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授業科目名
社会環境医学
担当教員
山縣 然太朗
時間割番号
単位数
履修年次
期別
DMD402 3 4 通期
[学習目標]
社会環境医学では、いわゆる衛生学、公衆衛生学として、生涯を通じた健康についての予防医学、環境医学、地域保健・医療公共政策(地域医療・保健・福祉、産業保健、災害医療、健康関連制度)、国際保健、疫学・統計学について学ぶと同時に、社会環境医学領域での倫理について学ぶ。
社会医学系実習による医療現場、公衆衛生の現場での実習により、一連の社会医学系の講義で学んだ知識を基盤に、実践的な知識と技術および倫理性を涵養する。
学習目標(一般目標)は「医師として公衆衛生の場で対応できる思考力の涵養と態度、すなわち、Public Health Mindを身につけ、実践できる。」ことであり、予防医学、環境医学、地域保健・医療公共政策、国際保健、疫学・統計学についての知識・技術および倫理を修得する。
なお、6年次の「社会医学実習」と合わせて、上記の目標を達成する。
[授業計画
次の各項目を2コマの枠で行う(全50コマ)。ディベートの準備の時間を加えて52コマとなる。また、6年次に20コマの社会医学実習がある。

1. 社会医学総論
2. 予防医学1
3. 予防医学2
4. 環境医学1
5. 環境医学2
6. 医療公共政策(地域医療・地域保健、健康関連制度)1
7. 医療公共政策(地域医療・地域保健、健康関連制度)2
8. 医療公共政策(地域医療・地域保健、健康関連制度)3
9. 医療公共政策(地域医療・地域保健、健康関連制度)4
10.医療公共政策(地域医療・地域保健、健康関連制度)5
11.医療公共政策(地域医療・地域保健、健康関連制度)6
12.医療公共政策(地域医療・地域保健、健康関連制度)7
13.国際保健
14.疫学・統計学1
15.疫学・統計学2
16.社会医学における倫理
17.先端科学と社会との接点
18.ディベート1
19.ディベート2
20.ディベート3
21.ディベート4
22.環境医学演習
23.疫学・統計学演習
24. EBM(Evidence Based Medicine)演習
25.自主テーマ学習1
26.自主テーマ学習2
[到達目標]
行動目標(SBOs)(4年次)

A. 予防医学
1. 基本概念(国民健康づくり運動、生活習慣病と危険因子、健康寿命の延伸と生活の質(QOL)向上、行動変容、健康づくり支援のための環境整備等)を説明できる。
2. 栄養、食育、食生活、身体活動、運動、休養・心の健康(睡眠の質、不眠、ストレス対策、過重労働対策、自殺の予防)を説明できる。
3. 喫煙(状況、有害性、受動喫煙防止、禁煙支援)、飲酒(状況、有害性、アルコール依存症からの回復支援)を説明できる。
4. ライフステージに応じた健康管理と環境・生活習慣改善(環境、知識、行動と行動変容)を説明できる。

B. 環境医学
1. 健康(健康の定義)、障害と疾病の概念と社会環境(機能障害、活動制限、参加制約、生活の質、ノーマライゼーション、バリアフリー、ユニバーサルデザイン等)を説明できる。
2. 社会構造(家族、コミュニティ、地域社会、国際化)と健康・疾病との関係(健康の社会的決定要因(social determinant of health))を概説できる。
3. 仕事と健康、環境と適応、生体環境系、病因と保健行動、環境基準と環境影響評価、公害と環境保全が健康と生活に与える影響を概説できる。
4. 各ライフステージの健康問題(母子保健、学校保健、産業保健、成人・高齢者保健)、スポーツ医学を説明できる。

