、もしくは内臓に至る構造がどの様に重層されているか、また体腔がどの様な広がりを見せているかを理解すること。
(4)頭部、体幹部の断層像と3次元の構造の相互関係を理解し説明できること。
(5)主要な構造の解剖学名を正確な日本語で覚え、その上でこれに対応する英語もしくはラテン語を運用できること。
(6)主な構造に関して簡単なスケッチを描き、それをもとにわかりやすく説明できること。
[実務経験のある教員による授業科目の概要]
医師として実務経験のある教員が講義、実習を行っている。(発生学特別講義、肉眼解剖学実習)
[評価方法]
No評価項目割合評価の観点
1試験:期末期 40  %総合的な問題で到達目標達成の判定を行う。 
2試験:中間期 25  %骨学、発生学の中間試験を行う。 
3小テスト/レポート 30  %肉眼解剖学実習では実習2回につき1回、小テストを行う。小テストの結果が悪い者を対象に、実習中に口頭試問を行う。 
4受講態度 5  %講義は3分の2以上、実習は9割以上出席しない場合、試験の受験資格を失う。 
[教科書]
  1. Langman's medical embryology : pbk., International ed 13th ed., Tokyo : Wolters Kluwer, ISBN:9781469897806,
    (2015年出版)

  2. T.W. サドラー著 ; 安田峯生, 山田重人訳, ラングマン人体発生学 第11版, メディカル・サイエンス・インターナショナル, ISBN:9784895928397,
    (2016年出版)

  3. 寺田春水, 藤田恒夫著, 骨学実習の手びき 第4版, 南山堂, ISBN:9784525103248,
    (1992年出版)

  4. 伊藤隆原著, 解剖学講義 改訂3版 / 高野廣子改訂, 南山堂, ISBN:9784525100537,
    (2012年出版)

  5. 寺田春水, 藤田恒夫著, 解剖実習の手びき 11版, 南山堂, ISBN:9784525103118,
    (2004年出版)

  6. Frank H. Netter著 ; 相磯貞和訳, ネッター解剖学アトラス, エルゼビア・ジャパン,南江堂 (発売), ISBN:9784524259670
  7. 坂井建雄, 河原克雅総編集, カラー図解人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版, 改訂第4版, 日本医事新報社, ISBN:9784784931811,
    (2021年出版)

  8. Richard L.Drake, A.Wayne Vogl, Adam W.M.Mitchell原著 ; 塩田浩平 [ほか] 訳, グレイ解剖学, エルゼビア・ジャパン, ISBN:9784860347734,
    (2011年出版)
[参考書]
  1. 萬年甫, 原一之共著, 脳解剖学, 南江堂, ISBN:9784524201884,
    (1994年出版)

  2. Scott F. Gilbert, Developmental biology 10th ed, Sinauer Associates, ISBN:9781605351735,
    (2014年出版)

  3. Scott F. Gilbert著, ギルバート発生生物学, メディカル・サイエンス・インターナショナル, ISBN:9784895928052,
    (2015年出版)

  4. chairman of the editorial board, Peter L. Williams ; editorial board, Lawrence H. Bannister ... [et al.], Gray's anatomy : the anatomical basis of medicine and surgery 38th ed, Churchill Livingstone, ISBN:9780443045608,
    (1995年出版)

  5. Keith L. Moore, Arthur F. Dalley, Anne M. R. Agur, Clinically oriented anatomy : pbk 6th ed, Wolters Kluwer, Lippincott Williams & Wilkins, ISBN:9781605476520,
    (2010年出版)

  6. Michael Schunke, Eric Schulte, Udo Schumacher ; Illustrationen von Markus Voll, Karl Wesker, Allgemeine Anatomie und Bewegungssystem 2., überarbeitete. und erw. Aufl, Thieme, ISBN:9783131395221,
    (2007年出版 Prometheus : Lernatlas der Anatomie)

  7. Bruce Ian Bogart, Victoria H. Ort著 ; 依藤宏 [ほか] 訳, 解剖学・発生学, 東京化学同人, ISBN:9784807916450,
    (2011年出版 インテグレーテッドシリーズ, 3)

  8. 前田 恵理子著, 解剖実習室へようこそ, 医学書院, ISBN:4260100807,
    (2005年出版)

  9. 松村讓兒著, 臨床につながる解剖学イラストレイテッド, 羊土社, ISBN:9784758120258,
    (2011年出版)

  10. 寺島俊雄著, カラー図解神経解剖学講義ノート, 金芳堂, ISBN:9784765315067,
    (2011年出版)

  11. M.J.T. FitzGerald, Jean Folan-Curran著 ; 井出千束, 杉本哲夫, 車田正男訳, カラー臨床神経解剖学 : 機能的アプローチ, 西村書店, ISBN:4890133372,
    (2006年出版)

  12. edited by Eric R. Kandel ... [et al.] ; art editor, Sarah Mack, Principles of neural science : hard cover 5th ed, McGraw-Hill Medical, ISBN:9780071390118,
    (2013年出版)

  13. Liqun Luo, Principles of neurobiology : hard, Garland Science, Taylor & Francis Group, ISBN:9780815344926,
    (2016年出版)