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授業科目名
担当教官
生体反応論第一
飯村  穣
時間割番号
単位数
コース
履修年次
期別
曜日
時限
265580 2 AB 2 前期 II
[概要]
 生物はゲノム情報に基づいて細胞を自己複製し、種々の環境に適応してそれぞれに特異な形質(形と性質)を発現する。この生物の基本的な営みの中で、一連の化学反応(生体反応)による代謝よって外界から細胞内に取込まれた栄養素から必要な生体素材が合成されるとともに、それらの素材から細胞が形成されるために必要なエネルギーも獲得される。生物の種類は極めて多様であるが、これらの代謝には多くの共通点が見られる。この講義では、多様な生物の中に共通して見られるエネルギー代謝と物質代謝を取上げる。
 先ず生体エネルギーの形態を概観し、生物がどのようにエネルギーを獲得するかを考える。次に外界と細胞とを隔てて栄養素の取込みに重要な役割をもつ生体膜の構造と機能を扱う。続いて細胞に取込まれた栄養素のうち、主要な炭素源とエネルギー源であるグルコースについてその分解過程(解糖経路)とそれに続くクエン酸回路と呼吸鎖を解説し、この一連の過程で生体に必要なエネルギーがどのように獲得されるかを理解させる。
 教科書の何れの頁も基本的事項が述べられており、生命工学生にとって必須である。
 
  
[具体的な達成目標]
 生物が生体エネルギーをどのように獲得しているか、その原理を理解させる。具体的には解糖系、クエン酸回路および呼吸鎖の意義と機構を、単に酵素系の羅列ではなく、自由エネルギー変化と代謝調節の両面から理解させる。
[必要知識・準備]
 1年次で履修する生物物理化学の理解が大切である。特に自由エネルギー変化などの化学熱力学の考え方が重要である。さらに有機化学の知識として糖類および脂肪の化学構造と性質を十分に復習してほしい。
[評価基準]
 適宜、レポートを課する。また、期末にはレポートの出題あるいは試験を行う。これらの結果から総合的に評価する。レポートでは単に知識の集約ではなく、生化学的な論理性を重視する。
[教科書]
  1. P. Ritter 著 須藤和夫、山本啓一、有坂文雄 訳, リッター生化学, 東京化学同人, ISBN:4-8079-0498-1,
    (初歩の段階から生化学を学ぶ姿勢、基本的事項が平易に解説されている。前期に開講される「生体物質論」、「生体触媒学」、後期に開講される「生体反応論第二」においてもこの教科書を用いる。これらの授業により、この教科書1冊を全頁にわたり、すみずみまで理解してほしい。)
[参考書]
  1. レーニンジャーの生化学 上、下, 廣川書店, ISBN:4782825285,
    (3年次、4年次で更に知識を増やし、生化学の理解を深めるために役立つ。)
[講義項目]
 1.生体エネルギー及び生体反応概論
 2.高エネルギー化合物の構造と機能
 3.脂質の構造と機能
 4.生体膜の構造と機能(膜輸送)
 5.解糖系と関連代謝経路の機構(1)
 6.解糖系と関連代謝経路の機構(2)
 7.解糖系の調節
 8.ミトコンドリアの構造と機能
 9.クエン酸回路の機構と機能(1)
 10.クエン酸回路の機構と機能(2)
 11.クエン酸回路の調節
 12.電子伝達と酸化的リン酸化の機構と機能(1)
 13.電子伝達と酸化的リン酸化の機構と機能(2)
 14.エネルギー代謝と物質代謝の総括
 
 
[教育方法]
 受け身の教育ではなく、積極的に参加できる教育を目指す。具体的にはレポートを重視し、自ら考え生化学の原理が自分のイメージとして理解できるようにする。
[JABEEプログラムの学習・教育目標との対応]
 現在はJABEEプログラムへの直接的な対応はないが、その方向を目指している。
[その他]
 記録しながら理解を深めるため板書を重視し、ノートをとらせる。