C. 医療公共政策(地域医療・地域保健、健康関連制度)
1. 地域社会における医療の状況、医師の偏在(地域、診療科及び臨床・非臨床)の現状を概説できる。
2. 医療計画(医療圏、基準病床数、地域医療支援病院、病診連携、病病連携、病院・診療所・薬局の連携等)及び地域医療構想を説明できる。
3. 地域包括ケアシステムの概念を理解し、地域における、保健(母子保健、学校保健、成人・高齢者保健、地域保健、精神保健)・医療・福祉・介護の分野間及び多職種間の連携の必要性を説明できる。
4. かかりつけ医等の役割や地域医療の基盤となるプライマリ・ケアの必要性を理解し、実践に必要な能力を獲得する。
5. 地域における救急医療、在宅医療及び離島・へき地医療の体制を説明できる。
6. 災害医療(災害時保健医療、医療救護班、災害派遣医療チーム、災害派遣精神医療チーム、災害時健康危機管理支援チーム、災害拠点病院、トリアージ等)を説明できる。
7. 地域医療に積極的に参加・貢献する。
8. 日本における社会保障制度と医療経済(国民医療費の収支と将来予測)を説明できる。
9. 医療保険、介護保険及び公費医療を説明できる。
10.高齢者福祉と高齢者医療の特徴を説明できる。
11.産業保健(労働基準法等の労働関連法規を含む)を概説できる。
12.医療の質の確保(病院機能評価、国際標準化機構、医療の質に関する評価指標、患者満足度、患者説明文書、同意書、同意撤回書、クリニカルパス等)を説明できる。
13.医師法、医療法等の医療関連法規を概説できる。
14.医療関連法規に定められた医師の義務を列挙できる。
15.医療における費用対効果分析を説明できる。
16.医療資源と医療サービスの価格形成を説明できる。診療報酬制度を説明でき、同制度に基づいた診療計画を立てることができる。
17.医療従事者の資格免許、現状と業務範囲、職種間連携を説明できる。
18.感染症法・食品衛生法の概要と届出義務を説明できる。
19.予防接種の意義と現状を説明できる。
20.障害者福祉・精神保健医療福祉の現状と制度を説明できる。

D. 国際保健
1. 世界の保健・医療問題(母子保健、感染症、非感染性疾患、UHC、保健システム(医療制度)、保健関連 SDGs (Sustainable Development Goals)) を概説できる。
2. 国際保健・医療協力、世界保健機関、国際労働機関、国際協力機構、 政府開発援助、非政府組織を列挙し、概説できる。

E. 疫学・統計学
1. 人口統計(人口静態と人口動態)、疾病・障害の分類・統計(国際疾病分類(International Classification of Diseases)等)を説明できる。
2. 平均寿命、健康寿命を説明できる。
3. 罹患率と発生割合の違いを説明できる。
4. 疫学とその応用(疫学の概念、疫学指標(リスク比、リスク差、オッズ比)とその比較(年齢調整率、標準化死亡比(SMR))、バイアス、交絡)を説明できる。
5. 予防医学(一次、二次、三次予防)と健康保持増進(健康管理の概念・方法、健康診断・診査と事後指導)を概説できる。

F. 社会医学における倫理
1. 公共健康政策における倫理をプライバシーと健康危機管理の視点から説明できる。
2. 医学研究における倫理指針、法律、研究不正について説明できる。

G. 先端科学と社会との接点
ゲノム科学、脳科学、iPS、AI等の先端技術と社会との接点を概説できる。
[実務経験のある教員による授業科目の概要]
産業医に従事する教員4名、行政のがん登録事業等に重視する教員2名、国際保健とラオス等で経験を積んだ教員が講義する。
[評価方法]
No評価項目割合評価の観点
1試験:期末期 60  %基本知識の有無を評価する 
2小テスト/レポート 10  %自分の考えを的確に表現できるかを評価する 
3受講態度 10  %学習意欲を評価する 
4発表/表現等 20  %他者の意見を理解し、それを踏まえたうえで自分の意見を説得力をもって相手に伝えるコミュニケーション能力を評価する 
[教科書]
(未登録)
[参考書]
  1. 国民衛生の動向, 厚生労働統計協会,
    (最新版を使用すること)