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授業科目名 量子光学
時間割番号 TAM312
担当教員名 張本 鉄雄
開講学期・曜日・時限 前期・月・II 単位数 2
<対象学生>
(未登録)
<授業の目的>
半導体レーザーのような光デバイスは、ハイテック時代の中枢的な要素の一つとして、その重要性が増しつつある。本講義では、光と量子をキーワードとして、量子デバイスの基礎とその応用、特に半導体レーザーの動作原理に関する様々な量子過程について解説する。また、基礎的な知識として幾何光学及び波動光学から高強度レーザーによる非線形光学効果まで、量子光学を理解するために必要な線形光学及び非線形光学の基礎知識を講義する。本講義を履修することにより、光量子デバイス、非線形光学デバイス、量子フォトニクス等の基礎となる物理学の専門的知識を習得することができる。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
工学部>機械工学科向け
工学部>電気電子工学科向け
工学部>先端材料理工学科向け
記号コンピテンシー(能力・資質) 
AM-A専門1.基礎的知識物理学
AM-B2.専門的知識・技術融合科学技術
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
AM
1光の波動性と粒子性を理解し、説明できる。AM-A
2ガウスビームの伝搬と集光現象を理解し、そのメカニズムを説明できる。AM-B
3線形感受率と非線形感受率の定義を理解し、説明できる。AM-B
4誘導放出と反転分布の概念を理解し、レーザー機構を説明できる。AM-B
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
125%テスト・課題で該当する項目を正しく説明できたか否かを評価する
225%テスト・課題で該当する項目を正しく説明できたか否かを評価する
315%テスト・課題で該当する項目を正しく説明できたか否かを評価する
435%テスト・課題で該当する項目を正しく説明できたか否かを評価する
合計100% 
<授業の方法>
本講義は基本的に面接授業で実施する。新型コロナウイルスの感染状況に応じて、面接授業中にマスク着用、適切な距離等の基本的な感染症対策を講じながら講義を行う。また、必要に応じて、Zoom等によるライブ授業に変更することもある。実施方法等はCNSにおいてアナウンスする。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
予備知識として微積分、微分方程式、ベクトル解析・フーリエ解析、電磁気学、量子力学の基礎が必要である。
<テキスト>
  1. 松岡正浩, 量子光学, 裳華房, ISBN:4785320935
<参考書>
  1. 前田三男, 量子エレクトロンニクス, 昭晃堂, ISBN:4785601116
  2. 後藤俊夫、森正和, 量子エレクトロンニクス, 昭晃堂, ISBN:4785621516
<授業計画の概要>
1タイトル量子光学の基礎
事前学習
事後学習
予習内容:減衰振動微分方程式の解、マクスウェル方程式の基礎、シュレーディンガー方程式の基礎講義後の学習内容:光の事後学習内容:電磁波説、粒子説、光量子説
授業内容光の電磁波説、粒子説、光量子説などの歴史
基礎学力の確認テスト
2タイトル光のコヒーレンス(干渉性)
事前学習
事後学習
予習内容:ヤング干渉
事後学習内容:光の干渉性
授業内容空間コヒーレンス(回折、ヤング干渉):ピンホール回折、2つの円形ピンホールによる回折光のヤング干渉
時間コヒーレンス(マイケルソン干渉計):マイケルソン干渉計と時間的コヒーレンス
3タイトル光の粒子性(光量子説)
事前学習
事後学習
予習内容:運動エネルギーと運動量
事後学習内容:光の粒子性に関する
授業内容光電効果と光子のエネルギー、コンプトン散乱と光子の運動量
アインシュタイの光量子仮説、物質波
4タイトル幾何光学の基礎
事前学習
事後学習
予習内容:スネルの法則
事後学習内容:光の結像
