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授業科目名
担当教官
技術者倫理
兎束 保之
時間割番号
単位数
コース
履修年次
期別
曜日
時限
265720 2 AB 3 後期 II
[概要]
現代の生活は、好むと好まざるとにかかわらず、科学的知識を基本にした技術に依存している。したがって技術者は、単にその技術を専門職能にしているだけではなく、その技術が影響を及ぼす範囲の社会と地球環境とに対して、責任を負っていると自覚しなければならない。技術者がその任務を遂行するにあたっては、技術の背景にある理論を理解している、あるいは、どのような手順で実際の行動を行えば所属する団体(企業、公的研究機関等)に対して職務責任を果たせるか、を考えるだけでは不十分である。その所属団体を取り巻く多方面の利害関係者と良好な関係を保つことを第一義的に考慮してこそ、専門的職能技術者であると、理解してほしい。授業時間中に取り上げられた倫理に反する事例に対して、どうゆう手段・方法を採るべきだったかを、活発に意見交換するcase methodを授業の重点項目のひとつとする。
[具体的な達成目標]
本科目は技術を直接取り扱うときに必要な理論や技能を扱うのではない。技術者が持つべき良識と、他から独立して倫理的に適切な判断を下すことの重要性を、理解できるようにするところに目標をおく。
 (1)なぜ技術者は特別な責任を負う立場にいるのかを理解する.
 (2)技術範囲の拡大と快適な生活を求める行為の拡大から生まれる新しい倫理の必要性を理解する.
 (3)限定された情報数を基盤にし、所属する団体から要求されている複数の価値(性能、価格、デサイン等)を満足させられるように課題を解決できる技術者を目指す.
 (4)優れた意思決定とはどのようなものかを、事例を通して理解する.
 (5)技術の利用と発展の裏側で広がる社会的リスクに、倫理観をもって対処できる技術者を目指す.
[必要知識・準備]
(1)インターネットを利用した情報調査技術と、得られた情報を客観的に整理する能力.
(2)与えられた短い時間を有効に使って、大勢の人々の前で調査・整理事項を発表し、自己の意見を明確に表現できる能力.
(3)日常的に新聞を読み、社会の出来事と、それらに対する論評へ関心を示す習慣.
(4)複数の手段を使って必要な調査を継続し、客観的な考察を加える習慣.
(5)他人の意見に対して、自分の意見を即座に簡潔にまとめて表現する生活習慣.
(6)他人の発表内容や意見を公平かつ客観的に評価できる能力.
[評価基準]
試験回数 1回(ただし、レポートの提出、調査内容の発表に対する評価は随時行う).
  試験問題 予め20~50問を公表し、その中から幾つかを出題.
  配点   試験成績 40点, レポートおよび課題発表成績 40点,
       討論への参加頻度と切り込みの深さ 20点.
  合格点  60点.
[教科書]
  1. 札野 順, 技術者倫理, ㊖ 放送大学教育振興会, ISBN:4-595-23737-5 C1334
[参考書]
  1. 指定しない (技術者にとって最も重要なのは公衆の利益を最優先させる価値基準の持ち方、すなわち倫理であり、その基準は時代と共に変化する。批判精神とともに、自分なら倫理的良識に基づいてどのように行動したいと考えているかを、周囲の人々へ正確に伝達する能力を身につけてほしい。その能力を磨く手段は、日常生活への継続的反省である。自分の性格を最も良く理解しているのは自分であり、その性格から発する生活態度と判断の仕方を律するのに参考となる書籍は、各自の手で探し出してほしい。そうした努力こそ欠かせない。)
[講義項目]
(1)技術者倫理とは
(2)なぜ技術者は特別の責任を負うのか
(3)行為の拡大と新しい倫理の必要性
(4)技術者としていかに行動すべきか
(5)技術者にとって法律とは何か
(6)企業倫理と技術者倫理
(7)技術とリスク
(8)優れた意志決定のもたらすもの
(9)国際社会における技術者の倫理とは何か
[教育方法]
(1) 教科書の内容を中心に講義を行い、実務に携わった人たちの発言を録画したビデオ等を、必要に応じて見せる.
(2) 講義前に出席確認用紙を配布し、学籍番号、氏名を書かせ、その日の講義内容に関連した質問に対する答えを書かせ、提出させる.
(3) 企業倫理が問われた事例を各学生が選択し、事例の経緯と自己の意見を制限時間内に発表し、クラス全体が討論を行う.その討論後に、発表学生の事例発表への取り組み姿勢を全学生に点数評価させる。
[JABEEプログラムの学習・教育目標との対応]
(未登録)
[その他]
(未登録)