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授業科目名 博物館概論
時間割番号 EEC127
担当教員名 小畑 茂雄
開講学期・曜日・時限 後期・火・I 単位数 2
<対象学生>
学芸員資格の取得を目指す学生を対象とします。
<授業の目的>
みなさんにとって博物館とはどのような場所でしょうか。歴史にロマンを感じたり、アートに心を豊かにし、動物に癒されたり、さまざまな博物館ならではの楽しみや思い出があると思います。本授業では、社会や人々にとっての博物館と、それを支える学芸員について基礎的な知識を形成するとともに、博物館におけるさまざまな実務や諸分野に関する問題意識を形成することを目的とします。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
教育学部向け
記号コンピテンシー(能力・資質)説明 
A専門人や社会への関心居住する地域の現状や課題などに関する高い関心をもっている。
B共通教養様々な学問分野の考え方当該科目の学問分野(人文・社会・自然・健康科学等)の考え方を説明できる。
C汎用能力5・問題解決力構想力多様な解決方法を案出・検討し、適切な方法を選択できる。
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
教育
1学芸員としての立場から考察することと、博物館の利用者の目線から課題を解決するために、具体的方法について積極的に提案すること。A
2博物館にまつわる諸問題について理解し、現実性の伴った改善策を提案すること。C
3以上の目標に基づいて授業に参加し、博物館学芸員として必要となる知識と問題意識を形成すること。B
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
150%出席および博物館の課題の把握と問題の解決について意見を発表すること。
250%期末の試験
3%
合計100% 
<授業の方法>
対面形式を基本として、スライドショーと対応したレジュメを配付して実施します。そのほか、講師からの問いや課題について小レポートなどで報告してもらいます。個々の博物館に対する知識や見解を問うので、実際の博物館への訪問と振り返りを推奨します。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
博物館の価値は人それぞれといえます。生活を豊かにする観点や、学校教育や生涯学習の場所であること、地域の文化や観光の拠点としての期待など、人それぞれの立場の違いによって、博物館がどのように応えていくのかが問われます。みなさんそれぞれにとっての博物館の価値を振り返りつつ、学芸員がどのような役割を果たし得るのか、その立脚点となる知識や意識を育んでもらいたいと思います。
<テキスト>
(未登録)
<参考書>
  1. 杉本竜著, これから学芸員をめざす人のために, 創元社, ISBN:4422701460,
    (2023年出版)

  2. 鶴見英成編著, 博物館概論 新訂, 放送大学教育振興会, ISBN:4595323948,
    (2023年出版 放送大学教材, 1740210-1-2311)

  3. 地方史研究協議会編, 「非常時」の記録保存と記憶化 : 戦争・災害・感染症と地域社会, 岩田書院, ISBN:4866021551,
    (2023年出版)
<授業計画の概要>
1タイトル博物館と博物館学とはなにか
事前学習
事後学習
自身の博物館体験の原点を振り返り、自分にとっての博物館とはなにか、の問いについて述べることができるようにしてください。
授業内容本授業の計画や目標について。【私(自分)にとって博物館はどんなものか】と【社会にとって博物館はどんなものか】という博物館や学芸員について考える立脚点を確認し、本授業に対する視角、取り組み方について考えてください。
2タイトルさまざまな博物館(展示)
事前学習
事後学習
「博物館」といっても美術館や動物園などさまざまな館園の種類がありますので、それぞれの博物館体験を振り返り、あるいは展覧会情報を調査し、その特徴や展示手法について理解を深めてください。
授業内容博物館のさまざまな館園とその特徴や傾向を理解するとともに、個々の展示手法について解説します。また、博物館展示への取り組み方と求められるものについて、近年の博物館を取り巻く状況とともに考えていきます。
3タイトル学芸員の役割
事前学習
事後学習
参考図書や博物館のSNSなどから、学芸員の仕事についての実情への理解を深めてください。
授業内容博物館の活動のなかで、みえるものとみえない学芸員の仕事があり、その実態について紹介します。ぜひみなさんの学芸員像を新たにしていただきたいと思います。
4タイトル博物館の歴史
事前学習
事後学習
博物館や展示という語彙の由来や歴史について、授業で指示の書籍などから事前に学習してください。
授業内容人々にとっての博物館とはどのように期待されるもので、時代ごとにどのように変化してきたのかについて解説しますので、今の私たちが博物館に何を求め得るのかについて考えていきましょう。
