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授業科目名 ドイツ語圏の文学
分類人文科学
時間割番号 CAC048
担当教員名 寺田 雄介
開講学期・曜日・時限 後期・月・V 単位数 2
<対象学生>
全学部生
<授業の目的>
 文学とはフィクションです。そこには作者の祈りが様々な技法を用いて綴られています。だからこそ私たちは本を片手に時に息苦しい現実世界を暫しのあいだ離れ,物語世界を逍遥することができます。
 しかし同時に,文学とはフィクションではありません。それは作品が成立した場所の社会や文化,すなわち現実世界を映し出すスクリーンであり,私たちが経験したことのない時代や訪れたことのない場所を知るための,有益な資料になり得るからです。
 本科目では,各時代を代表するドイツ語圏の文学作品と向き合いながら,フィクション/ノンフィクション両面からの分析を試みます。各作品の中で描かれる多様なテーマが,現代の私たちが抱えている問題と深く関連する普遍的なものであることに気づき,解決の手がかりをつかむことを目標とし,講義及び演習形式により授業を行います。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
全学共通教育科目向け
記号コンピテンシー(能力・資質)説明 
A共通教養様々な学問分野の考え方当該科目の学問分野(人文・社会・自然・健康科学等)の考え方を説明できる。
B批評力学んだ内容を自らの言葉で的確に論評・伝達できる。
C汎用能力1・コミュニケーションスキル読解力情報の正確さや分析の妥当性などについて吟味しながら学術的な文献を読むことができる。
D口頭発表力自分の意見を、一定の論理的根拠を伴って、わかりやすく話すことができる。
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
共通
1各々の文学作品の成立過程を,ドイツ語圏の文化史から捉えることができる。A
2主観的に作品と向き合うだけでなく,担当教員の問いや自ら立てた問いに対して,客観的な分析手法を用いて検証できる。B
3文学作品や関連する研究書を丁寧に読み込み,そこに描かれた主題を適切に,また多様に解釈することができる。C
4自らの解釈や研究成果を,制限時間内で他者にわかりやすく説明できる。D
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
130%コメントシート/プレゼンテーションで目標に到達できているかを判断する
230%コメントシート/プレゼンテーションで目標に到達できているかを判断する
330%コメントシート/プレゼンテーションで目標に到達できているかを判断する
410%プレゼンテーションで目標に到達できているかを判断する
合計100% 
<授業の方法>
 基本的には面接授業で実施します。
 前半は講義形式となります。ドイツ語圏の各時代を代表する6つの文学作品について解説を行います。その際,コメントシートの提出を通して授業内容の理解と履修者の気づきを確認します。
 後半は演習形式となります。履修者同士でグループを作成し,提示された文学作品の中から興味ある1作品を選んでいただきます。作家やストーリー,そして作品分析についてグループごとに調査・研究し,その成果をビブリオバトル風に発表していただきます。
 評価はテストやレポートではなく,コメントシート提出による形成的評価と,プレゼンテーションによる総括的評価を組み合わせて行います。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
 日本語訳を用いて授業を進めるため,ドイツ語の知識は一切問いません。ストーリーの展開が面白く,書店や図書館で入手しやすい中・短編作品を厳選しました。
 授業の後半では,グループごとの調査・研究とプレゼンテーションの準備が主になります。読書が好きな学生はもちろんですが,他の履修者との共同作業を楽しめる学生を歓迎します。
<テキスト>
(未登録)
<参考書>
  1. ゲーテ [著] ; 酒寄進一訳, 若きウェルテルの悩み, 光文社, ISBN:9784334102197,
    (2024年出版 光文社古典新訳文庫, K-Aケ 3-3)

  2. クライスト作 ; 山口裕之訳, ミヒャエル・コールハース ; チリの地震 : 他一篇, 岩波書店, ISBN:9784003241660,
    (2024年出版 岩波文庫, 赤(32)-416-6)

  3. フランツ・カフカ [著] ; 川島隆訳, 変身, KADOKAWA, ISBN:9784041092361,
    (2022年出版 角川文庫, 23060, [カ2-6])

  4. ミヒャエル・エンデ作 ; 大島かおり訳, モモ, 岩波書店, ISBN:9784001141276,
    (2005年出版 岩波少年文庫, 127)

  5. ベルンハルト・シュリンク [著] ; 松永美穂訳, 朗読者, 新潮社, ISBN:9784102007112,
    (2003年出版 新潮文庫, 7170, シ-33-1)

