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授業科目名 生物多様性保全政策特論
時間割番号 GLR583
担当教員名 渡邊 幹彦
開講学期・曜日・時限 前期・火・II 単位数 2
<対象学生>
(未登録)
<授業の目的および概要>
本科目の目的は、学生が、経済学の視点から、自然と人間との共生のための適切かつ具体的な「解」を提言できるようになることである。特に、学生が、実際の国際環境条約の政策を設計するための基礎的バックグランドを習得することを通じて、その「解」を提示できるようになることである。また、本科目の概要は、環境経済学と資源経済学の基本理論、及び、生物多様性条約を中心とした国際環境条約の最新動向、である。本科目は、社会科学系の学生にとっては、経済学の実際の政策設計への応用を、自然科学系の学生にとっては、各自の専門分野と政策との関連を、それぞれ習得可能なように設計されている。
<到達目標>
本科目の履修を通じての学生の到達目標は、1)最適汚染制御と最適資源利用のレベル、2)環境を考慮した意志決定のための環境価値論と実際の価値評価手法、3)生物多様性条約、気候変動枠組み条約、これらの関連議定書の内容、の3つに関する知識を習得することである。
<授業の方法>
本科目は、オンラインにて実施する。
初回のみ、すべてオンラインのライブにて実施する。

2回目以降は、オンデマンドで講義動画を視聴し、
11:00からのZOOMを介してのディスカッションを実施する。

最後に学生によるプレゼンテーションを実施する。
<成績評価の方法>
No評価項目割合評価の観点
1発表/表現等 100  %発表対象の事例の理解度と理論的分析の正確性を評価する。 
<受講に際して・学生へのメッセージ>
経済現象と無縁な環境問題は存在しない。たとえ、自身の研究が、経済学と関係なくても、本科目の履修は強く推奨される。本科目の履修を通じて、学生は、「資源利用や汚染が、社会的に最適であるとはどういうことか」あるいは「人間の生活に不可欠な財・サービスの生産と消費が、厳密には、自然の耐性とどのように関係するのか」を正確に理解できる。
また、本科目は、昨今、急速に注目を浴びるようになった「生物多様性」を取り上げる。こちらは、特に、社会科学系の学生に、履修を強く推奨する。
経済学中級以上、及び、英語のバックグラウンドがあることが望ましいが、それ以外の学生も履修を歓迎する。
<テキスト>
  1. Perman, R., Ma, Y., McGilvray, J., and Common, M. 3rd edition, Natural Resource and Environmental Economics, Pearson, ISBN:0-273-65559-0
  2. Turner, R. K., Pearce, D., and Bateman, I., Environmental Economics: An Elementary Introduction, Harvester Wheatsheaf, ISBN:0-7450-1083-0
  3. Hanley, N., Shogren, J., White, B., Introduction to Environmental Economics, Oxford University Press, ISBN:978-0-19-956873-4
<参考書>
(未登録)
<授業計画の概要>
第1回 ガイダンスと環境問題の再整理
1)講義スケジュール、2)評価の方法について、3)参考図書と文献の紹介

第2回 持続可能な開発:環境経済学からの視点
1)持続可能な開発(再考)、2)自然資本による定義、3)費用便益分析による定義、4)環境経済統合勘定による定義

第3回 最適汚染制御と最適資源利用の理論
1)汚染の費用・便益・最適汚染点、2)コースの定理、3)Maxmum Sustaibanle Yield(MSY)と利益最大化点

第4回 環境価値の経済評価の理論
1)環境の複合便益・価値、2)環境の経済価値の評価手法

第5回 環境価値と意志決定:費用便益分析と環境の経済的価値
1)費用便益分析の基礎、2)費用便益分析と環境の経済的価値、2)環境価値と開発・保全の意志決定

第6回 国際環境制度1:生物多様性条約
1)条約の目的、2)条約の特徴、3)「愛知ターゲット」とGBO4

第7回 国際環境制度1(続き): 名古屋議定書とカルタヘナ議定書
1)生物多様性条約と遺伝資源、2)生物多様性条約と名古屋議定書とABS、3)カルタヘナ議定書

第8回 国際環境制度1(続き): 伝統的知識(Traditional Knowledge; TK)
1)生物多様性と伝統的知識(TK)2)TKと名古屋議定書、3)TKとしてのコモンズ

第9回 国際環境制度2:国連気候変動枠組み条約
1)気候変動(再考)、2)気候変動枠組み条約、3)京都議定書とパリ合意

第10回 国際環境制度3:熱帯雨林の破壊
1)熱帯雨林の状況、2)熱帯雨林の破壊の原因、3)森林保全政策の考え方:CBFM

第11回 事例研究 01 インドネシアの保全開発統合プロジェクト
1)世界銀行による森林の保全と開発統合プロジェクトの事例、2)保全の価値と開発の価値、3)保全のインセンティヴ(income generation)

第12回 事例研究 02 遺伝資源探索による保全と資源利用
1) ABS(再考)、2)遺伝資源探索の事例、3)遺伝資源探索とオプション価値

第13回 学生による事例研究の発表 01
1)学生が自分で選んだ環境保全の事例を発表して、2) それについて議論するとともに、3)環境資源経済学による解説を行う。

第14回 学生による事例研究の発表 02
1)学生が自分で選んだ環境保全の事例を発表して、2)それについて議論するとともに、3)環境資源経済学による解説を行う。

第15回 まとめ:グローバルな制度と地域の環境と資源を経済学から再考する
これまでの講義を振り返り、環境問題をグローバルと地域の両面から解説する。
<前年度授業に対する改善要望等への対応>
昨年度、山梨大学の学生の履修者が1名であったために、アンケートは未実施である。
本科目は、山岳科学特別教育プログラムの対応科目であり
内容は、環境資源経済学特論と同じである。