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授業科目名
担当教官
システム制御工学I
清弘 智昭
時間割番号
単位数
コース
履修年次
期別
曜日
時限
262058 S 2 S 3 前期 I
[概要]
 われわれが日常使用している器具類にはここで学ぶ制御工学の理論が使われているものが数多くある。エアコンによる部屋の温度調節などは制御工学の1例である。制御工学とは,さまざまな機器などを希望する状態にするための技術である。このために,出力の状態を観測して機器への指令値を決定するフィードバックが用いられる。制御理論には1入力1出力系である古典的制御理論と状態方程式を用いる多入力多出力系の現代制御理論があるが,本講義では古典的制御理論について学習し,時間応答,及び周波数応答に基づく制御系の設計法を習得する。
[具体的な達成目標]
(ア)制御の基本的なしくみが理解できる
(イ)制御に必要な基本的なラプラス変換ができる
(ウ)一次遅れ系のインパルス応答,ステップ応答を求めることができる。
(エ)ブロック線図の簡単化,変形ができる。
(オ)微分,積分,一次遅れ及び一次進み系の伝達関数を求めることができる。
(カ)周波数応答法について理解している。
(キ)ボード線図,ナイキスト線図のしくみを理解している
(ク)微分,積分,一次遅れ及び一次進み系のボード線図およびナイキスト線図が描ける
(ケ)定常誤差を理解している。
(コ)開ループ伝達関数と閉ループ伝達関数の違いがわかる。
(サ)位相余裕,ゲイン余裕を理解する
(シ)周波数応答法による制御系の設計がボード線図を用いてできる。
(ス)周波数応答法での位相補償の原理について理解する。
(セ)PID制御の基本について理解する。
(ソ)ステップ応答法によってPID制御器のパラメータが求められる。
(タ)限界感度法によってPID制御器のパラメータが求められる
[必要知識・準備]
理解しているべき予備知識
 ラプラス変換,微分方程式。
 複素数。
授業に先立ち以上の科目について復習しておくこと。
[評価基準]
 評価は古典的制御理論に基づいて制御系が設計できるかどうかであり,最終評価は期末試験で行う。期末試験は,細かい項目を問う問題ではなく,ある仮想的なシステムの制御系を設計する問題であり,総合的な判断力が必要となる。すなわち,問題を解くためには制御しようとする対象の動作について正しく理解する必要がある。このため,試験勉強にあたっては,実験などをおさらいし,「もの」についてのセンスを磨いておくことも必要となる。さらに諸君の毎回の講義の到達度を測るために,毎回の講義の最初の15分間で前回に行った講義の内容を理解しているかどうか調べるために小テストを実施する。
 システム制御工学?では上記の方式による試験を実施し,以下の項目を修得しているかどうかで合否を決定する。
1.フィードバック制御の構成や動作を定性的に説明できる
2.与えられたシステムから伝達関数が導出できる
3.フィードバック制御の定常誤差の導出
4.制御系の過渡応答の計算
5.伝達関数からボード線図やナイキスト線図を描くことができる
6.周波数応答法により制御系の設計ができる
7.PID制御について理解し,制御パラメータの決定法を理解しているとともに,実際にパラメータを決定できる
得点は期末試験と小テストの平均点で決まり,その重みは50%であり,得点が満点の60%を超えたものを合格とする。
[教科書]
  1. 樋口龍雄, 自動制御理論, 森北出版株式会社, ISBN:4-627-72640-6
[参考書]
  1. 特に指定はしないがラプラス変換,複素数,微分方程式などの解説してある本を参照されたい。
[講義項目]
 1.自動制御概要(制御の歴史,種類,フィードバック制御の仕組み)
 2.制御系のモデル(微分方程式によるシステムの表現)
 3.制御系のモデル(ラプラス変換,伝達関数)
 4.制御系の時間応答特性(比例要素,微分要素、積分要素)
 5.制御系の時間応答特性(1次系,2次系,むだ時間系)
 6.周波数応答(ボード線図,ナイキスト線図,比例要素,微分要素,積分要素,1次遅れ、1次進み)
 7.周波数応答(2次系,むだ時間要素)
 8.フィードバック系の安定性(開ループ伝達関数,閉ループ伝達関数,2次系の解と極配置)
 9.フィードバック系の安定性(ラウス・フルビッツの安定判別)
10.フィードバック制御系の特性評価(過渡特性,定常特性)
11.フィードバック制御系の特性評価(過渡特性と周波数特性)
12.フィードバック制御系の特性評価(開ループ周波数特性と閉ループ過渡特性)
13.フィードバック制御器の設計
14.PID制御(ジーグラー・ニコルスのパラーメータ決定法)
15.制御系の設計演習(これまでのまとめ)
[教育方法]
本講義は座学であるが理解を深めるため,講義に先立ち15分間の小テストをおこなう。
[JABEEプログラムの学習・教育目標との対応]
本科目は電気電子システム工学科の掲げる学習・教育目標「C-4:電気電子工学分野の専門知識・技術を身につける」に対応する.
[その他]
(未登録)