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授業科目名
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分子細胞生物学
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担当教官
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志田 寿人
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時間割番号
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単位数
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履修年次
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期別
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M000071 | 2 | 1 | 通期 | |||
[学習目標] | ||||||
学習の大きな目標 (1)生物科学における分子細胞生物学の特徴と戦略を理解しよう:生命の科学としての生物学の全体的発展の中で,分子細胞生物学は,その独自の領域をどのようにして切り開き,確立してきたかをたどり,その考え方が生じてきた歴史的必然性を理解し,深めるようにしよう。 (2)生命活動の中心機能に対する分子論的理解を深めよう:生命活動の中心機能が,生体高分子システムの化学としてどこまで説明可能なのかを追求し,生物学,化学,物理学の融合的分野としての分子細胞学の最新の成果が描き出した驚くべき世界や,その衝撃を具体例の中で把握してみよう。 (3)多細胞生命システムの特徴とは何かを分子論との関連で考えよう:多細胞系生命システムの理解を目指して,細胞間の相互作用を分子細胞社会学的視点から考察し,細胞内部での変化と細胞集団の変動を統一的に理解することを試みよう。 (4)分子細胞生物学者の戦略を理解しよう:古典的細胞学から脱皮し,分子細胞生物学が確立するに至るまで,どのような認識論的変革や新技術の開発がなされて来たのか,沢山の科学者の試行錯誤やドラマともふれつつ科学者の思考の歩みに密着し,理解を深めてみよう。 (5)医学・医療とのかかわりを考え,理解しよう:分子細胞生物学は現代医学・医療の諸分野に深く浸透し,分子医学・医療としての一大分野を形成するに至っている。多様な生命機能の操作を可能にする分子細胞生物学の浸透現状を鳥瞰し,その来るべき未来や可能性を,危険性と合わせて考察してみよう。 目標達成のために学生諸君に要求されること (1)上述各項目を構成する重要な概念を抽出し,自己診断も含めてそれらを口頭,ないしは文書で簡潔に説明できるようにすること。ここでは,あまりに煩雑になるので概念の列挙はしないが,集中した聴講により,授業中,重要概念を書き留めることが学習の助けとなることを強調したい。 (2)次々と登場する新しい学術用語についても,(1)と同様ノートに書き留め,辞書や参考書で調べるなどして知識の広がりを着実なものにして行こう。これらの用語は,自分の考えをまとめるときに実際に使用すると,しだいに用語間のつながりが出てきて,漠然としてつかみどころの無かった概念が用語との関連で明確となってくる。 (3)大学での学習は授業への出席を持って終わるものではない。極めて重要と思われる概念は,教師の1回限りの説明で終わらせるのではなく,持続する関心によって深く考えることが必要となる。問題へのアプローチは,沢山の参考文献やインターネットによる検索などによって,独り善がりな暴走をさけることが出来る。また,輪読会を組織するなどして,より自由な形で知識を自分のものにする努力もあってしかるべきであろう。 (4)本科目と関連する情報は,単行本,雑誌といった活字文化だけでなく,いろいろなメディアによる情報の中にあふれている。それらの主張を生きた動きとして批判的にとらえ,学問的な光の中で正しく見ていくことが学習の広がりや深さをつくりだして行くことになる。授業でも,可能な限りこの課題を短時間の討議の形で追求する予定である。 (5)授業では,各概念を支えている実験については,時間的な制約から原著をふまえた厳密な紹介をすることには限界がある。特に重要な実験については,巻末の文献と向き合い,少なくともひとつの実験報文を読了することを課題とする予定である。 |
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[授業計画] | ||||||
