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授業科目名
データサイエンス2
担当教官
比江島 欣愼
時間割番号
単位数
履修年次
期別
M0002221 1 2 前期
[学習目標]
 みなさんは数年後,医師という立場につき患者を治療することになります。当然のことですが,そのときには患者に最適な治療を選択しなければなりません。この選択は,医師としての経験だけでなく,医学研究によって裏付けられた科学的根拠に基づく必要があります。従って,患者の治療に関連する医学研究の結果を収集・分析し,それまでの経験や患者のデータ・希望を加味して,みなさんは治療を決定しなければなりません(EBM)。また,その一方で,科学的根拠を与える医学研究に協力したり,それを計画することになるかもしれません。
 この講義では,前述の状況に備えて,科学的な研究の計画とデータの収集(実験計画),統計解析とその結果の理解,研究結果の発表などをコンピューターの助けをかりながら修得していきます。講義において,みなさんは小規模なランダム化比較臨床研究を計画・実施し,発表するという一連の作業を追体験します。この講義は,EBMにおけるevidence(証拠)の生成に関わる重要な概念を身につける場であり,本学部でのEBM教育の導入部分にあたります。また,研究計画の際の事前調査,データ収集後の統計処理および結果の発表においては,統計学の知識およびコンピュータの利用が必要不可欠であり,情報科学やデータサイエンス1で学んできたことを応用し,復習する場にもなっています。医学の発展に寄与できる科学的思考と情報・統計処理能力を養うこと,およびEBMにおける科学的証拠についての基本的な概念を修得することがこの講義の最終目標です。
[授業計画]
1.科学的な研究とは?
  科学的な研究が満たすべき妥当性に関して議論します。
2.研究の計画及びデータの収集
  妥当性の議論をふまえた上で,研究の計画に関して,目的のたて方,
  研究のデザイン,観察項目の設定,計画書及び調査表の作成などを学びます。
3.ランダム化比較研究
  ランダム化の意義を議論し,ランダム化比較試験の重要性や
  実施に当たっての注意点などを学びます。
4.研究の倫理性
  研究に参加する被験者への倫理的配慮を中心に,ヘルシンキ宣言,
  研究参加への同意などについて議論を行います。
5.プレゼンテーション
  研究によって得られた結果はその内容にかかわらず公表されなければなりません。
  学会発表,論文作成を例にその方法や注意点について学びます。
6.追体験(計画)
  研究を計画します。インターネット等を用いて事前調査を行い,
  ワープロソフトを用いて,実験計画書や調査票を作成します。
7.追体験(データ収集)
  実施可能な場合データの収集を行います。
  最終的に次の講義までにこの作業は完結させます。
8.追体験(集計・解析)
  表計算ソフトや統計ソフトを使い,
  収集したデータを集計・解析します。
9.追体験(レポート作成・発表)
  集計・解析結果をもとにワープロソフト等を用いてレポートを作成します。
  また,研究結果を学会形式で発表してもらいます。
[評価基準]
講義への参加や貢献度,講義の際に行われる研究の内容,期末レポートの内容,および期末試験の成績を総合的に評価します。
[教科書]
[参考書]