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授業科目名 西洋史特殊講義
時間割番号 EES301
担当教員名 皆川 卓
開講学期・曜日・時限 前期・火・III 単位数 2
<対象学生>
3年生以上
<授業の目的>
中・近世ヨーロッパの国家的アイデンティティ(national identity)の形成過程とメカニズムを学び、それが近代国家にどのような影響を与えたかという点について、最新の研究成果を論じ、それが当時の世界観と価値観にどのような変化をもたらしたかを考える。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
教育学部向け
記号コンピテンシー(能力・資質) 
A専門人や社会への関心日本や世界、自然に関する広い教養を身につけている。
B教科等の専門教養取得見込みの教員免許に対応する教科の目標や内容に関する知識を習得している。
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
教育
1歴史に対する社会的視点での分析能力を高め、ナショナリズムにどのように向き合うべきかを巨視的に考察し、耐える力を養う。A
2日常生活の中で無意識に沈積する情緒的国家理解を客観化し、主権国家・市民社会を合理的・分析的に論じることができる。B
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
150%近代社会における国家への愛情を物語的・主観的にではなく分析的・客観的に理解することができるか。
250%社会科の諸単元を通じて教えられる国家を合理的に教授して生徒の公民的資質を陶冶する能力を獲得しているか。
合計100% 
<授業の方法>
配布したプリントの内容に沿って、講義形式で行う。単元の終了ごとに出席カード等で質問や意見を受け付ける。成績は期末に行う定期試験と出席状況、そしてこの質問・意見の提出状況で評価する。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
ナショナリズムは近代主権国家の中で生まれたものですが、その「元ネタ」はそれに先立つ各国の歴史、特に近代の基礎となる社会構造が創られた近世(16~19世紀。日本で言う戦国~江戸時代)にあります。ここで創られたコンセプトが、なぜ国への感情的な執着を生み出すのか、それを、ナショナリズムの基本的なメカニズムと、それぞれタイプの違う近世史を抱えるヨーロッパの三つの国の例を重ね合わせて読み解いてきます。
<テキスト>
  1. テキストは使用しない
<参考書>
  1. 塩川伸明, 民族とネイション-ナショナリズムという難問, 岩波書店, ISBN:400431156X
  2. 谷川稔, 国民国家とナショナリズム, 山川出版社, ISBN:4634343509
  3. 樋口映美・中條献, 歴史のなかの「アメリカ」-国民化をめぐる語りと創造, 彩流社, ISBN:4779111471
<授業計画の概要>
1タイトルナショナリズムの光と影(1)
事前学習
事後学習
適宜教場で指示します。
授業内容受講者が日々触れる現代日本の生活における文化と情念の関係を分析しながら、社会秩序や社会的価値への愛情が成立・発展する心的条件を論じます。
2タイトルナショナリズムの光と影(2)
事前学習
事後学習
ナショナリズムの出発点となる情念が社会価値化するメカニズムを解析します。
授業内容適宜教場で指示します。
3タイトルナショナリズムの光と影(3)
事前学習
事後学習
適宜教場で指示します。
授業内容ナショナリズムの多義性と多様性を各国近世・近代史の特徴的な出来事から明らかにします。
4タイトル近代以前に国民主義は存在するか(1)
事前学習
事後学習
適宜教場で指示します。
授業内容ナショナリズム現象とされる活動を日本、アメリカ、ドイツなどの近代史から取り上げ、既習事項に照らしてその条件が近代固有であることを分析します。
5タイトル近代以前に国民主義は存在するか(2)
事前学習
事後学習
適宜教場で指示します。
授業内容前近代史の中に、近代になって初めてナショナリズムの神話形成に用いられるトピックが多数あることを確認します。
6タイトル歴史の中のエスニシティとその分析方法(1)
事前学習
事後学習
歴史の中のエスニシティ(伝統文化的集団性)とは何かを、機能的な視点から論じます。
授業内容適宜教場で指示します。
7タイトル歴史の中のエスニシティとその分析方法(2)
事前学習
事後学習
適宜教場で指示します。
授業内容エスニシティを分析するには、その歴史的文脈と共に、集団同士の関係に注目することがポイントであることを実証的に紹介します。
8タイトル近世の国家と個人の帰属意識を重ねる試み―「王国」のフランス(1)
事前学習
事後学習
適宜教場で指示します。
授業内容君主の血統の中にエスニシティを見る伝統を発展させたフランス王国の例を紹介し、他のエスニック要素も展望しながらそのメカニズムを解き明かします。
9タイトル近世の国家と個人の帰属意識を重ねる試み―「王国」のフランス(2)
事前学習
事後学習
適宜教場で指示します。
授業内容君主の血統の中にエスニシティを見る伝統を発展させたフランス王国の例を紹介し、他のエスニック要素も展望しながら、普遍的な性格を持つ新しいエスニシティを発見する過程を分析します。
10タイトル近世の国家と個人の帰属意識を重ねる試み―「帝国」のブリテン(1)
事前学習
事後学習
適宜教場で指示します。
授業内容「議会の中の王」「幸いなる島国」「反カトリシズム」「商業国家」など多様なエスニック要素を組み合わせて小国を束ね、大国化したブリテン(イギリスの)例を紹介します。
11タイトル近世の国家と個人の帰属意識を重ねる試み―「帝国」のブリテン(2)
事前学習
事後学習
適宜教場で指示します。
授業内容ブリテンに束ねられたスコットランド、アイルランドなどの小国の視点とそれらのリアクション形成、そしてそこから生じる垂直的・水平的なアイデンティティの多元性を論じます。
12タイトル近世の国家と個人の帰属意識を重ねる試み―「民族」のドイツ(1)
事前学習
事後学習
適宜教場で指示します。
授業内容統一的な主権国家とは異なり、新旧の要素が同居する多元的な秩序を生み出した神聖ローマ帝国の特徴と、それをサポートするものとして生み出された「ドイツ」の観念の起こりを紹介します。
13タイトル近世の国家と個人の帰属意識を重ねる試み―「民族」のドイツ(2)
事前学習
事後学習
適宜教場で指示します。
授業内容神聖ローマ帝国の国家連合化によるアイデンティティの空白を埋める目的で、「ドイツ」が文化的共通材として発展していく過程を論じます。
14タイトル近世の国家と個人の帰属意識を重ねる試み―「民族」のドイツ(3)
事前学習
事後学習
適宜教場で指示します。
授業内容「ドイツ」アイデンティティが他国との関係に対する優越的価値「民族」となり、秩序も個人もそれに支配されていく過程を分析します。
15タイトル総合評価とまとめ-日本型「愛国」のカルテ
事前学習
事後学習
適宜教場で指示します。
授業内容近世ヨーロッパ各国の国家的アイデンティティを構成する要素とその組み合わせのタイプを振り返り、それらとの比較において日本的な「愛国」とは何かを、「少数民族」の観点も展望しながら分析的に論じます。
<前年度授業に対する改善要望等への対応>
・自発的に行った改善:日常生活に埋め込まれたテーマでもあるため、先入観や無意識的認知を相対化する学習のための時間を増やした。
・授業評価アンケートによる改善:回答者がいなかったため参考にしなかった。
・自己点検等に基づく改善:問題点の指摘がなかったため特になし。
<備考>
(未登録)