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授業科目名
担当教官
自然数理システム論
豊木 博泰
時間割番号
単位数
コース
履修年次
期別
曜日
時限
266181 2 (未登録) 3 前期 III
[概要と目標]
環境問題を考える自然科学分野の重要な基礎の一つとしての熱力学を基礎から非平衡現象問題への導入までを講義する.環境問題の対象となる系は地球規模の大気,水,輻射などを含む広い意味での熱力学的対象であり,また,化学反応や相転移,相平衡などのマクロな理解にも熱力学は欠かせない.本講義では本学科で開講されている物質系専門科目群に対する専門的基礎科目としての役割を担う.

エネルギーと並んで基礎概念の一つであるエントロピーの概念は環境問題にともすれば無謀な拡張的適用が行われがちである.それを避けるためにも熱力学の基礎的理解を得ておくことは肝要である.
[必要知識・準備]
基礎物理学を履修し,力学的エネルギー概念を理解していること,また,解析学I,IIを通じて多変数関数の微積分を理解していることを前提に講義する.
[評価基準]
熱力学第2法則から,カルノーサイクルを利用してエントロピーなる状態量が存在することを理解しているか.熱力学諸エネルギーとその微係数の関係を一通り理解しているか.ファンデアワールス気体の状態方程式と相転移について説明できるか.輻射を例に古典的熱力学の限界と黒体輻射の実際を理解しているか.
[教科書]
  1. 和田正信, 熱力学とは何か, 裳華房, ISBN:4-7853-2069-9
[参考書]
  1. 白鳥紀一,中山正敏, 環境理解のための熱物理学, 朝倉書店
  2. 勝木 渥, 物理学に基づく環境の基礎理論, 海鳴社
  3. イリヤ・プリゴジン, ディリプ・コンデプディ, 現代熱力学―熱機関から散逸構造へ, 朝倉書店
[講義項目]
1.第0法則,状態量と状態方程式
2.熱的諸現象 (重力場中の気体,熱拡散,熱伝導と熱伝達)
3.気体分子の運動論
4.マクスウェルの速度分布則と気体の状態方程式
5.熱力学第1法則と熱力学諸量の関係
6.熱機関とカルノーサイクル,絶対温度の発見
7.熱力学第2法則
8.エントロピーとその増大原理
9.熱力学諸関数
10.化学ポテンシャル
11.熱力学と黒体輻射
12.非平衡系の諸現象

中間テストを1,2回行う.