分子細胞生物学の学問領域と講義の目標 生物学のなかの分子細胞生物学 生物学の構造:個体の内部システムから:機能系(代謝系,自己増殖系,情報処理系, 適応系),階層構造(細胞下,細胞,組織,器官) 歴史的視点:マクロ的視点(系統学,進化論,分類学),ミクロ的視点 (発生生物学,胎生学) エコシステム的視点:生態学(群集生態学,個体群生態学,生産生態学,システム生態学,数理生態学,動物・植物生態学,微生物・ウイルス生態学),行動生態学,人類学 方法論から見る:解析的,統合的,操作的,工学的 一般理論:複雑系,自己組織化,最適化等 分子細胞生物学の特徴 解析的と同時に統合的,基礎的と同時に応用的,多様性のなかの法則性 医学と分子細胞生物学 生物としてのヒトが持つ特殊性,医学の成長点 一般教育における分子細胞生物学とは何だろう 極めて浅い一般論か?特殊化と文脈,大学における教育 古典生物学・細胞学から現代生物学・分子遺伝学・分子細胞生物学へ 古典生物学の生物観,消滅した自然発生説,実証科学としての近代細胞学,分解,観察, 記載;対立する生命観,生命の起源に関する迷信と科学,揺れ動く歴史性の概念;種の安定性と変動性,セントラルドグマ以前と以降,遺伝子工学,細胞・組織工学と生命操作 "生命"の作業仮説(working hypothesis) 自己増殖,変異,淘汰,進化,生命の最小形態,原核生物,真核生物,ウイルス,多細胞生物の階層構造,個体発生の独自様式パターン;胚葉形成,階層構造の段階的形成 現代生物学は細胞をどのようにとらえているのだろう 化学からみた細胞 生体構成元素:働きによる分類,共有結合,単原子イオン,微量元素,汚染か構成か 生体構成分子 水:異常な物理化学的特性,水素結合:強度,方向性,具体例,疎水性相互作用,水和 層 タンパク質,核酸,脂質,糖の化学構造:モノマーユニットと重合体 生体高分子の構造はいかにしてつくられるか 生体膜 膜モデルの歴史:Daniell & Davson(1935),unit membrane model(1959),fluid mosaic model:S.J.Singer,G.L.Nicolson,膜分子統合の熱力学,流動性,非対称性,実験と理論,膜タンパクの6通りの存在様式 タンパク質 構造区分,立体構造構築原理:Ramachandran格子とアミド平面の立体障害,疎水性パラメター,二次構造予測,ストレスタンパク質の役割 遺伝現象の化学 DNAの複製 遺伝子概念:イントロン,エキソン,制御領域の存在,DNA合成と細胞周期,化学的特 徴;鋳型,半保存的,dNTP付加の方向,DNAポリメラーゼ,RNAプライマー,複製起点,岡崎フラグメント,DNA反応系と反応連鎖,DNA修復機構 転写過程 生化学過程,RNA鎖伸長の方向,sense strandとanti-sense strand,プロモータ,RNAポリメラーゼ,mRNA前駆体のprocessing 翻訳過程 トリプレットコード,tRNAとanti-codon,aminoacyl-tRNA synthetase,ペプチド鎖の合成開始,伸長,停止 再び生命階層の底辺から考える:巨大分子の集合体と生命 哲学的前提:機械論と分子細胞生物学 機械論とは何か(機械等価説,要素還元論,決定論,反超越原理),機械論への批判 (全体論,生態学的思考法,合目的自己組織化),機械再考(旧世代機械と新世代,次世代機械総論),分子生物学における要素と集合 ウイルスをモデルとして ビリオンの構成 動物ウイルスの多様性と分類 DNA型:ds,ss:RNA型:ds,ss(+,−):複製機構と情報の流れ ポリオウイルスをモデルとした考察 感染,ウイルスレセプターと細胞への侵入,増殖 ウイルス生態学の視点から 伝播様式概論 都市黄熱感染様式解明の歴史,節足動物と黄熱,森林黄熱の生態学 寄生体としてのウイルス:寄生体の一般特性,e.g.:日本住血吸虫,危険度レベルと封 じ込め,生命システムとウイルス 部品(ウイルス構成分子)の合成 +RNAウイルスにおけるウイルスタンパク質合成,モノシストロニックな合成,レトロウイルスの場合は? ウイルス個体の構築原理 自己組織化と生命 解離細胞集団の選別実験,理論 海線による種特異的選別:組織特異的選別,差次接着説(熱力学的モデル),局所的安 定と運動則 細胞間相互作用の場:細胞接着多分子複合システム 接着構造の分化,分子構築様式,デスモソームをモデルとして:細胞接着分子,細胞質仲 介分子,細胞骨格;多様な接着構造の分子論 タンパク質のコンフォメーションとリン酸化 リガンド結合とコンフォメーション,リン酸化とプロテインキナーゼ,スイッチデバイスとしてのプロテインキナーゼ まとめと展望 遺伝子工学特論 生物工学と遺伝子工学概説 組換えDNA技術を支えている技術,発見 制限酸素:命名法,特徴,制限地図 その他遺伝子工学で頻用される酵素 DNA塩基配列の決定法 化学的方法 酵素的方法 サイズによる核酸分離法としての電気泳動法 ハイブリダイゼーションと関連技術 ブロッティング:サザンブロッティング,ノザンブロッティング,ウエスタンブロッティング ポリメラーゼ連鎖反応(PCR) ゲノムライブラリー,cDNAライブラリーとDNAクローニング 遺伝子導入法 ゲノムプロジェクトの現状 ポストゲノムの地平 |
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[評価基準] | ||||||
前期,後期に課せられる課題レポートへの取組み, 授業への参加状況,授業中出された小課題への対応 期末試験結果,等を総合的に判断して評点を決定する。 |
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[教科書] | ||||||
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[参考書] | ||||||
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