山梨大学電子シラバス>検索結果一覧>授業データ



授業科目名 自己と生と時間
時間割番号 051011
担当教官名 今  義博
開講学期・曜日・時限 前期・火・V 単位数 2
<対象学生>
全学生対象
<授業の目的および概要>
1 )人間の生(生命、生存、生活、人生、生きがい、一生)をテーマとする。すなわち、種々の人生観、心をどう捉えるべきか、人間の生と時間の関連(いま・ここに生きるということの意味、現在を離れられないという時間的限定性、生の一回性、生の代替不可能性、生の不可測性、期待性と希望、など)、生と価値の関わり、生と死、自己意識、自己と他者、哲学と芸術、哲学と宗教、哲学と科学などの問題を哲学的に考えてみたい。2 )自分で理解してる「自己」がたんに自己の「表象」(観念)にすぎないことを、自己意識の構造を理解することによって理解し、学生それぞれがそういう表象(観念)を作る主体としての自己を自覚できるようにしたい。3 )学生それぞれが事象をたんに自然的に認識するレベルを超えて、その本質へ迫るべく認識批判ができるようにしたい。
<授業の方法>
講義。
<成績評価の方法>
全回出席したかどうか、授業態度、試験結果またはリポートの内容などに基づいて総合的に評価する。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
私は多くの学生には問題意識そのものが欠如していると感じる。自分の場合、「問題意識そのものが欠如している」とはどういうことなのかを各自がよくよく考えて欲しい。自分は自己をどう了解しているのか、じっくり考えてほしい。そうすれば、「考えることを考える」ことはできないないことがわかるはず。生命のほうから見れば、最善の生き方は生命の力を最大限に発揮することである。それは水を飲む時には水を飲むということが最大限に行われることだ。キリストは祈りについて、「心を尽くし、思いを尽くして祈れ」と言ったが、祈る時はそのように祈るのがよい。そうでない祈りは正しい意味での祈りではない。しかし多くの場合、我々は祈りながら、正しく祈っておらず、水を飲みながら飲んでいない。結局、生きながら生きていない。そういうのを、生きながら死んでいる、あるいは死にながら生きているという。自分の生をできるだけ意味あるもの、豊かなもの、幸せなものにしたいとだれもが願いながら、生を生かす方向とは別の方向へ向かってはいないか。
<テキスト>
  1. 授業で紹介する。
<参考書>
  1. 授業で紹介する。
<授業計画の概要>
1 .哲学とは何か──哲学の位置づけ
2 .時代精神と変革の社会──哲学と社会
3 .人生観、社会観、価値観──ものの見方
4 .自分とは何か?心とはどのようなものか?
5 .自己自身をどう見るか──自己意識・反省の仕組み
6 .生の見方──客観的見方と主観的見方と主体的見方と
7 .生と時間──いま・ここに生きるということ
8 .一心・無心・真心と自己
9 .自己と他者──自己は根本的に世界とどう関わっているか
1 0 .自己関係性とは──自己の存在の仕方
1 1 .人間の生の特性と限界──生かされて生きているとは
1 2 .生きていることの理由・目的・価値・意味
1 3 .働くこと、生きること──目的論的思考や経済的思考と哲学
1 4 .良き生とは──自己実現と共生
1 5 .不完全なままに完全である生