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授業科目名 微分方程式II
時間割番号 TCE201
担当教員名 坂野 斎
開講学期・曜日・時限 前期・月・I 単位数 2
<対象学生>
2年生
<授業の目的>
物理学や工学での多くの法則は微分方程式で記述されます。古典力学のニュートン方程式,構造力学のはりの基本方程式,水理学や流体力学のナビエ=ストークス方程式,土質力学のテルツァーギの圧密方程式,交通流や生態系のモデル方程式,原子核崩壊や化学反応の速度式がその例です。このうちの線型常微分方程式,線型偏微分方程式をフーリエ級数展開とラプラス変換を用いて解くことを学びます.
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
工学部(~2023年度入学生)>土木環境工学科向け
記号コンピテンシー(能力・資質)説明 
CE-A専門(B)技術者としての知的基盤の形成科学技術における基礎としての数学、自然科学、情報処理能力を身につけ、知的基盤を形成して、これを応用することができる。
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
CE
1大学生に相応しい客観的で公正な論述ができ,可読性よく書面を整えることができる.CE-A
2簡単な関数のフーリエ係数の計算/フーリエ変換を行える.CE-A
3ラプラス変換を用いて線型常微分方程式の初期値問題を解ける.CE-A
4フーリエ級数展開とラプラス変換を用いて線型偏微分方程式の簡単な初期値・境界値問題を解ける.CE-A
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
120%全般(復習・特別レポート)で評価
220%特別レポートで評価;自分で選んだ関数のフーリエ級数展開とそのグラフによる検証.
320%特別レポートで評価;摩擦がある強制振動の問題を解き,共鳴について考察する.
440%2本,または,3本の特別レポートで評価
合計100% 
<授業の方法>
・ 対面授業を行います;それが相応しくないときはライヴ型授業またはオンデマンド型授業とします.
・偏微分方程式の解くことをはじめとして,この授業のテーマには長大な計算が必要です.ミスは必ず生じますので,自分で見直しやすい書面をつくること,検算をすることを必須とします.
・この授業のテーマは長大な計算を伴うので,評価はペーパーテストではなく,数本の特別レポートで評価します.
・特別レポートの準備でもある復習レポートでは,出来・不出来での点差はつけませんので,数学が苦手な受講生は,復習レポートを利用して自分の経験を積み,わからないことを質問して力を伸ばしてください.
・授業資料の配布,各種レポートの提出をE-ラーニングサーバを使って行います.
<受講に際して・学生へのメッセージ>
・復習はレポートを課し,予習は必要に応じて指示します.
・担当教員はフィロス(工業会館2Fの教員つき自習室)の担当を兼ねています.わからないことは授業やフィロスで質問して解決してください.http://philos.yamanashi.ac.jp
・紙切れではないノートを準備してください;紙切れは散逸して知識・経験の積み上げが難しくなります.
・高校数学の三角関数の加法定理を使えることが必要です;これができていないひとはフィロス(後述)を利用して回復しておいてください.
・微分方程式Iを受講しているか,該当部分(常微分方程式)を指定教科書相当で自習していることも必要です.
<テキスト>
(未登録)
<参考書>
  1. 金田数正, 工学系学生のための 記号法ですぐに解ける微分方程式, 内田老鶴圃, ISBN:9784753600144,
    (微分方程式 I での指定教科書です.ラプラス変換の部分を授業で使います.持っているひとは持参してください.)

  2. 魚橋慶子,梅津 実, 計算力をつける応用数学, 内田老鶴圃, ISBN:4753600335,
    (フーリエ級数展開の具体的な問題・解答が記述されていて自習に適しています.フィロスにあります.また,図書館にもあります.)

  3. 石村園子, やさしく学べるラプラス変換・フーリエ解析, 共立出版, ISBN:9784320019447,
    (授業内容のフーリエ級数展開・変換,ラプラス変換,偏微分方程式について記述があります.)
<授業計画の概要>
1タイトルフーリエ級数展開(1);三角関数,基本波と高調波,直交性
事前学習
事後学習
復習レポート(可読性,公正性を備えたもの)
授業内容この授業全体の説明をします.
正弦波と余弦波についての基本波と高調波,直交性の説明をします.

