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授業科目名 入門物理II
時間割番号 TAM105
担当教員名 東海林 篤/酒井 優/石川 陽/内山 和治
開講学期・曜日・時限 後期・金・III-IV 単位数 3
<対象学生>
(未登録)
<授業の目的>
専門科目を見据え、古典物理学の物事の考え方、理解の方法が現代物理学ではどのように発展していくかについて理解する。毎回それぞれの話題に適した話題やToy(おもちゃ)を用いて物理のおもしろさと本質を概説し、現象や法則に関するイメージの獲得と、直観的理解のための補助とします。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
工学部(~2023年度入学生)>先端材料理工学科向け
記号コンピテンシー(能力・資質) 
AM-A専門1.基礎的知識物理学
AM-B数学
AM-C2.専門的知識・技術量子デバイス
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
AM
1空間と時間、場の概念、相対性理論、電磁気学、量子力学、統計力学などの基礎的な概念を理解できる。AM-A
2内積・外積などのベクトル演算、線形性を用いて成分により表現の基礎的事項を説明し計算できる。AM-B
3固体の電気的特性等を理解し、エネルギーバンドを説明できる。AM-C
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
133%授業中のレポート課題への取り組みを評価する
233%授業中のレポート課題への取り組みを評価する
334%授業中のレポート課題への取り組みを評価する
合計100% 
<授業の方法>
・高校までの数学と物理、および入門物理Iの内容をよく理解していること
・毎回レポート課題を提出してもらう
・面接授業。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
(未登録)
<テキスト>
(未登録)
<参考書>
  1. 瀬山士郎著 ; 講談社サイエンティフィク編集, なっとくする集合・位相 第4刷, 講談社, ISBN:4061545345,
    (2006年出版 なっとくシリーズ)

  2. 竹内薫著, 次元の秘密 : 自然単位系からDブレーンまで 増補版, 工学社, ISBN:9784777511662,
    (2005年出版)

  3. 都筑卓司著, マックスウェルの悪魔 : 確率から物理学へ : 新装版, 講談社, ISBN:4062573849,
    (2002年出版 ブルーバックス, B-1384)

  4. 都筑卓司著, はたして空間は曲がっているか : 誰にもわかる一般相対論, 講談社, ISBN:4061178008,
    (1972年出版 ブルーバックス, B-200)

  5. 多田知記著, 相対性理論への数学的第一歩 : 共変微分のやさしい説明 新版, プレアデス出版, ISBN:9784903814407,
    (2011年出版)

  6. 中村純著, 相対論入門 : 時空の対称性の視点から, 共立出版, ISBN:9784320035171,
    (2014年出版 フロー式物理演習シリーズ, 18)

  7. 志賀正幸著, 磁性入門 : スピンから磁石まで, 内田老鶴圃, ISBN:9784753656301,
    (2007年出版 材料学シリーズ / 堂山昌男, 小川恵一, 北田正弘監修)

  8. 瀬山士郎著 ; 講談社サイエンティフィク編集, なっとくする集合・位相 第4刷, 講談社, ISBN:4061545345,
    (2006年出版 なっとくシリーズ)

  9. 小野寺嘉孝著 ; 講談社サイエンティフィク編集, なっとくする複素関数 8刷, 講談社, ISBN:4061545264,
    (2006年出版 なっとくシリーズ)

