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授業科目名
解剖学A
担当教員
小田 賢幸
時間割番号
単位数
履修年次
期別
DMB101 2 1 通期
[学習目標]
ヒトのからだの構造を理解するには、顕微鏡を使う方法 (顕微解剖学=組織学)と実際に剖出し肉眼で観察する方法 (肉眼解剖学) がある。本講では前者を利用して人体構造の成り立ちを理解することを目標とする。そもそも人体は分子、細胞小器官、細胞、組織、器官、器官系という階層構造で理解するのが原則であり、このうち組織学では主に細胞と組織という基本構造を対象とする。具体的には各回の講義で組織それぞれに関する基本的な知識を習得し、顕微鏡観察でそれらを確認する作業を行う。また観察結果はスケッチに加え必ず適切な用語、説明文を用いて記録に残す。これにより組織を構成する細胞とその隙間を埋める細胞外基質の関係性、それぞれの組織プロトタイプの理解が進む。用語に関しては日本語に加えて主要なものは英語も覚えておくことが望ましい。
[授業計画
2020.09-25 (金) PM 人体解剖学講義 (01) 組織学総論1 細胞生物学I 細胞の成り立ち 2コマ 竹田
2020.09-28 (月) PM 人体解剖学講義 (02) 組織学総論2 細胞生物学II 細胞小器官の構造と機能   2コマ 竹田
2020.09-29 (火) PM 人体解剖学講義 (03) 組織学総論3 上皮組織       2コマ 竹田
2020.09-30 (水) PM 人体解剖学講義 (04) 組織学総論4 結合組織 (01)    2コマ 竹田
2020.10-02 (金) PM 人体解剖学講義 (05) 組織学総論5 結合組織 (02)    2コマ 竹田
2020.10-09 (金) PM 人体解剖学講義 (06) 組織学総論6 筋組織       2コマ 竹田
2020.10-16 (金) PM 人体解剖学講義 (07) 組織学総論7 神経組織     2コマ 竹田
2020.10-30(金)13:10〜 中間試験
2020.10-30 (金) PM 人体解剖学講義 (08) 組織学各論3 皮膚       2コマ 竹田
2020.11-06 (金) PM 人体解剖学講義 (09) 組織学各論2 呼吸器        2コマ 成田
2020.11-13 (金) PM 人体解剖学講義 (10) 組織学各論1 循環器        2コマ 成田
2020.11-20 (金) PM 人体解剖学講義 (11) 組織学各論4 造血リンパ系     2コマ 久冨
2020.11-27 (金) PM 人体解剖学講義 (12) 組織学各論5 消化器(I)     2コマ 久冨
2020.12-04 (金) PM 人体解剖学講義 (13) 組織学各論6 消化器(II)     2コマ 吉村
2020.12-11 (金) PM 人体解剖学講義 (14) 組織学各論7 消化器(III)    2コマ 吉村
2020.12-18 (金) PM 人体解剖学講義 (15) 組織学各論8 泌尿器      2コマ 成田
2020.12-23 (水) PM 人体解剖学講義 (16) 組織学各論9 内分泌      2コマ 竹田
2021.01-15 (金) PM 人体解剖学講義 (17) 組織学各論10 男性生殖器     2コマ 成田
2021.01-22 (金) PM 人体解剖学講義 (18) 組織学各論11 女性生殖器     2コマ 岩野
2021.01-29 (金) PM 人体解剖学講義 (19) 組織学各論12 視覚・聴覚器    2コマ 岩野
2021.02-05 (金) 13:10〜  最終試験                 

1コマ程度の講義ののちに実習を行う。実習は遅くまで残ればよいというものではなく、効率よく集中して学習することが重要である。決められた時間内に仕上げることはある意味重要な資質である。更に観察を深めたい学生には別途実習室開放を行う予定である。
[到達目標]
講義では総論、各論に分けて人体を構成する組織を総覧するが、時間が限られるため必要最低限の知識をまとめながら講述するに留まる。従って、細部に関しては教室内外での自主的な学習が必要となる。どの組織も基本的に総論で扱う4種類の基本組織 (上皮組織、結合組織、筋組織、神経組織) よりなる。従ってまずはこの4つの特徴を正確に理解し、各論理解の基盤を形成することが目標である。また、極論するならば組織を構成するものは細胞とそれが分泌する細胞外基質 (ECM) のわずか2つである。このような法則をしっかりと捉えた上で、各論に臨むならば組織の理解が容易となる。一方、構造の単純な暗記は極めて苦痛であり効率が悪い。従ってそれぞれの構造がどのような機能を遂行するために最適化されているかを考えることが重要である。ところで実習中に行われるスケッチはアートとは異なる。見たままの構造の中から細胞やその配列によって形づくられる組織の特徴を抽出し、説明図として完成させることが求められる。また、対象を正確に捉えるには道具 (顕微鏡) の動作原理と正しい使用法を理解する必要がある。本講ではその原則を学び日々実践することも目標の一つとしたい。

課題探求・解決能力
スケッチを行うことで、講義から得られた知識と観察によって集めた情報を統合する能力を養う。また、統合した知識を活用することで、未知の組織に出会った際、それが何であるかを予想する能力も涵養する。 
[実務経験のある教員による授業科目の概要]
主任教員は医師免許を持ち、解剖学領域全般に関する実務経験を有する。
[評価方法]
No評価項目割合評価の観点
1試験:期末期 35  %合格点に達していること。(概ね60%) 組織毎に4つの基本組織がどのようなかたちで存在し機能しているかを理解し、概説できること。また主な組織を図示し、正確な用語を用いて構造と機能を概説できる能力も問う。 
2試験:中間期 20  %合格点に達していること。(概ね60%) 4つの基本組織に関して基本的な事柄を理解し、説明できること。顕微鏡の簡単な原理と使用法を概説できること。 
3小テスト/レポート 40  %合格点に達していること。(概ね60%) 講義で示したポイントを理解しているかを問う。具体的には各器官・組織の構成および細胞内の微細構造について図示し、正確な用語で説明できるは否かを問う。 
4受講態度 5  %講義においては2/3、実習においては90%以上出席しないと試験の受験資格を失う。 
[教科書]
  1. Michael H Ross, Wojciech Pawlina, Histology: A Text and Atlas, with Correlated Cell and Molecular Biology, 8th Edition, LWW, ISBN:978-1496383426,
    (簡単な細胞生物学、アトラスもついている好著。Blooms & Fawcettに代わる現代組織学のスタンダードである。)

  2. 内山安男、相磯貞和 訳, Ross組織学 原書第7版, 南江堂, ISBN:978-4524243679,
    (教科書1の邦訳だが最新版ではない (最新版は8版))

  3. 藤田 尚男 ら, 標準組織学 総論 第5版, 医学書院, ISBN:978-4260015318,
    (本邦組織学教科書のスタンダード)

  4. 藤田 尚男 ら, 標準組織学 各論 第5版, 医学書院, ISBN:978-4260024044,
    (本邦組織学教科書のスタンダード)
[参考書]
  1. 中村桂子、松原謙一 監訳, Essential 細胞生物学(原書第4版), 南江堂, ISBN:978-4-524-26199-4