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授業科目名 量子化学
時間割番号 TAC213
担当教員名 阪根 英人
開講学期・曜日・時限 後期・火・III 単位数 2
<対象学生>
(未登録)
<授業の目的>
 日常での物体の運動は、古典力学(ニュートン力学)によって精確に表すことができる。しかし、電子のように非常に小さい粒子の振る舞いを古典力学で説明しようとしてもうまくいかない。
 そのような粒子の運動や非常に小さい粒子と光との相互作用をうまく説明できるのが、シュレーディンガーによって生まれた量子力学である。量子力学は古典力学よりもずっと基本的な法則なので、古典力学から量子力学を導くことはできない。むしろ古典力学は、量子力学の結果の平均や集団、極限として導かれる。
 量子化学は、量子力学を使って化学現象を説明するものである。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
工学部>応用化学科向け
記号コンピテンシー(能力・資質)説明 
AC-A専門4.化学の専門知識・技術を活用し、新素材・エネルギー・環境等の分野における問題解決に取り組むことができる。D.物理化学D1. 気体の巨視的な性質、原子や分子の量子化学的性質、微視的な熱力学的諸量を説明し、計算ができる。
AC-B共通汎用能力3・数量的リテラシーさまざまな情報を統計学的手法などにより、数理的に表現・分析できる。
AC-C4・論理的思考力情報を多面的・客観的にとらえ、筋道を立てて根拠を示しながら説明できる。
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
AC
1抵抗がなくなること。AC-A
2量子化学の数式が扱えること。AC-B
3量子化学を使用して新しい考察に取り組めること。AC-C
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
133%量子化学に基づく考え方ができる
234%量子化学の基礎的な計算問題が解ける
333%新しい考察に量子化学を応用できる
合計100% 
<授業の方法>
 基礎物理化学Iの量子力学の初歩で学んだ知識と、物理関係の授業で習う電磁気学の基礎知識を理解している必要があるので、復習しておかなければならない。
 難しい数学的な取り扱いについては改めて説明するが、高校と大学の解析学で学んだ知識が基礎となる。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
 教科書に掲載されている演習と問題を解いて復習すると理解に役立つ。
 量子力学で表される現象は、われわれの日常的な感覚とはかけ離れている場合も多い。そのような場合に、日常的な感覚をもとにして理解しようとするのではなく、あくまでも量子力学の考え方に沿って理解しようとすることが、量子力学の理解を早める。
<テキスト>
  1. Peter Atkins, Julio de Paula 著、中野元裕、上田貴洋、奥村光隆、北河康隆 訳, アトキンス 物理化学(上) 第10版, 東京化学同人, ISBN:9784807909087
  2. Peter Atkins, Julio de Paula 著、中野元裕、上田貴洋、奥村光隆、北河康隆 訳, アトキンス 物理化学(下) 第10版, 東京化学同人, ISBN:9784807909094
<参考書>
(未登録)
<授業計画の概要>
1タイトル1次元空間における微小粒子の運動の復習とその評価テスト
事前学習
事後学習
基礎物理化学Iで学んだ量子力学の基礎の復習
講義内容の復習と教科書の問題を解く。
授業内容1次元空間における自由な微小粒子の運動と箱の中の微小粒子の運動の復習
2タイトル2次元・3次元空間における微小粒子の運動
事前学習
事後学習
1次元空間における箱の中の微小粒子の運動の復習
講義内容の復習と教科書の問題を解く。
授業内容2次元・3次元空間における箱の中の微小粒子の運動
3タイトルトンネル現象
事前学習
事後学習
1次元空間における箱の中の微小粒子の運動の復習
講義内容の復習と教科書の問題を解く。
授業内容トンネル現象
4タイトル振動運動
事前学習
事後学習
1次元空間における箱の中の微小粒子の運動の復習。
講義内容の復習と教科書の問題を解く。
授業内容調和振動子の量子力学
5タイトル円環上の回転運動
事前学習
事後学習
2次元空間における箱の中の微小粒子の運動の復習
講義内容の復習と教科書の問題を解く。
授業内容2次元空間内を等速円運動する微小粒子の量子力学
回転準位とスペクトル
6タイトル球面上の回転運動
事前学習
事後学習
円環上の回転運動の復習
講義内容の復習と教科書の問題を解く。
授業内容3次元空間内の球面上を等速運動する微小粒子の量子力学
7タイトル水素型原子の電子構造と原子スペクトル
事前学習
事後学習
3次元空間内の球面上を等速運動する微小粒子の量子力学の復習
講義内容の復習と教科書の問題を解く。
授業内容1個の原子核と1個の電子からなる系の量子力学
原子中の電子のエネルギー準位とスペクトル
8タイトル原子軌道関数とエネルギー準位
事前学習
事後学習
水素型原子の量子力学の復習
講義内容の復習と教科書の問題を解く。
授業内容水素型原子で現れる電子状態とその配置
9タイトル多電子原子の構造と原子スペクトル
事前学習
事後学習
1個の原子核と1個の電子からなる系の量子力学の復習。
講義内容の復習と教科書の問題を解く。
授業内容1個の原子核と2個以上の電子からなる系の量子力学
原子中の電子の様々な相互作用
10タイトルスピンと角運動量
事前学習
事後学習
3次元空間内の球面上を等速運動する微小粒子の量子力学の復習
講義内容の復習と教科書の問題を解く。
授業内容微小な粒子が持つ、古典物理では表せない新しい物理量であるスピン
スピンを含む種々の角運動量の相互作用
11タイトル原子価結合法
事前学習
事後学習
多電子原子の量子力学の復習。
講義内容の復習と教科書の問題を解く。
授業内容ルイス構造の量子力学的解釈
12タイトル分子軌道法
事前学習
事後学習
多電子原子の量子力学の復習。
講義内容の復習と教科書の問題を解く。
授業内容2個の原子核と2個以上の電子からなる系の量子力学
13タイトル多原子分子の分子軌道
事前学習
事後学習
2原子分子の分子軌道の復習。
講義内容の復習と教科書の問題を解く。
授業内容3個以上の原子核と2個以上の電子からなる系の量子力学
14タイトル分子軌道計算の原理
事前学習
事後学習
分子軌道の復習。
講義内容の復習と教科書の問題を解く。
授業内容現代の分子軌道計算の基礎
15タイトル総括と理解の確認
事前学習
事後学習
2から14の講義の復習
解答の見直し
授業内容講義内容のうち、復習テストで行った内容を除く範囲の成績評価
<備考>
 教科書に掲載されている演習と問題を解いて復習すると理解に役立つ。
 量子力学で表される現象は、われわれの日常的な感覚とはかけ離れている場合も多い。そのような場合に、日常的な感覚をもとにして理解しようとするのではなく、あくまでも量子力学の考え方に沿って理解しようとすることが、量子力学の理解を早める。