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授業科目名
担当教官
ビジュアルコンピューティング
大渕 竜太郎
時間割番号
単位数
コース
履修年次
期別
曜日
時限
273404 2 F 3 後期 II
[概要]
本科目は,視覚情報の表現,処理,表示,などに関する基礎的な知識と技術を学ぶことを目的とする.
現在のHCI(人・コンピュータインタラクション)は,画像や文字(の画像表現)などの視覚情報出力と,それに対するキーボードやマウスなどの入力に基づくものがその中心である.したがって,視覚情報の表現や処理,および視覚情報に基づいたHCIに関する知識と技術の習得は大変重要である.本科目では,視覚情報の表現形式(たとえば2次元画像の色分解能,画素数,画素密度)や処理方法(たとえば2次元画像のローパスフィルタリングやJPEG圧縮),あるいは表示方法(たとえば動画像のフレームレートや階調数)と人の視知覚や認知の特性とのかかわりの基本を学ぶ.また,マウスなどの入力デバイスを介した視覚情報とのインタラクションを実現する仕組みの基本を学ぶ.
また,本科目は,文字コードや数値のように記号化された情報ではなく,現実世界に存在する連続量である空間,時間,色,輝度,などをいかにして形式的に表現して現在のディジタルコンピュータの計算パラダイムに載せるかを体験する重要な機会でもある.具体的には,本科目では空間で規則サンプルした0次近似表現としての2次元画像と,空間で不規則サンプルした1次近似表現としてのポリゴンメッシュモデルを例にその基本を学ぶ.また,情報量の多くなる視覚情報の場合,限られたネットワーク帯域や記憶域を活用するための情報圧縮技術が重要である.本科目では,広く普及しており,人の知覚特性を考慮した変換圧縮手法の代表であるJPEG画像圧縮手法を学ぶ.
[具体的な達成目標]
(1)色と形を持ち,ポリゴンからなる簡単な3次元物体を作成でき,またこれをレンダリング(2次元画像生成)する簡単なプログラムを作成できる.
(2)画素の配列による2次元画像の表現や処理の基本を理解する.また,これらと人の視知覚や情報量との関係の基礎を知る.
(3)2次元画像の処理,たとえば読み書き,簡単なフィルタリング,JPEG圧縮,などを知る.
(4)カラーフレームバッファを持つ画像ディスプレイデバイスの構造を知る.また,マウスなどの入力デバイスを用いたインタラクション処理するためのCall Back関数を用いた簡単なプログラムが書ける.
[必要知識・準備]
本科目ではC++言語と3次元グラフィクスライブラリOpenGLを用いてプログラムを書いてもらうので,C++の知識を前提とする.
数学的基礎としては,少なくとも,ベクトル,行列演算と1次変換を理解していることが必要である.また,フーリエ変換の概念をつかんでいることが望ましい(数式の操作能力よりも,その意味の感覚的理解が必要である.)
その他,連続(アナログ)信号のサンプリング・量子化と2値符号化,ハフマン符号化の知識を仮定する
[評価基準]
成績は,以下の4項目から決める.

(1) 期末試験1回: 80点,
試験問題の配点:上記の達成目標について,(1) 30点 (2) 20点 (3) 15点 (4) 15点

(2) レポート(合計3回): 20点
大小取り混ぜて4回(2003年度)に合計20点を配点.
課題の配点: 上記の達成目標について,(1) 5点,(2) 5点,(3) 5点,(4) 5点.

(3) 全体の合格点:60点
[教科書]
  1. 技術編CG標準テキストブック編集委員会編, 技術編CG標準テキストブック, ISBN:4-906665-25-X,
    (財団法人画像情報教育振興協会)

  2. OpenGLによる3次元CGプログラミング, コロナ社, ISBN:433902399X
[参考書]
  1. 魏 大名,先田 和弘,Roman Durikovic,向井 信彦,Carl Vilbrandt共著j, コンピュータグラフィックス,情報処理学会IT Text, オーム社, ISBN:4274132889
[講義項目]
1. ビジュアルコンピューティングとは,3次元形状の表現
2. レンダリングパイプライン
3. 2次元と3次元の座標変換,VRML
4. OpenGLグラフィックスライブラリ,2次元図形の描画
5. 3次元図形の描画,カメラパラメタの設定
6. クリッピングと可視面処理
7. シェーディングと照明モデル
8. グラフィックスシステムとインタラクション
9. 人の視覚,色モデル,フレームバッファ
10. 画素と画像の表現,画像の読み書き
11. 簡単な画像処理
12. 各種フィルタリング,幾何変換
13. 画像の圧縮
14. 予備日
15. 試験
 14.予備日
 15.試験
[教育方法]
*講義科目ではあるが,講義中に実演や実習を行い理解を深める.このため,講義は学科計算機室で行う.動画像や動的に変わる3次元グラフィックスを学ぶ関係上,これら実習,実演は効果的である.
*デモンストレーションを行う:随時2次元静止画像や3次元グラフィックスなどを扱うデモンストレーションなどを行う.
*実習を行う:各自のコンピュータにおいて,画像の加工,3次元グラフィックスのプログラミングなどの演習を行う.
*講義資料はWebで公開し,各自が講義中,講義後に参照できるようにすることで,ノートをとる手間を省く.
[JABEEプログラムの学習・教育目標との対応]
目標(A)との対応:
現在のHCI(人・コンピュータインタラクション)では,人の視知覚を利用した情報提示が中心である.本科目では,視覚情報の表現,処理,提示手法,および視覚情報を介したHCIの基礎を理解する.

目標(B)との対応:
連続情報の離散化表現の例として,2次元画像では色と階調をもつ画素の配列表現によるを,また3次元形状では多角形の集合による表現を取り上げる.画像については,人間の視知覚の基礎(色認識,空間周波数応答,時間応答など)を知り,これと2次元画像の表現,処理,表示手法との関係の基本を理解する.処理手法としては,2次元画像ではフィルタリング,色空間の変換,JPEG圧縮などを,また3次元物体では幾何変換や射影変換を取り上げる.

目標(C)との対応:
文字のように記号化された情報ではなく,現実に存在する連続量である空間,時間,色,輝度,などの離散化表現としての2次元画像や3次元形状の表現法と処理手法の例を学ぶ. また,これら表現を規定している人の視知覚の特性の基本を知る.

目標(D)との対応:
APIの例として,3次元形状を表現しレンダリングするAPIであるOpenGLに触れる.また,これを通じて,WindowsやX-Windowsなどインタラクティブなプログラミングで広く使われるCall backによるイベント駆動プログラミングに触れる.

目標(E)との対応:
(なし)

目標(F)との対応:
ネットワークを流れる情報を圧縮するための技術を,JPEGによる画像圧縮を例に理解する.

目標(G)との対応:
液晶ディスプレイやカラープリンタなどの表示デバイス,マウスやタブレットなどの入力デバイスの働きとおよその仕組みを理解する.またこれらデバイスの備える空間分解能,時間分解能,輝度分解能,輝度ダイナミックレンジ,色表現域,などの特性の基本を理解する.
[その他]
(未登録)