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授業科目名
看護倫理学
担当教官
澤田 愛子
時間割番号
単位数
履修年次
期別
H003094 1 4 通期
[学習目標]
一般目標(GIO)
 今日、科学技術の発展に伴い、特に医療の場において、深刻な倫理問題が日常的に起こっている。医師と共に直接、生命に向き合う看護師も、しばしばこうした問題に直面する。この場合、看護師はどのように問題を把握し、対処していったらよいのか。これまでこの種の問題はほとんど考察されてはこなかった。そこで、本講義では、学生が将来看護の職場において、倫理問題やジレンマに正しく対処していかれるように、その判断力の基礎を養うことを目的とする。そのために、生命倫理の主な基礎知識を習得して、問題の分析能力を養う。

行動目標(SBO)
1.倫理の考え方の基本的類型と生命倫理の4原則を説明できる。
2.生命倫理が誕生した背景を理解できる。
3.看護と生命倫理の関わり、特にナーシング・アドボカシーについて説明できる。
4.看護における倫理的ジレンマとそのパターンを理解する。
5.生命倫理における意思決定の重要性について考察できる。
6.生命に関する主な倫理問題について、基礎的知識を習得し考察できる。
7.深刻な倫理的ジレンマを含む事例について、倫理問題を分析し解決法を習得できる。
[授業計画]
1.序論 (1)-----(1コマ)
  (1) 原則倫理と状況倫理
 (2) 生命倫理の4原則
  (3) 今、なぜ生命倫理が問われるのか
2.序論 (2)----(1コマ)
  (1) 生命倫理はなぜ生まれてきたのか(その1)
    1) ナチズムの背景にあったもの
  2) ナチズムとT4計画
3.序論 (3)----(1コマ)
  (1) 生命倫理はなぜ生まれてきたのか(その2)
    1) ナチズムと人体実験
  2) ホロコースト
  3) ナチズムの時代の医師、看護師
4.ナーシング・アドボカシー------(1コマ)
  (1) ナーシング・アドボカシーとは何か
 (2) ナーシング・アドボカシーの歴史的背景
 (3) ナーシング・アドボカシーの主な理論
 (4) ナーシング・アドボカシーの実践
5.ナーシング・アドボカシーとインフォームド・コンセント----(1コマ)
 (1) インフォームド・コンセントの歴史的背景
 (2) インフォームド・コンセントの問題点
 (3) 判断能力と代理意思決定
 (4) 看護とインフォームド・コンセント
6.倫理的ジレンマとナーシング・アドボカシーの実践-----(1コマ)
  (1) 看護場面での倫理的ジレンマの類型
 (2) 倫理的ジレンマの解決法
 (3) 倫理的ジレンマに関する事例検討
7.生命の始まりにおける倫理問題(1)-----(1コマ)
  (1) 生殖技術に関する倫理問題:人工授精、体外受精、代理母、代理出産等々と看護
 (2) ES細胞、クローン胚、胚の道徳的地位
8.生命の始まりにおける倫理問題(2)-----(1コマ)
  (1) 人工妊娠中絶と看護
9.生命の始まりにおける倫理問題(3)-----(1コマ)
    事例検討:グループワークと発表
10.生命の終末期における倫理問題(1)----(1コマ)
  (1) 脳死と死の再定義
 (2) 看護師と脳死
11.生命の終末期における倫理問題(2)-----(1コマ)
 (1) 臓器移植と倫理
 (2) 看護師と臓器移植
12.臓器移植に関するビデオ観賞とグループ討論------(1コマ)
13.生命の終末期における倫理問題(3)-------(1コマ)
  (1) 安楽死
 (2) 延命治療停止の問題と看護
14.安楽死、延命治療停止問題のビデオ観賞(1)とグループ討論、発表
15.安楽死、延命治療停止問題のビデオ観賞(2)とグループ討論、発表                 

	   
[評価基準]
 レポート、授業への参加姿勢、グループワークの積極性、出席率によって総合評価

(授業は講義を主体に、ビデオ観賞とグループ討論、グループ発表等を織りまぜて行う)
[教科書]
  1. 澤田愛子, 末期医療からみたいのち, 朱鷺書房,
    (必ず購入のこと)

  2. 澤田愛子, 今問い直す脳死と臓器移植, 東信堂,
    (必ず購入のこと)

  3. 今井道夫、香川千晶編, バイオエシックス入門(第3版), 東信堂,
    (澤田愛子著「脳死と臓器移植」、「エイズ」の各章を所収。 購入するのが望ましい。)
[参考書]
  1. 倉持武、長島隆編, 臓器移植と生命倫理, 太陽出版,
    (澤田愛子著「臓器移植法施行後4年が過ぎて」の章を所収)

  2. 柳田邦男、河合隼雄編, 死の変容, 岩波書店,
    (澤田愛子著「尊厳死とリビングウイル」の章を所収)

  3. 木村利人編, バイオエシックスハンドブック, 法研,
    (澤田愛子著「臓器移植をめぐるバイオエシックス」の章を所収)

  4. 日総研教育事業グループ編, 緩和ケア・癒しの看護, 日総研出版,
    (澤田愛子著「医療における看護婦の倫理的・社会的責任」の章を所収)

  5. 近藤均他編, 生命倫理事典, 太陽出版,
    (澤田愛子他多数の著者で書いた日本初の生命倫理事典)

  6. 澤田愛子, 夜の記憶, 創元社(近日刊行),
    (本書は、著者がイスラエルで実施したホロコースト生還者へのイン タビュー内容を中心に構成されている本です。ぜひ読んでもらいたい本です。)