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授業科目名
担当教官
量子力学I
堀  裕和
時間割番号
単位数
コース
履修年次
期別
曜日
時限
262026 2 E 2 後期 II
[概要と目標]
 ミクロな世界の電子の振る舞いは,私たちの日常経験とは異なるさまざまな特徴をもち,これを記述し,理解し,利用することで,電子技術の最も重要な構成要素である半導体電子デバイスをはじめ,レーザー,超電導素子などの量子装置,またこれらを応用した精密計測技術と,あらゆる科学の基礎となる物理定数の標準などが大きく発展した.
 この講義では,ミクロな世界での粒子の振る舞いを,私たちがどのように量子力学という方法で記述し,またこれを観測し,理解し,応用するかという基本的な考え方と記述の方法を解説する.量子力学には,さまざまな記述方法があり,そのそれぞれが特徴と利点をもつが,この講義では主に波動関数を用いた粒子の状態の表現と,これに対する演算子を用いた運動の記述,物理量とその観測についての基礎的事項を学習する.
 シュレーディンガー方程式とその意味を理解したところで,半導体デバイスなどを理解する基礎となる,結晶中での電子の振る舞いについて解説する.
 基本的な用語に慣れてきたところで,重要なものについては英単語を合わせて板書する.
[必要知識・準備]
 量子力学の基本的枠組みを理解することは,私たちが,直接経験することのできないミクロな粒子の振る舞いさえも,数学的表現の助けを借りて理解し,またそれを利用することができることを示す,たいへん素晴しい経験になるはずである.
 各自,微分積分,復素数,ベクトルなどの数学的基礎をもう一度確認しながら,学習を進めて欲しい.
 演習も用意されているので,これも履修して講義内容に必要な基礎力の向上と,計算力などを養ってほしい.
[評価基準]
 講義内容についての定期試験の成績で評価する.基本的事項に関する問題とやや発展的な問題を140点満点で出題し出題し,60点以上を合格とする.80点以上のものは80点以上の成績をつける.100点以上のものは90から100点の成績をつける.
[教科書]
  1.  限定しない.量子力学の表現には様々な流儀があり,将来応用しようとする分野によって発展的な勉強をどの表現で行うかを選択すべきである.本講義では,様々な表現に共通する基礎的部分を理解し,量子力学の発展的独習ができるまでの基礎力をつけるため,特定の表現に偏らない講義をオリジナルな構成で行う.講義の中では,展開分野に応じた各種教科書とそれらの特徴を紹介するので,各自の要求に合ったものを選定して,将来の発展的学習にも生かしていただく.
[参考書]
  1. 量子力学の基本的な事項は講義のみで十分理解できるが,その展開領域は広大であり,さまざまな発展的応用力や,最先端技術における量子現象を理解するためには,進んだ独習が必要となる.量子力学には,さまざまな特徴をもつ教科書が多数あるので,講義の内容と展開分野における利用のされ方を紹介しながら,代表的なものを推薦する.
[講義項目]
1. 物理現象の記述と理解:古典力学と量子力学.射像と変換.
2. ミクロな世界での粒子の特徴ある振る舞い.
3. ミクロな粒子の状態とその表現.
4. 物理量と演算子.変換と不変性.
5. 波のさまざまな性質と表現.
6. 固有状態と固有値.状態の重ね合せと物理量の期待値.
7. シュレーディンガー方程式.
8. 箱の中での電子の運動.
9. 結晶中の電子の運動.