予習:できるだけ時間をつくって,次回講義資料を読んでください.理解できなくても大丈夫,授業後の理科いが早まります.
復習:授業の内容に沿った課題を課しますので解いてください.フィロスなど利用しても結構です.
2タイトルフーリエ級数展開(2);定義域が[-π:+π]の場合
事前学習
事後学習
復習レポート(可読性,公正性を備えたもの)
授業内容フーリエの定理を正弦波と余弦波の直交性から説明します(定義域が[-π:+π]の場合).
簡単な関数のフーリエ級数展開を求めます.
3タイトルフーリエ級数展開(3);定義域が[0:+π]の場合
事前学習
事後学習
復習レポート(可読性,公正性を備えたもの)
授業内容定義域が[0:+π]の場合のフーリエ級数展開を前回の定義域が[-π:+π]の場合の知識・経験を基に求めます.
4タイトルフーリエ級数展開(4) ; 数値実験(グラフソフト)によるフーリエ級数展開の検証
事前学習
事後学習
特別レポート(可読性,公正性を備えたもの)
授業内容フーリエ級数展開が元の関数を再現することの検証に必要な,グラフ作成ツールの紹介と使い方の説明をします.
5タイトルフーリエ級数展開(5);定義域が[-L,+L]の場合と定義域が(-∞,+∞)の場合(フーリエ変換)
事前学習
事後学習
復習レポート(可読性,公正性を備えたもの)
授業内容定義域の幅が任意の場合のフーリエ級数展開を説明します.
6タイトルラプラス変換(1);解法のあらすじ,変換表の確認,1階線型微分方程式(同次,非同次)の初期条件を満たす特別解
事前学習
事後学習
復習レポート(可読性,公正性を備えたもの)
授業内容常微分方程式の解法の1つであるラプラス変換を学びます.
7タイトルラプラス変換(2);変換表の確認,1階・2階線型微分方程式(同次,非同次)の初期条件を満たす特別解
事前学習
事後学習
復習レポート(可読性,公正性を備えたもの)
授業内容ラプラス変換をつかって,初期条件をみたす特別解の求め方を学びます.
8タイトルラプラス変換の力学への応用;単振動,強制振動,共鳴
事前学習
事後学習
復習レポート(可読性,公正性を備えたもの)
授業内容工学・物理学への応用として,摩擦がない強制振動のニュートン方程式をラプラス変換をつかって解きます.
9タイトルラプラス変換の力学への応用;減衰振動,臨界減衰,過減衰
事前学習
事後学習
復習レポート(可読性,公正性を備えたもの)
授業内容工学・物理学への応用として,減衰振動などのニュートン方程式をラプラス変換をつかって解きます.
10タイトルラプラス変換の力学への応用;減衰振動の下での強制振動,共鳴
事前学習
事後学習
特別レポート(可読性,公正性を備えたもの)
授業内容工学・物理学への応用として,摩擦がある強制振動のニュートン方程式をラプラス変換をつかって解きます.
11タイトルフーリエ級数展開,ラプラス変換の偏微分方程式への適用(1); テルツァーギの圧密方程式,拡散方程式,熱拡散方程式
事前学習
事後学習
復習レポート(可読性,公正性を備えたもの)
授業内容放物型偏微分方程式であるテルツァーギの圧密方程式,拡散方程式,熱拡散方程式の説明をします.
テルツァーギの圧密方程式を簡単な初期条件,境界条件の下で解きます.
12タイトルフーリエ級数展開,ラプラス変換の偏微分方程式への適用(1); テルツァーギの圧密方程式,拡散方程式,熱拡散方程式
事前学習
事後学習
特別レポート(可読性,公正性を備えたもの)
授業内容(続き)テルツァーギの圧密方程式を簡単な初期条件,境界条件の下で解きます.
13タイトルフーリエ級数展開,ラプラス変換の偏微分方程式への適用(2); ラプラス方程式,シャボン膜の形状との関係
事前学習
事後学習
復習レポート(可読性,公正性を備えたもの)
授業内容楕円型偏微分方程式であるラプラス方程式によりシャボン膜の形状が決まることを説明します.
ラプラス方程式を簡単な境界条件の下で解き,シャボン膜の実験と比較します,
14タイトルフーリエ級数展開,ラプラス変換の偏微分方程式への適用(2); ラプラス方程式,シャボン膜の形状との関係
事前学習
事後学習
特別レポート(可読性,公正性を備えたもの)
授業内容(続き)ラプラス方程式を簡単な境界条件の下で解き,シャボン膜の実験と比較します,
15タイトルフーリエ級数展開,ラプラス変換の偏微分方程式への適用(3); 波動方程式
事前学習
事後学習
特別レポート(可読性,公正性を備えたもの)
授業内容双曲形偏微分方程式である波動方程式により,光などの伝搬が記述されることを説明します.
波動方程式を簡単な初期条件,境界条件の下で解きます.
<JABEEプログラムの学習・教育目標との対応>
《土木環境工学科》
(B) 技術者としての知的基盤の形成
 科学技術における基礎としての数学、自然科学、情報処理能力を身につけ、知的基盤を形成して、これを応用することができる。
<前年度授業に対する改善要望等への対応>
特別レポートの負荷が大きいとの意見が複数有りました.長大な計算を伴うのは仕方がないですが, 復習レポートと特別レポートの重なりをできるだけとって,復習レポートの作成により, 特別レポートの負荷が軽減されるよう工夫します.
<備考>
・本授業の科目は,以下のような位置づけです:線形代数学I,微分積分学I → 微分方程式I → 「微分方程式II」
・復習は,復習レポート,特別レポートでやり,予習は必要に応じて指示します.
・自習室:フィロス(共創学習支援室,工業会館2階)には専任の先生が在室し、皆さんの質問に対応します.気軽にご利用ください. http://philos.yamanashi.ac.jp/