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授業科目名 データサイエンス入門
時間割番号 CDS002 B
担当教員名 鈴木 一克
開講学期・曜日・時限 前期・水・II 単位数 2
<対象学生>
医学部医学科1年生Bグループ(A/Bのグループ分けは学科の指示に従うこと)
<授業の目的>
 この授業ではディジタル社会の「読み・書き・そろばん」である「数理・データサイエンス・AI」の基礎知識と基本技能を習得します。
 科学と技術の急速な進歩により、日常生活や様々な職業上の業務においてコンピュータが手作業に取って代わりつつあります。それに伴って様々な電子データが世にあふれ、それらを分析・活用するために統計学、数学、コンピュータ科学にまたがるデータサイエンスという分野が台頭してきました。
 特に、この4半世紀の間に個人用コンピュータの性能とインターネット技術が目覚ましい進歩を遂げたことや統計解析用ソフトウェアが開発されたことにより、個人でデータを収集し、それを可視化したり分析したりできるようになりました。また、かつては理論上のみの話であった計算が最近では実現可能になりつつあります。その代表の一つがAI(Artificial Interigence; 人工知能)と呼ばれるものであり、近年のAIの基礎は、大量のデータを、コンピュータを用いて分析するデータサイエンスとそれらのデータからある問題の解決方法を導き出す機械学習にあります。データサイエンスとAIは様々な職業分野に浸透し始めています。
 データの分析結果や機械学習の結果は、それらのもとになったデータの信頼性と分析手法に依存します。世にあふれるデータは玉石混交であり、しかも各種メディア上でまことしやかに流される、信憑性に欠けるデータやデータ分析結果が人々を惑わせることが多々あり、ときにはそれらが思わぬ問題を引き起こす場合もあります。そのため、データやその分析結果を見極めるための素養を私たちは身に付けておく必要があります。また、自らがデータを扱うことも想定し、適切なデータを収集する手法、それらのデータを適切に整理する手法、そしてそれらのデータを分析するための基本的な手法を学ぶ必要があります。
 最近、世の中ではAIが話題になることが多々あり、AIが人間に勝ったという表現が使われることもありますが、AIは魔法の杖ではありません。それにできることやそれが導き出した解の信頼性などを吟味するための素養も私たちは身に付ける必要があります。
 このような世の中の変化に鑑みて、本講義ではデータサイエンスとAIについて全体を概観します。
<到達目標>  到達目標とは
《 学位授与方針(DP)に関連するキーワード》
多様な知識の獲得、様々な学問分野の考え方、コミュニケーション・スキル、情報リテラシー、数量的リテラシー、論理的思考力、問題解決力
《到達目標》
・データサイエンスの活用事例を説明できること。
・確率と統計の様々な概念を説明できること。
・Pythonを使って統計グラフの作成と代表値・統計量の計算ができること。
・データの相関について説明できること。
・データ分析のための手法である回帰分析のアルゴリズムを説明できること。
・機械学習とAIがどのような技術であるかを説明できること。
・プログラミングレスAI基盤を用いてAIを実装できること。
<授業の方法>
講義、演習、反転授業を組み合わせて行う。
反転授業とは、授業の前に各自で事前学習(予習)を行って知識を習得し、授業中は主に演習を行う形式の授業のことである。
・2回目以降の授業では各回の1週間前に事前学習用動画を公開する予定である。事前学習用動画を公開した場合、その内容は既知であるとして授業を行うので必ず事前学習を行ってから授業に臨むこと。
・毎回の授業では、事前学習と講義で勉強したことの理解と定着を促すために演習を行う。
・演習時には実習室に備え付けのパソコンを利用する。パソコンの OS は Microsoft Windows、演習用ソフトウェアは Python。
・授業の進み具合に応じて内容の順序等が入れ替わることがある。
<成績評価の方法>
No評価項目割合評価の観点
1小テスト/レポート 70  %各授業時間中の演習・課題提出 
2受講態度 30  %出席自体を成績の評価得点に入れることはしないが、授業中の演習課題解答の提出の有無を評価する 
<受講に際して・学生へのメッセージ>
情報通信技術の進化に伴って生活環境が急速に変化する現代において、データサイエンスは、文系・理系に関係なくより良い生活を送るうえで必要な技能です。その考え方や基本的な手法を身に付けておけば、日常の様々な場面でも役に立つはずです。知識を吸収するだけでなく、物事を様々な角度から眺め、自分で深く考える姿勢を養いましょう。
<テキスト>
  1. 竹村彰通・姫野哲人・高田聖治 編/和泉志津恵・市川治・梅津高朗・北廣和雄・齋藤邦彦・佐藤智和・白井剛・高田聖治・竹村彰通・田中琢真・姫野哲人・松井秀俊 共著, データサイエンス大系 データサイエンス入門, 学術図書出版社, ISBN:978-4-7806-0701-7
<参考書>
  1. 景山三平 監修/大田靖・宿久洋 編修, 事例でわかる統計シリーズ 教養のための統計入門, 実教出版株式会社, ISBN:978-4-407-33284-1
  2. 小寺平治, ゼロから学ぶ統計解析, 講談社, ISBN:978-4-06-154656-2
  3. Bill Lubanovic 著,斎藤康毅 監訳,長尾高弘 訳, 入門 Python 3, オライリー・ジャパン, ISBN:978-4-87311-738-6
<授業計画の概要>
第1回 データサイエンス概論
第2回 オープンデータの取得と整理(e-Statからのデータ取得)、Pythonの基礎1(基本演算子とライブラリの使い方)
第3回 Pythonの基礎2(基本的な関数とライブラリの使い方)、ベクトルと行列の基礎(ベクトルと行列の定義、加減乗算)
第4回 統計のグラフ(棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、積み上げグラフ)
第5回 ヒストグラムとデータの代表値(ヒストグラム、箱ひげ図、平均値、中央値、最頻値、分散、不偏分散、標準偏差)
第6回 相関(相関係数、相関と因果、疑似相関)
第7回 回帰分析(相関係数、回帰直線、決定係数)
第8回 確率と場合の数(順列、組合せ、場合の数、確率、大数の法則)
第9回 確率分布(確率変数、確率密度関数)、二項分布
第10回 正規分布
第11回 推測統計(全数調査と標本調査)
第12回 仮説検定
第13回 機械学習・AI概論、ニューラルネットワーク (1) ― ニューラルネットワークの仕組みと数学基礎
第14回 ニューラルネットワーク (2) ― Neural Network Console を用いた実装 1 ―
第15回 ニューラルネットワーク (3) ― Neural Network Console を用いた実装 2 ―