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授業科目名 動物解剖生理学
時間割番号 LBT214
担当教員名 若山 照彦
開講学期・曜日・時限 前期・月・I 単位数 2
<対象学生>
(未登録)
<授業の目的および概要>
動物解剖生理学は動物の体の作りや形を学ぶだけでなく、個体としての生命現象を機能の側面から理解する学問である。最初に総論で解剖学の重要性を学んだあと、各臓器についてマクロ解剖学を行い、体を構成する各臓器の形、構造、機能について学ぶ。続いてミクロ解剖学を行い、各臓器を形成する細胞の種類と機能について学ぶ。後半は、発生工学を行う上でもっとも重要な器官である生殖関連の臓器について生理学的な観点から学んでいく。理解力を高めるため、適時レポート提出を行い、グループディスカッション等で発表させる。
<到達目標>
動物解剖生理学では発生工学という学問を学ぶために必須の動物解剖学および生殖生理学や発生学の基礎知識を身につける。この講義によって体を構成する各臓器の種類、機能及びその構造を理解し、それらが血液やホルモン、骨格系とどのように連携して体を維持しているのか学ぶ。とくに生殖関係の器官について詳しく学ぶ。
<授業の方法>
講義中心で、区切りごとにレポート提出。
<成績評価の方法>
No評価項目割合評価の観点
1試験:期末期 30  %授業の内容だけでなく付随する知識を理解できたか 
2小テスト/レポート 20  %課題の問題点を把握し、論理的な流れに沿ったレポートが作成できたか 
3受講態度 30  %積極的に取り組み、勉学に必要な各種スキルを理解できたか 
4発表/表現等 20  %自分の意見をはっきり述べられるか 
<受講に際して・学生へのメッセージ>
生物学のもっとも基本となる内容です。発生工学を学びたい人は必須です。
<テキスト>
  1. 坂井建雄、橋本尚嗣詞, ぜんぶわかる人体解剖図, 成美堂出版, ISBN:978-4-415-30619-3
<参考書>
  1. 日本繁殖生物学会編, 繁殖生物学, Interzoo, ISBN:978-4-89995-788-1
<授業計画の概要>
第1回:動物解剖生理学の総論
 解剖学の歴史と学問としての重要性を学ぶ。すべての哺乳類が同じ臓器を持つことや、医学だけでなく他の分類の研究にも重要であることを理解する。

第2回:心臓と筋肉について
 血液はどうやって体内を循環しているのだろうか。心臓や血管の構造について理解する。

第3回:血液について
 血球細胞の種類と、造血系幹細胞から血液が作られる方法を学ぶ。

第4回:免疫系について
 リンパ球にはどの様な種類があり、どこで作られ、どうやって抗原を認識し体を守っているのか理解する。

第5回:脾臓、骨髄、肺について
 血球細胞が日々新しく更新されている仕組みや、酸素と二酸化炭素の交換方法について理解する。

第6回:腎臓について。
 血液から老廃物を取り除き、尿を作り出す仕組みや、腎臓が生産しているホルモンについて理解する。

第7回:胃と腸について
 胃が食べ物を消化する仕組みや、消化管(食道から大腸まで)の構造と機能について学ぶ。胃や腸が生産するホルモンや消化酵素の役割を理解する。

第8回:肝臓と膵臓について
 神経の種類および脳と脊椎の構造と役割を学ぶ。神経細胞による情報伝達の仕組みと伝達経路を理解する。

第9回:脳と神経について
 神経の種類および脳と脊椎の構造と役割を学ぶ。神経細胞による情報伝達の仕組みと伝達経路を理解する。

第10回:内分泌について
 ホルモンの種類と役割を学ぶ。ホルモンを分泌する器官のヒエラルキーとフィードバックを理解する。

第11回:生殖生理について
 次世代を作るために必須のホルモンとその流れについて学ぶ。性成熟、発情周期、妊娠維持、出産刺激、授乳などに関連するホルモンの変化を理解する。

第12回:精巣と精子
 精巣の構造と精子形成を学ぶ。完成した精子の微細構造、先体酵素、ヒストンからプロタミンへの置き換え、精子の成熟、種差などを理解する。

第13回:卵巣と卵子
 卵巣の構造と卵子形成を学ぶ。卵原細胞から卵子の成熟過程、卵子の微細構造および卵子特異的な減数分裂について理解する。

第14回:受精と着床および胎盤形成
 受精の成立条件、受精反応、胚の初期発生、着床と胎盤形成に関して学ぶ。多受精拒否機構やエピジェネテック修飾の変化、初期胚遺伝子発現などを理解する。

第15回 評価:総括・まとめ
 発生工学の価値と問題点、および今後の利用方法についてグループディスカッションを行う。
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
これまで本科目を用いた研究を行ってきた経験をもとに、動物解剖学が先端研究の基礎となっている例を示し、本科目が生命科学に不可欠であることを理解させる