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授業科目名 固体物性
時間割番号 TAC222
担当教員名 米山 直樹
開講学期・曜日・時限 後期・木・II 単位数 2
<対象学生>
(未登録)
<授業の目的>
固体は多数の原子が集まった物質の状態のことで,通常その数はアボガトロ数程度の極めて大多数な要素で構成される.集団ゆえにその性質は統計学的に理解することが重要になり,さらに相互作用によって多彩な固体の性質が発現する.固体において原子が規則的に配列することは一般によく起こる現象であり,結晶と呼ばれる.結晶の持つ繰り返し構造(並進対称性)が,原子スケールでの結晶構造の解明とマクロな電子状態の理解の双方に,極めて重要な役割を果たしている.本講義では化学系の学生がこれら固体の諸性質を理解するために,必要となる量子力学や統計力学などの基礎物理科目の内容を十分に補足した上で,固体物性の基礎を理解することを目的とする.
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
工学部(~2023年度入学生)>応用化学科向け
記号コンピテンシー(能力・資質) 
AC-A専門4.化学の専門知識・技術を活用し、新素材・エネルギー・環境等の分野における問題解決に取り組むことができる。A.無機化学A1.原子、イオン、化合物、結晶、錯体の電子構造と物性との関連を説明できる。
AC-BA2.元素の性質と化合物、金属錯体の構造や分光学との関連、結晶構造と固体の性質との関連、無機生体材料、環境浄化材料について説明できる。
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
AC
1化学結合論,量子力学,統計力学などの基礎知識を,固体の性質の理解に正しく適用できること.AC-A
2結晶における格子系に関連した物性について,具体的に説明できること.AC-A
3結晶における電子系に関連した物性について,具体的に説明できること.AC-B
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
160%毎回の授業終了後の復習問題で評価を行う.
220%中間評価の試験を行う.
320%期末評価の試験を行う.
合計100% 
<授業の方法>
・毎回復習問題(小テスト)を行う
<受講に際して・学生へのメッセージ>
固体物理学は素粒子論と並んで物理学の総決算とも言うべき分野の一つであり、化学系2年後期の学生にはこれを理解するための基礎知識がどうしても不足気味になる。この授業では応用化学科の学生向けに、数学・物理について十分な補足を取り入れている。専門に化学を選んだけれど本当は物理をもっと勉強したい人、学問の持つ"面白さ"を存分に味わいたいと思う人に特に受講をおすすめする。
<テキスト>
(未登録)
<参考書>
  1. アトキンス, 物理化学(上・下)第10版, 東京化学同人
  2. 矢口裕之著, 初歩から学ぶ固体物理学, 講談社, ISBN:9784061532946,
    (2017年出版)

  3. 佐藤憲昭, 物性論ノート, 名古屋大学出版会
  4. アシュクロフト・マーミン, 固体物理の基礎(上・I), 吉岡書店
<授業計画の概要>
1タイトル第1回:固体物性とは何か
事前学習
事後学習
事前学習:事前に配布する授業資料を各自ダウンロード・印刷して目を通しておく.
事後学習:授業で説明を省略した計算の確認や毎回配布する演習問題に取り組む.
以降,特に記述なければ全ての授業回で同様である.
授業内容・どうして固体物性を学ぶのかわかる
・1電子原子の空間的・エネルギー的イメージをつかむ
・多電子原子を難しくする問題点がなにかわかる
2タイトル第2回:化学結合論
事前学習
事後学習
 
授業内容・イオン結合を熱力学的に理解する
・共有結合を量子化学の計算を通じて理解する
・化学結合と電子の遍歴性との関連性がわかる
3タイトル第3回:格子
事前学習
事後学習
 
授業内容・結晶構造をどう捉えたらよいか理解する
・格子点,単純単位胞,慣用単位胞について説明できる
・体心立方晶について理解する
4タイトル第4回:逆格子
事前学習
事後学習
事前学習:ベクトル外積
授業内容・3次元格子でのウィグナー-サイツ・セルを作れるようになる
・実格子から逆格子を作れるようになる
・逆格子の物理的意味を説明できる
5タイトル第5回:格子比熱
事前学習
事後学習
事前学習:双曲線関数の微分,逆関数の部分,ボース-アインシュタイン統計
授業内容・比熱の物理的意味を説明できる
・調和振動子とフォノンについて理解する
・固体の格子比熱について,3種類の理論モデルを理解する
6タイトル第6回:格子振動
事前学習
事後学習
 
授業内容・質点の運動を波として記述する方法がわかる
・角振動数と波数の役割を説明できる
7タイトル第7回:結晶構造解析
事前学習
事後学習
 
授業内容・実格子の回折像は逆格子であることがわかる
・X線の発生方法を説明できる
・結晶構造解析の概要を説明できる
8タイトル第8回:中間総括
事前学習
事後学習
事前学習:第1回から第7回までの復習問題・演習問題について十分復習しておく.
事後学習:試験問題を通じて,理解の足りない部分を把握し復習する.
授業内容・中間試験を受験し,出題問題の意図と解答の解説を理解する
9タイトル第9回:電子気体と波束
事前学習
事後学習
事前学習:理想気体の気体分子運動論
授業内容・自由電子を古典的な期待として扱った計算ができる
・金属の電気伝導度を導出できる
・波束の性質を説明できる
10タイトル第10回:フェルミ気体の自由電子モデル
事前学習
事後学習
事前学習:フェルミ-ディラック分布
授業内容・フェルミ-ディラック分布とはなにか説明できる
・フェルミ気体としての自由電子の特徴はなにか説明できる
・状態密度の物理的意味を説明できる
11タイトル第11回:電子比熱
事前学習
事後学習
事前学習:第6回格子比熱の授業内容
授業内容・電子比熱の統計的な計算ができる
・比熱の実験的な解析方法がわかる
・自由電子モデルの問題点がなにかわかる
12タイトル第12回:ほとんど自由な電子モデル
事前学習
事後学習
※全授業回において最高難易度.計算に流されず本質的な結論がなにかを理解すること.
授業内容・周期関数をフーリエ展開する
・Schrodinger方程式のk空間表示を導出する
・エネルギーギャップができるメカニズムを理解する
13タイトル第13回:強結合近似
事前学習
事後学習
事前学習:行列式の計算
授業内容・分子軌道法でSchrodinger方程式を扱う方法がわかる
・ヒュッケル近似による1次元水素原子鎖の電子状態を求められる
・重なり積分,バンド幅,有効質量,移動度の対応関係がわかる
14タイトル第14回:電気伝導
事前学習
事後学習
※この授業回後に授業アンケートを回答すること
授業内容・有効質量とホールキャリアの特徴を理解する
・緩和時間をもたらす要因2つを説明できる
・金属と半導体における電気抵抗の温度依存性がわかる
15タイトル第15回:期末総括
事前学習
事後学習
事前学習:第9回から第14回までの復習問題・演習問題について十分復習しておく.
事後学習:授業全体を通じて,理解の足りない部分はなにか把握し復習に努める.
授業内容・期末試験を受験し,出題問題の意図と解答の解説を理解する
<前年度授業に対する改善要望等への対応>
アンケート結果確認中
<備考>
(未登録)