山梨大学電子シラバス>検索結果一覧>授業データ



授業科目名 構造生物学
時間割番号 LBT318
担当教員名 大山 拓次
開講学期・曜日・時限 後期・火・I 単位数 2
<対象学生>
(未登録)
<授業の目的および概要>
 タンパク質、核酸の化学構造、立体構造を復習する。DNAの複製、転写、翻訳を復習する。分子間力、分光学を説明する。構造生物学の概要、セリンプロテアーゼを中心とした酵素の機能、立体構造、触媒残基、分子進化、活性のpH依存性を学ぶ。タンパク質の分子進化の例を上げ、アミノ酸配列と立体構造位の関係を学ぶ。タンパク質の生合成の原核生物と真核生物の違いを学ぶ。タンパク質の変性、pH安定性、翻訳語修飾、分子進化を説明する。
 動物、植物、微生物由来のタンパク質を大腸菌で大量発現する方法,タンパク質の精製の原理と実際を学ぶ。タンパク質の結晶化,結晶学の基礎につて理解する。
<到達目標>
タンパク質、核酸の化学構造、立体構造を理解する。生物進化、分子進化を理解する。タンパク質の生合成、安定性を理解する。タンパク質の大腸菌発現、精製の原理と実際を学ぶ。結晶解析の基礎を理解する。
<授業の方法>
Zoomによる同時双方向ライブ講義配信を中心とする。
授業の実施に関する情報は、適宜CNSで通知する。
適宜学生のディスカッション等の時間を設ける。
<成績評価の方法>
No評価項目割合評価の観点
1試験:期末期 60  %基本的な事項を理解しているかを判定する。 
2小テスト/レポート 20  %演習により,問題に取り組んで理解を深める。 
3受講態度 20  %授業を受け身でなく、自発的に取り組むことが重要である。 
<受講に際して・学生へのメッセージ>
構造生物学は20世紀後半にできあがった比較的新しい生物学の分野であり、生化学の一分野である。タンパク質、核酸の結晶構造データの集積は14万件を超えており、その成果は、細胞生物学、微生物学、生理学、分子生物学などの分野にも大きな影響を与えている。例えば、植物の光合成の構造生物学的研究では、光合成明反応の分子メカニズムが、生物というより化学のレベルで理解されつつある。酵素の研究では、酵素の立体構造を前提条件となっている。ここでは、このような構造生物学の入門的講義をおこなう。
<テキスト>
(未登録)
<参考書>
  1. G.A ペツコ  D.リンゲ 著 横山茂之 監訳, タンパク質の構造と機能, メディカル・サイエンス・インターナショナル, ISBN:4-89592-422-X
  2. 倉光成紀 ,杉山政則  編集, 構造生物学―ポストゲノム時代のタンパク質研究, 共立出版(株), ISBN:4320056493
  3. 樋口芳樹,中川敦史, 構造生物学 ―原子構造からみた生命現象の営み―, 共立出版(株), ISBN:4320057015
<授業計画の概要>
第1回:アミノ酸、タンパク質、核酸の復習
第2回:遺伝子の複製、転写、翻訳の復習
第3回:構造生物学概論
第4回:タンパク質の一次構造、二次構造、三次構造、四次構造
第5回:大腸菌タンパク質発現系
第6回:ヘモグロビンとミオグロビンの立体構造と機能
第7回:タンパク質の分子進化
第8回:筋肉タンパク質の構造と機能
第9回:セリンプロテアーゼの構造と機能
第10回:タンパク質の精製
第11回:タンパク質の結晶化、タンパク質結晶学
第12回:タンパク質の輸送と一生
第13回:抗体の構造と免疫
第14回:タンパク質と薬
第15回:病気とタンパク質
    
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
結晶構造解析を中心とした構造生物学的研究に従事して博士の学位を取得後、株式会社(後技術研究組合)生物分子工学研究所にて、ポスドク・研究員を経て主任研究員としてDNA複製や細胞表面受容体の構造機能解析研究に従事した。基礎研究を軸としつつ、NEDOプロジェクト、JBicプロジェクト等に参加することで、アウトプット(実用)を意識して研究を立案し、その目標にしたがって実施するという経験を得た。その後、大阪大学、山梨大学では研究員および教員として、構造生物学が生命の神秘を科学的に理解するために留まらず、医薬学・農工業にも応用されうる魅力ある学問であることを伝え続けている。