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授業科目名 日本国憲法
時間割番号 052040 D
担当教官名 神尾 将紀
開講学期・曜日・時限 後期・金・III 単位数 2
<対象学生>
(指定なし)
<授業の目的および概要>
本講義は、日本国憲法の基本的な論点、とりわけ、人権に関する重要な争点に絞って授業を展開しつつ、そのようなプロセスを通じて、日本国憲法の全体的なイメージを把握することを目的とします。もっとも、時間的制約もありますので、本講義では、日本国憲法を体系的に学習すること、および、憲法の基礎知識を獲得し、応用力を養うことに配慮しつつ、論争の多い憲法問題を中心に検討します。
<授業の方法>
本講義は、法学プロパーの学生を対象とするものではありませんので、日本国憲法を網羅的に、あるいは、高度な憲法理論を深く勉強することよりもむしろ、憲法初学者のために、憲法学へのファースト・アプローチとして、今後の各自での憲法の学習にあたって土台となり得るものを提供するべく、憲法的価値を理解し、憲法的に考える力をトレーニングすることを主眼とします。そのような趣旨から、本講義では、まず、本講義担当者が、任意にピックアップした各テーマに関する憲法理論について、なかんずく、アメリカ憲法との比較の視点を取り入れて概説し、その後に、それにかかわるトピカルな事例・判決を掘り下げる形で、受講者とのディスカッションを交えながら、日本国憲法下での裁判所による人権保障のあり様とあり方について解説していきます。
<成績評価の方法>
定期試験、あるいは、レポート課題のどちらかによって評価することを考えていますが、詳細につきましては、開講時に、履修者の意見を参考にした上で、履修者の人数や、その他の状況を見てから、最終的に決めたいと思います。いずれにしましても、決して難しいものにならないように努めます。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
本講義担当者は若輩ではありますが、その分、フレッシュな授業にしたいと思います。何よりも、受講者の皆さんと一緒に憲法学を学ばさせて頂きたく、どうぞよろしくお願いします。
<テキスト>
  1. 芦部信喜(高橋和之補訂), 憲法(第3版), 岩波書店
    (2002年(本書の記述自体は、平易・簡潔ですが、内容的には、これまでの憲法学の発展の結晶を反映ないし凝縮したものであるために、それなりに高度です。しかしながら、本書は、大学の憲法講座の最もスタンダードな教科書として位置づけられると同時に、各種資格試験受験のために最も参照されるものです)。)
<参考書>
  1. 本講義担当者が、適宜、講義レジュメを作成し、配布します。なお、毎授業時には、六法(小型のもので構いませんし、種類も問いません)を持参して下さい。
  2. 野中俊彦, 憲法?・?(第3版), 有斐閣 2001年
  3. 高橋和之, 立憲主義と日本国憲法, 放送大学教育振興会2001年
  4. 戸波江二, 憲法(第3版), ぎょうせい 近刊
  5. 松井茂記, 日本国憲法(第2版), 有斐閣2002年
<授業計画の概要>
"本講義のスケジュールと本講義で扱うテーマは、以下のように予定しています。

 0.講義を始めるにあたって
?.総論
 1.日本国憲法の概要(基本的な理念と構造)
 2.人権の内容(歴史・分類・観念)
 3.人権の限界(人権制約原理としての「公共の福祉」と違憲審査基準論としての「二重の基準」)
 4.人権規定の私人間効力(私人による人権侵害行為に対する人権規定の効力)
?.各論
 5.外国人の人権(定住外国人の参政権)
 6.幸福追求権(人格権・プライヴァシー権・自己決定権)
 7.法の下の平等(家族生活に関する民法上の差別規定)
 8.思想・良心の自由(日の丸・君が代の法制化と公立学校)
 9.信教の自由(宗教に基づく特別な扱い)
10.政教分離原則(国家神道のレガシー)
11.表現の自由の法理(事前抑制、漠然性・過度広範性、内容に基づく規制/内容に中立的な規制)
12.表現の自由と名誉毀損・プライヴァシー侵害(刑事・民事責任、事前差止め)
13.インターネットにおける表現の自由(プロバイダー責任法、猥褻表現)