  10. 都筑卓司著, なっとくする熱力学, 講談社, ISBN:4061545035,
    (1993年出版)
<授業計画の概要>
1タイトル物理が分かったとは何をいうのか
事前学習
事後学習
事前学習:身近に現れる物理現象について気を配ること
事後学習:今回の課題に取り組み、学んだことを自分なりに言葉にして考える
授業内容物理は公式を覚える科目ではない。言葉を暗記する科目でもない。観測された現象を解析し、似たような状況になったときに結果を予言(一般化)することができるような科目である。観測された現象を明確に説明することの必要性について説明していく。(担当:東海林)
2タイトル物理を語るための言葉である現代数学
事前学習
事後学習
事前学習:高校までの数学をよく理解しておくこと
事後学習:今回の課題に取り組み、学んだことを自分なりに言葉にして考える
授業内容物理を語る言語は数学である。とはいえ、数学という学問とは別であり、物理現象を扱うために数学の力を利用するという感じである。そして近年、理論物理の発展と数学とが互いに発展している。ここでは大学の物理で使われる数学・自然単位系・次元について紹介し、高校までで使われてきた数学との違いを解説する。(担当:東海林)
3タイトル数学の多様な分野と物理学
事前学習
事後学習
事前学習:外積内積の計算、行列の計算を復習しておくこと
事後学習:今回の課題に取り組み、学んだことを自分なりに言葉にして考える
授業内容古典的な『数』を離れて現代的な『数』を紹介。様々な数学の分野と物理学との関わり合いについて説明していく
・自然数は無限にある。偶数も無限にある。どちらも同じ大きさの無限なのだろうか?
・実数はパラメタが一つ。複素数はパラメタが二つ。他にパラメタが四つの四元数というものもある。
・量子力学では掛け算の順番を入れ替えると値が変わる数を使って計算を行う。(担当:東海林)
4タイトル物理現象の舞台である場とその微分
事前学習
事後学習
事前学習:同時期に他の授業でも『場』を扱っているが、よく習得しておくこと
事後学習:今回の課題に取り組み、学んだことを自分なりに言葉にして考える
授業内容現代物理学の大きなテーマの一つである『場』の考え方は重要である。身近なところでは、各地の気温分布はスカラー場であり、風速はベクトル場である。
ここではそれらがどのようなものかを紹介し、さらに、それらを微分することによって得られる傾きや湧き出し、渦について紹介する。(担当:東海林)
5タイトル相互作用の局所性
事前学習
事後学習
事前学習:光の速度は有限であり、超えるものはないことを理解しておくこと
事後学習:今回の課題に取り組み、学んだことを自分なりに言葉にして考える
授業内容小中学校では、重力、電磁気力といった接触していなくても物を動かせる現象があることを知る。これは遠隔相互作用と呼ばれるが、大学ではそれら重力や電磁気力は周りに場というものを形成し、場と物との相互作用によって物が動くという近接相互作用であるとする。現象は無限の速さでは伝わらないことを理解し、これまでの考え方をどう改め、どう扱っていくのかについて紹介する。(担当:東海林)
6タイトル様々な値の基本単位への規格化
事前学習
事後学習
事前学習:高校までのベクトルや複素数を復習しておくこと
事後学習:今回の課題に取り組み、学んだことを自分なりに言葉にして考える
授業内容物理では様々な物理量を1と置く規格化ということを行う。例えば単位ベクトルや、単位円などである。ここでは、様々な物理量の規格化の方法について解説していく。(担当:東海林)
7タイトル座標系に現れる2種類の単位ベクトルと計量
事前学習
事後学習
事前学習:ベクトルの内積と外積、積分の際のヤコビアンについて復習しておくこと
事後学習:今回の課題に取り組み、学んだことを自分なりに言葉にして考える
授業内容高校までの物理では縦ベクトル(反変ベクトル)と横ベクトル(共変ベクトル)は区別せず、勝手に入れ替えることができた。カーテシアン座標系では両者は同じ値を取り、区別する必要がないからである。極座標や斜交座標系では両者は異なり、また、計量によって入れ替えることができる。斜交座標系を例に取り、縦ベクトルと横ベクトルの取り扱い及び入れ替えのための計量について解説していく。(担当:東海林)
8タイトル座標系に依らない物理法則の記述の仕方
事前学習
事後学習
事前学習:行列の計算方法を復習しておくこと
事後学習:今回の課題に取り組み、学んだことを自分なりに言葉にして考える
授業内容光速度は一定、という前提からローレンツ変換を導く。ローレンツ変換は広義の回転と見なせることを解説し、世界長さを導入する。さらに、アインシュタインの有名なエネルギーの式:E=mc^2を導き、また、マクスウェル方程式を共変形式に書き換える。単磁極発電について再考する。(担当:東海林)
9タイトル波・屈折率
事前学習
事後学習
事前学習:高校の波の項を復習しておくこと。高校の屈折率の項を復習しておくこと。