  6. フェルディナント・フォン・シーラッハ著 ; 酒寄進一訳, 神, 東京創元社, ISBN:9784488011291,
    (2023年出版)
<授業計画の概要>
1タイトル導入/ドイツ文学史の概観
事前学習
事後学習
事前学習:特になし
事後学習:講義で扱った内容について,コメントシートを提出する
授業内容中世初期からドイツ再統一後までの文学史を大まかに説明できる
2タイトルヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ:『若きウェルテルの悩み』を読む
事前学習
事後学習
事前学習:第一回目の講義を参考に,該当作品が成立した時代背景について考察する
事後学習:講義で扱った内容について,コメントシートを提出する
授業内容ゲーテの『若きウェルテルの悩み』について,作家論・作品論の観点から説明できる
3タイトルハインリヒ・フォン・クライスト:『チリの地震』を読む
事前学習
事後学習
事前学習:第一回目の講義を参考に,該当作品が成立した時代背景について考察する
事後学習:講義で扱った内容について,コメントシートを提出する
授業内容クライストの『チリの地震』について,作家論・作品論の観点から説明できる
4タイトルフランツ・カフカ:『変身』を読む
事前学習
事後学習
事前学習:第一回目の講義を参考に,該当作品が成立した時代背景について考察する
事後学習:講義で扱った内容について,コメントシートを提出する
授業内容カフカの『変身』について,作家論・作品論の観点から説明できる
5タイトルミヒャエル・エンデ:『モモ』を読む
事前学習
事後学習
事前学習:第一回目の講義を参考に,該当作品が成立した時代背景について考察する
事後学習:講義で扱った内容について,コメントシートを提出する
授業内容エンデの『モモ』について,作家論・作品論の観点から説明できる
6タイトルベルンハルト・シュリンク:『朗読者』を読む
事前学習
事後学習
事前学習:第一回目の講義を参考に,該当作品が成立した時代背景について考察する
事後学習:講義で扱った内容について,コメントシートを提出する
授業内容シュリンクの『朗読者』について,作家論・作品論の観点から説明できる
7タイトルフェルディナント・フォン・シーラッハ:『神』を読む
事前学習
事後学習
事前学習:第一回目の講義を参考に,該当作品が成立した時代背景について考察する
事後学習:講義で扱った内容について,コメントシートを提出する
授業内容シーラッハの『神』について,作家論・作品論の観点から説明できる
8タイトルグループ作成/ワークショップ1
事前学習
事後学習
事前学習:リストの中から選んだ作品を精読・研究する
事後学習:プレゼンテーションの準備を行い,作業の進捗状況を報告する
授業内容プレゼンテーションのグループを作成する
担当教員のアドバイスを受けながらグループごとに準備を行う
9タイトルワークショップ2
事前学習
事後学習
事前学習:リストの中から選んだ作品を精読・研究する
事後学習:プレゼンテーションの準備を行い,作業の進捗状況を報告する
授業内容担当教員のアドバイスを受けながらグループごとに準備を行う
10タイトルワークショップ3
事前学習
事後学習
事前学習:リストの中から選んだ作品を精読・研究する
事後学習:プレゼンテーションの準備を行い,作業の進捗状況を報告する
授業内容担当教員のアドバイスを受けながらグループごとに準備を行う
11タイトルワークショップ4
事前学習
事後学習
事前学習:リストの中から選んだ作品を精読・研究する
事後学習:プレゼンテーションの準備を行い,作業の進捗状況を報告する
授業内容担当教員のアドバイスを受けながらグループごとに準備を行い,プレゼンテーションを完成させる
12タイトルプレゼンテーション1/講評
事前学習
事後学習
事前学習:プレゼンテーションの準備をする
事後学習:他グループのプレゼンテーションについて,質疑応答や講評もふまえたうえでコメントシートを提出する
授業内容発表グループはプレゼンテーションを行い,その他のグループは質疑応答を行う
13タイトルプレゼンテーション2/講評
事前学習
事後学習
事前学習:プレゼンテーションの準備をする
事後学習:他グループのプレゼンテーションについて,質疑応答や講評もふまえたうえでコメントシートを提出する
授業内容発表グループはプレゼンテーションを行い,その他のグループは質疑応答を行う
14タイトルプレゼンテーション3/講評
事前学習
事後学習
事前学習:プレゼンテーションの準備をする
事後学習:他グループのプレゼンテーションについて,質疑応答や講評もふまえたうえでコメントシートを提出する
授業内容発表グループはプレゼンテーションを行い,その他のグループは質疑応答を行う
15タイトル全体の講評とまとめ
事前学習
事後学習
事前学習:特になし
事後学習:講義で扱った内容について,コメントシートを提出する
授業内容授業で扱った全ての文学作品とその解釈をふりかえり,現代にも通じる普遍的なテーマを発見する
<前年度授業に対する改善要望等への対応>
 授業方法や授業内容については概ね肯定的なものばかりでしたが,扱う作品を時代順にして欲しい,グループワークの時間がもっと欲しい,特定の学生に負担が集中しないようにグループ全員に発表させた方が良い,などの意見がありました。どれも大切な指摘だと思います。これまでは学生の主体性にほぼ任せてしまっていましたが,今度はある程度共通のルールを定めたうえでグループワークに励んでもらおうと思います。
<備考>
(未登録)