5タイトル博物館資料(コレクション)の形成とその課題
事前学習
事後学習
博物館資料(コレクション)に関するニュースなどについて情報を収集してください。
授業内容博物館が唯一で無二であることを担保するのが収蔵する資料であり、資料は博物館の個性そのものといえます。その形成へのアプローチや課題、また災害の多発する時代のなかで資料をどのように保全するかについて、その取り組みについて紹介します。
6タイトル博物館資料と文化財レスキュー
事前学習
事後学習
2019年台風19号災害で被災した川崎市市民ミュージアムなどの文化財レスキューの実例について、インターネット上で公開されている報告書などを閲覧してください。
授業内容資料の収集は終わりないもので、日々の散逸に対して抗う博物館の活動です。また天災や戦争によって大規模に失われるものでもある観点から、その保全や文化財レスキューの実例について紹介します。
7タイトル博物館の評価制度と実践
事前学習
事後学習
山梨県立博物館で開催されている「博物館の通信簿」について熟読してください。
授業内容なぜ博物館に「評価」が必要なのか。博物館を正しく成長させるための評価はどのようなものであるべきか考察していきましょう。
8タイトル「非常時」の資料収集
事前学習
事後学習
新型コロナウイルス感染症関係資料の収集に関する文献を配付しますので、「非常時」における資料の収集とその活用について見解を組み立ててください。
授業内容コロナ禍のなかで全国の博物館の取り組みとしておこなわれた新型コロナ関係資料の収集を通じて、現代の資料や「非常時」に資料を残す取り組みについて紹介していきます。
9タイトルさまざまな博物館の活用のかたち
事前学習
事後学習
自身が体験したことのあるワークショップや、話題となったイベントなど、博物館の活用にまつわる事例について情報を収集してください。
授業内容近年の博物館を理解するうえで「コミュニケーション」という言葉の重要さが増しています。一般の利用や生涯学習、学校の利用など、さまざまな活用の実例を紹介しますので、博物館をどのように楽しむことができるかの可能性について理解を深めていきましょう。
10タイトル博物館の経営(マネージメントとマーケティング)
事前学習
事後学習
近年厳しさを増す博物館を取り巻く財政的な問題について、クラウドファンディングの実例など情報を収集してください。
授業内容博物館の経営的な状況やその資産である資料や人員などについて解説します。そこから博物館のマネージメントや求められるマーケティングについて考えていきましょう。
11タイトル博物館の情報発信
事前学習
事後学習
コロナ禍で顕著となった博物館の情報メディアの展開について、実例を調べてみてください。
授業内容博物館のメディア(媒体)としての機能を概観しつつ博物館の情報メディアの活用について解説します。新しい博物館の楽しみ方や理解のあり方に向けて、どのようにつなげていけるかを考察してください。
12タイトル博物館実習に向けて
事前学習
事後学習
博物館実習にどのような研修を期待するか、それぞれの博物館への期待やキャリアデザインを意識して事前に意見をまとめてください。
授業内容大学に設置されている学芸員課程のなかで、博物館実習にどのようなことが求められているかについて解説します。実習に取り組む前にどのような実践的な活動を期待するか、それぞれのイメージを組み立ててください。
13タイトル博物館の調査・研究
事前学習
事後学習
博物館の調査・研究活動にどのようなものがあるか、各館のホームページなどにより、そのテーマや体制について確認してください。
授業内容博物館が「成長」するために調査・研究は不可欠なものです。しかし、資料やテーマは豊富でも、財政的な面や業務量など博物館は必ずしも研究する環境としては恵まれてはいません。持続的に調査・研究を遂行しつつ展示などの普及活動によって社会に還元されるためには、何が求められるのかについて考察してください。
14タイトルコロナのなかの博物館
事前学習
事後学習
コロナ禍における博物館活動の実例を調べつつ体験してみてください。
授業内容コロナ禍は博物館になにをもたらしたのかを概説しつつ、そのなかでの博物館活動について紹介します。デジタル化・リモート化が進むなかで、リアルな博物館はどのように存在感を発揮していくべきか、みなさんも考えてみてください。
15タイトルこれからの博物館と学芸員
事前学習
事後学習
後期末の試験に向けて、これまでの講義や議論の内容を振り返ってください。
授業内容博物館概論の授業を総括します。その他の学芸員課程の科目に臨むうえで必要となる知識や問題意識を確認する機会としてください。
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
歴史系博物館に在職中(学芸員在職20年以上)。博物館施設の計画・設計段階から関与し、多くの展覧会実務を経験したことから、博物館を取り巻く実情を紐解きながら、実践的な取り組みを中心に授業を展開していきます。
<前年度授業に対する改善要望等への対応>
アンケート結果確認中
<備考>
(未登録)