授業内容光路の概念、フェルマーの原理とスネルの法則、レンズによる結像
5タイトル物理光学の基礎
事前学習
事後学習
予習内容:マクスウェル方程式
検討課題:円柱座標のラプラス演算子(詳細はmoodleに掲示)
授業内容近軸波動方程式とSVAP近似
6タイトルガウスビームの基礎
事前学習
事後学習
予習内容:近軸波動方程式の解
検討課題:教科書Pp.18:近軸波動方程式の導き方法
授業内容qパラメータ、ガウスビームの半径と波面の曲率、ガウスビーム伝搬、レンズによるガウスビームの変換
検討課題:レンズによるガウスビームウエストの変換
7タイトル光の吸収、自然放出、誘導放出
事前学習
事後学習
予習内容:教科書第4章「レーザー」 p.40~の一部(光の吸収、自然放出、誘導放出)
検討課題:光の自然放出と誘導放出
授業内容ボーアの原子論
光の吸収、自然放出、誘導放出
平衡状態の原子と放射
レーザーの密度方程式の概要
8タイトル2準位、3準位、4準位原子系における光の吸収と放射
事前学習
事後学習
予習内容:熱平衡状態、ボルツマン分布
検討課題:2準位原子系、3準位原子系、4準位原子系、吸収と放出の波長との関係(詳細はmoodleに掲示)
授業内容誘導放出による光の増幅、光強度、利得、利得係数と反転分布、吸収と放出端面積(追加内容)
平衡状態における原子の放射とアインシュタイン係数、熱平衡分布と反転分布(負の温度)
3準位と4準位レーザーシステムの基礎
9タイトルレーザーの基礎
事前学習
事後学習
予習内容:多光波干渉と共振器
検討課題:レーザーの構成
授業内容3準位、4準位原子系の実例(追加)、光増幅と共振器(光のフィードバック、レーザーの構成(活性媒質、共振器、励起源)、エネルギー準位の単位、空胴共振器の共振波長と周波数(多光波干渉の概念:ファブリペロー干渉計)
10タイトルレーザーの縦モードと横モード
事前学習
事後学習
予習内容:光の波長、周波数、角周波数
検討課題1:多光波干渉と共振器
検討課題2:横モードと縦モード、TEM
授業内容縦モードと定在波、空胴共振器の共振波長と周波数、共振器の縦モード、縦モードと利得幅
共振器の安定条件、共振器の横モード、共振器の横モードの理論解析(キルヒホフの回折理論)
11タイトルレーザーの発振
事前学習
事後学習
予習内容:共振器、利得と損失
検討課題:国内外の光学部品メーカーのWEBを調べ、He-Neレーザーの主な仕様について纏めること
授業内容レーザーの発振条件と閾値、レーザー装置の主な仕様(固体レーザーの主な仕様)
レーザー光のエネルギー・出力・強度、レーザー光の波長領域
代表的な商用レーザーシステム
12タイトル固体レーザー(ネオジウムレーザー)
事前学習
事後学習
予習内容:エネルギー準位
授業内容Nd:YAGレーザーとNd:glassレーザーのエネルギー準位、ルビーレーザーのエネルギー(Cr3+イオン)準位
Ti:sapphireレーザーのエネルギー準位、固体レーザー材料
半導体レーザーの基礎(ヘテロ構造と二重ヘテロ構造)
13タイトル気体レーザー(ヘリウムネオンレーザー)
事前学習
事後学習
予習内容:光の反射と屈折
計算課題:EXCELを用いたブリュースター(Brewster)角の計算
授業内容He-Neレーザーのエネルギー準位、He-Neレーザーの典型構造
ブリュースター(Brewster)角
14タイトル非線形光学の基礎
事前学習
事後学習
予習内容:非線形光学結晶の基礎
計算課題:KDP結晶の常光線と異常光線の屈折率
授業内容光に対する物質の応答は分極、線形光学現象、非線形光学現象
第2高調波発生のイメージ、2次の非線形分極(概要)
物質の反転対称性と非線形光学効果
15タイトル高調波発生の基礎
事前学習
事後学習
予習内容:エネルギーと運動量の保存則
計算課題:EXCELを用いてタイプI BBO結晶の位相整合角と波長(200~1200 nm)との関係
授業内容非線形光学過程におけるエネルギーと運動量の保存則
非線形光学結晶における第2高調波発生の位相整合
一軸結晶の屈折率面、タイプI位相整合方式、タイプⅡ位相整合方式
<備考>
 オフィスアワー:A1-215の教員室で質問・相談を受ける。