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授業科目名 言語習得論
時間割番号 EEJ263
担当教員名 仲本 康一郎
開講学期・曜日・時限 後期・火・I 単位数 2
<対象学生>
日本語教員養成プログラムの選択必修科目です。
2-4年次
<授業の目的>
言語習得論の諸問題について、言語学、心理学の観点から総合的に考察します。具体的には、認知発達、母語の獲得、社会化、第二言語習得、母語の干渉、バイリンガリズムなどのテーマをとりあげて議論します。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
教育学部向け
記号コンピテンシー(能力・資質) 
A専門授業力・実践的技能教材研究や教材開発を進んで行うことができる。
B教科等の専門教養取得見込みの教員免許に対応する教科の目標や内容に関する知識を習得している。
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
教育
1母語の発達に関する基本的な知識と考え方を身につけていること。
2第二言語習得に関する基本的な知識と考え方を身につけていること。
3言語習得論の知見を活かし、日本語教育に応用できるようになること。
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
140%【方法】記述式テストによって評価する。【観点】母語の獲得について具体的な言語事実に沿って説明できること。
240%【方法】記述式テストによって評価する。【観点】第二言語習得について具体的な言語事実に沿って説明できること。
320%【方法】記述式テストによって評価する。【観点】言語習得論の知見を活かし、日本語指導や教材研究ができること。
合計100% 
<授業の方法>
毎回異なるテーマのハンドアウトを用いて講義形式で授業を行います。また、受講者には教科書の内容をまとめて発表してもらいます。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
外国語を習得するのはなぜこんなにむずかしいでしょうか、一方、辞書も文法書もなしに子どもなぜ母語を自然に身につけることができるのでしょうか。この授業では、ことばの習得について感じるこんな素朴な疑問から考えていきます。ことばの習得に関心を持っている人、ことばと心について幅広く考えてみたい人に受講を勧めます。
<テキスト>
  1. 国際交流基金著, 初級を教える, ひつじ書房, ISBN:9784894763098,
    (国際交流基金日本語教授法シリーズ9)

  2. 国際交流基金著, 中・上級を教える, ひつじ書房, ISBN:9784894763104,
    (国際交流基金日本語教授法シリーズ10)

  3. 国際交流基金著, 日本事情・日本文化を教える, ひつじ書房, ISBN:9784894763111,
    (国際交流基金日本語教授法シリーズ11)
<参考書>
  1. 奥野由紀子編著, 超基礎 第二言語習得研究SLA, くろしお出版, ISBN:9784874248843
  2. 大関浩美著, 日本語を教えるための第二言語習得論入門, くろしお出版, ISBN:9784874244807
<授業計画の概要>
1タイトルガイダンスーことばと心を研究する
事前学習
事後学習
言語研究の歴史を概観し、言語心理学がどのような背景で誕生したかを理解すること
授業内容古典文献学、比較言語学、一般言語学、言語心理学、社会言語学
2タイトルことばの起源と進化
事前学習
事後学習
・なぜヒトだけがことばを持つことができたのかを考えてくること
・比較認知科学による言語進化のシナリオを説明できるようにすること
授業内容言語起源論、比較認知科学、共進化、進化言語学、バイオプログラム仮説
3タイトルことば以前の発達
事前学習
事後学習
・子どもの世界観に触れた経験をふりかえりその特徴を考えてくること
・子どもの認知発達に関する素朴理論の考え方を具体例に沿って説明できるようにすること
授業内容認知発達、素朴理論、心の理論、模倣学習、文化学習
4タイトル文の理解と産出――生成文法
事前学習
事後学習
・日本語と英語の文法の共通点と相違点について考えてくること
・生成文法の基本的な考え方を具体例に沿って説明できるようにすること
授業内容生成文法、刺激の貧困、句構造規則、変形規則、曖昧性
5タイトル母語の発達―語彙獲得
事前学習
事後学習
・子どもがどのように語彙を覚えていくのかを考えてくること
・語彙発達のプロセスを具体例に沿って説明できるようにすること
授業内容語彙爆発、汎用的使用、即時マッピング、認知バイアス、アフォーダンス
6タイトル母語の発達―文法獲得
事前学習
事後学習
・子どもがどのようにして複雑な文法を習得していくのかを考えてくること
・文法習得のプロセスを具体例に沿って説明できるようにすること
授業内容生成文法、刺激の貧困、構文文法、用法基盤主義、軸文法、島文法
7タイトル社会化の過程
事前学習
事後学習
・子どもの言語発達に養育者はどのように関与しているかを考えてくること
・ことばによる社会化のプロセスを具体的に説明できるようにすること
授業内容共同注意、社会的参照、原型会話、足場づくり、外言から内言へ
8タイトル母語の干渉と誤用分析
事前学習
事後学習
・母語が外国語の学習に与える影響を自己の体験をふりかえり考えてくること
・誤用に対する考え方の変遷を第二言語習得論として説明できるようにすること
授業内容母語の干渉、言語転移、語用分析、中間言語、化石化、回避
9タイトル第二言語習得論
事前学習
事後学習
・語学の才能があるとはどういうことかを具体的に考えてくること
・第二言語習得論の仮説を具体例に沿って説明できるようにすること
授業内容自然習得、教室学習、モニター仮説、自然順序仮説、インプット仮説、情意フィルター
10タイトル外国語学習と個人的要因
事前学習
事後学習
・語学の才能があるとはどのようなことかを具体例に考えてくること
・外国語学習を成功/失敗に導く要因を説明できるようにすること
授業内容臨界期仮説、動機づけ、言語適正、学習スタイル、適性処遇交互作用
11タイトル言語と思考―言語相対論
事前学習
事後学習
・日本語と英語の発想の違いを自らの体験をふりかえり考えてくること
・日本語と英語の発想の違いを具体例に沿って説明できるようにすること
授業内容言語相対論、対照言語学、基本色彩語、スル言語、ナル言語、事実志向、立場志向
12タイトルバイリンガリズム
事前学習
事後学習
・バイリンガル、バイカルチュラルのメリットとデメリットを考えてくること
・バイリンガルの頭の中はどうなっているのかを説明できるようにすること
授業内容複言語主義、ダイグロシア、言語教育政策、セミリンガル、共通基底能力
13タイトル言語の脳科学――失語症の世界
事前学習
事後学習
・言語能力は脳のどの部位に局在するかを調べてくること
・失語症について脳部位と関連づけて説明できるようにすること
授業内容右脳と左脳、機能局在論、ブローカ失語、ウェルニッケ失語、読字障害
14タイトルことばとコンピュータ
事前学習
事後学習
・人間とAIの会話はどこまで可能かを考えてくること
・コーパス言語学の可能性をふりかえり実践してみること
授業内容自然言語処理、対話システム、コーパス言語学、構文、計量文献学
15タイトル総括評価とまとめ
事前学習
事後学習
・これまでの授業をふりかえり復習をしてくること
・授業の全体をふりかえり学びの成果を確認すること
授業内容本授業の学びを総括し、授業のまとめと学習の評価を行う
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
日本語教師として、長年、留学生の日本語教育に携わってきました。また、文部科学省委託事業「外国人児童生徒等教育を担う教員の養成・研修プログラム開発事業」に委員として参加し、外国人児童生徒教育のためのカリキュラム開発を行いました。
<前年度授業に対する改善要望等への対応>
前年度非開講につき該当しない
<備考>
(未登録)