事後学習:今回の課題に取り組み、学んだことを自分なりに言葉にして考える
授業内容波は振幅が大きくなったり小さくなったりするスカラー波だけでなく、空間の特定の方向へ振動するベクトル波や複素空間を振動する複素波がある。ここでは波の因子としてexpを用い、それらの波の紹介をしたのち、微小変位から運動量演算子と角運動量演算子を導入する。
光はガラスや水に入る際に屈折するが、その仕組みについて解説。それを基に、プリズムが光の色を分解できる理由、水晶などの一部の結晶にみられる方向によって屈折率が異なる複屈折現象を説明する。(担当:東海林)
10タイトル外から見た曲がり、中から見た曲がり
事前学習
事後学習
事前学習:道路や線路の曲率がどのように設計されているのかについて予め調べておくこと
事後学習:今回の課題に取り組み、学んだことを自分なりに言葉にして考える
授業内容高校までの数学では直線ばかり扱っており、曲がっているものは扱ってこなかった。曲線を扱うには曲率という概念を導入する必要がある。曲面ではその曲面上の一点における曲率の最大のものと最小のものの積・全曲率を考えることが可能であり、二次元曲面の曲がりを表現するには全曲率で十分である。一方、四次元空間の曲がりを表現するには20個の数値が必要となる。一般相対性理論によると質量によって空間は歪み、それを重力として感じる。地球の重力(重力加速度)はどれだけの曲がりを生じさせのかを最後に紹介する。(担当:東海林)
11タイトル物質内の電子(半導体中の電子と正孔)
事前学習
事後学習
事前学習:半導体とはどのようなものかを復習しておくこと。炎色反応について復習しておくこと
事後学習:今回の課題に取り組み、学んだことを自分なりに言葉にして考える
授業内容原子がたくさん連なると電子の存在できるエネルギー準位はバンドを形成する。バンドは、半導体の場合には価電子帯は電子で埋まり、伝導帯は完全に空となるため、真性半導体は絶対零度では電気を通さない。しかし、有限の温度や外部からのエネルギー注入によって電子と正孔が対生成し、電気伝導性を持つようになる。この対生成が真空中の電子・陽電子の対生成と類似しており、電子と陽電子がクーロン力で引き合い水素様状態であるポジトロニウムに相当する、励起子と呼ばれる準粒子が半導体中に形成されることについて解説していく。(担当:東海林)
12タイトル物質内の電子(交換相互作用と磁性)
事前学習
事後学習
事前学習:磁性体とは何かについて復習しておくこと。
事後学習:今回の課題に取り組み、学んだことを自分なりに言葉にして考える
授業内容磁性体は古典力学では説明できず、電子が示す量子力学的性質によって説明される物質である。量子力学では粒子は整数の角運動量(スピン)を持つボソンと半整数の角運動量を持つフェルミオンに分類され、電子はフェルミオンである。フェルミオンには「同種の粒子は同じエネルギーで同じ位置を占めるのは一個に限られる」というという制約があることで、近隣の電子は同じ向きにスピンを揃えようとする。これが交換相互作用と呼ばれるもので、磁性の起源となる。実際の磁性体では結晶場の影響や陰イオンを介した超交換相互作用により多彩な磁性構造が発現することについて解説していく。(担当:東海林)
13タイトルエネルギーとエントロピー
事前学習
事後学習
事前学習:熱エネルギーとは何かについて調べておくこと。
事後学習:今回の課題に取り組み、学んだことを自分なりに言葉にして考える
授業内容熱は小学校まで皮膚に感じる感覚であったが、中学校では物の膨張であると習い、高校では分子や原子の活動と習った。熱には様々な見方があるが、ボルツマンは熱とエネルギーの間の関係を導き、熱とは原子や分子がエネルギーの各準位に分布している様であることを明らかにした。一方で、分布が拡がると、分子や原子の配列のでたらめさ加減が増す。このでたらめさ加減をエントロピーと呼び、熱エネルギーとの差から、自由エネルギーが求められる。ここではエネルギーとエントロピーとの関わり合いについて解説していく。(担当:東海林)
14タイトル非線形の取り扱い
事前学習
事後学習
事前学習:電気回路について復習しておくこと
事後学習:今回の課題に取り組み、学んだことを自分なりに言葉にして考える
授業内容物理の問題で多く取り沙汰されるのは線形な現象である。しかし、実際には多くの非線形な現象が起こっており、また有用である。ここでは高校で扱った単振り子を題材に非線形現象を紹介する。実社会において理解しやすい非線形現象は電気回路であり、AMラジオの変調復調を題材に非線形現象の応用を紹介していく。(担当:東海林)
15タイトル物理の研究方法&総括
事前学習
事後学習
事前学習:よく理解し、応用への結びつきを考えること
事後学習:今回の課題に取り組み、学んだことを自分なりに言葉にして考える
授業内容専門科目の取り組み方、今後の研究方法について紹介する。(担当:東海林)
<前年度授業に対する改善要望等への対応>
授業内容の総括を追加する
<備考>
(未登録)