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授業科目名 言語心理学
時間割番号 EEJ262
担当教員名 仲本 康一郎
開講学期・曜日・時限 後期・火・I 単位数 2
<対象学生>
日本語教員養成プログラムの選択必修科目です。
2-4年次
<授業の目的>
ことばと心をめぐる諸問題を認知、発達、社会という観点から考察します。具体的には、カテゴリー化、イメージ図式、母語の発達、第二言語習得、発話行為、ポライトネス、会話の組織化といったテーマをとりあげて議論します。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
教育学部向け
記号コンピテンシー(能力・資質) 
A専門授業力・実践的技能教材研究や教材開発を進んで行うことができる。
B教科等の専門教養取得見込みの教員免許に対応する教科の目標や内容に関する知識を習得している。
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
教育
1言語理解過程に関する基本的な知識と考え方を身につけていること。B
2言語習得論に関する基本的な知識と考え方を身につけていること。B
3言語心理学の知見を活かし、日本語教育に応用できるようになること。A
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
140%【方法】口頭発表、記述式テスト等【観点】言語理解過程について具体的な言語事実に沿って説明できること。
240%【方法】口頭発表、記述式テスト等【観点】母語の習得と第二言語習得の理論について適切に説明できること。
320%【方法】口頭発表、記述式テスト等【観点】言語心理学の知見を活かし、日本語指導や教材研究ができること。
合計100% 
<授業の方法>
毎回異なるテーマのハンドアウトを用いて講義形式で授業を行います。また、受講者には教科書の内容をまとめて発表してもらいます。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
私たちはことばを使ってどのように周囲の世界を認識したり、他者とコミュニケーションをとったりしているのでしょうか。日常生活の中でふと感じるこんな素朴な疑問を学問的に考えていくのが言語心理学という分野です。ことばとコミュニケーションに関心を持っている人、ことばと心について幅広く考えてみたい人に受講を勧めます。
<テキスト>
  1. 国際交流基金著, 読むことを教える, ひつじ書房, ISBN:9784894763074,
    (国際交流基金日本語教授法シリーズ7)

  2. 国際交流基金著, 書くことを教える, ひつじ書房, ISBN:9784894763081,
    (国際交流基金日本語教授法シリーズ8)

  3. 国際交流基金著, 話すことを教える, ひつじ書房, ISBN:9784894763067,
    (国際交流基金日本語教授法シリーズ6)
<参考書>
  1. 小林明子, 福田倫子, 向山 陽子, 鈴木 伸子著, 日本語教育に役立つ心理学入門, くろしお出版, ISBN:9784874247532
  2. 小柳かおる著, 第二言語習得について日本語教師が知っておくべきこと, くろしお出版, ISBN:9784874248317
<授業計画の概要>
1タイトルガイダンスーことばと心を研究する
事前学習
事後学習
言語研究の歴史を概観し、言語心理学がどのような背景で誕生したかを理解すること
授業内容古典文献学、比較言語学、言語心理学、社会言語学、言語習得論
2タイトル音声と文字の知覚
事前学習
事後学習
・日本語の音声的な特徴をふりかえり考えてくること
・日本語話者は日本語の音をどのように知覚しているかを理解すること
授業内容母音と子音、音節構造、アクセント、リズム、イントネーション、マガーク効果
3タイトル文の理解と産出―生成文法
事前学習
事後学習
・日本語と英語の文法の共通点と相違点について考えてくること
・生成文法の基本的な考え方を具体例に沿って説明できるようになること
授業内容生成文法、刺激の貧困、句構造規則、変形規則、曖昧性
4タイトル文章理解過程
事前学習
事後学習
・文章読解においてこれまでどんな工夫をしてきたか考えてくること
・文章読解のプロセスを具体例に沿って説明できるようにすること
授業内容読解過程、スキーマ、推論、ジャンル、読解方略、物語文法、談話標識
5タイトル言語と思考―言語相対論
事前学習
事後学習
・日本語と英語の発想の違いを自らの経験をふりかえり考えてくること
・日本語と英語の発想の違いを具体例に沿って説明できるようにすること
授業内容言語相対論、対照言語学、基本色彩語、スル言語、ナル言語、事実志向、立場志向
6タイトルことばと認識――カテゴリー化
事前学習
事後学習
・国語辞典や英和辞典を調べ、ことばの意味とは何かを考えてくること
・ことばの意味理論を具体的に沿って説明できるようにすること
授業内容意味場、成分分析、プロトタイプ論、階層構造、フレーム意味論
7タイトルことばと経験――イメージ図式
事前学習
事後学習
・ことばの意味を図やイラストで表わすことの意義を考えてくること
・イメージ図式について、具体例を用いて説明できるようにすること
授業内容身体性、二重コード論、イメージ図式、前置詞、方向づけメタファー
8タイトル比喩と理解
事前学習
事後学習
・日本語の比喩について調べ、例を挙げて説明できるようにしてくること
・日本語の比喩を分類し、具体例を用いて説明できるようにすること
授業内容修辞学、弁論術、比喩の三角形、レトリック、説得の技法、概念メタファー
9タイトル発話行為と会話の含意
事前学習
事後学習
・どのようなコミュニケーション場面で誤解が生まれるのかを考えてくること
・発話理解のプロセスを協調の原則を用いて説明できるようにすること
授業内容発話行為、間接発話行為、適切性条件、会話の原則、推論モデル
10タイトルポライトネス入門
事前学習
事後学習
・コミュニケーションにおいて丁寧であるとはどういうことかを考えてくること
・積極的ポライトネスと消極的ポライトネスの違いを説明できるようにすること
授業内容ポライトネス、敬語、場面語、フェイス、誇張表現、ぼかし表現
11タイトル会話の組織化――会話分析
事前学習
事後学習
・人はどのように会話を開始し、終了しているかを考えてくること
・会話分析の用語を用いて、具体的な談話を説明できるようにすること
授業内容話者交代、あいづち、隣接対、優先応答体系。専攻連鎖、修復連鎖
12タイトル母語の発達
事前学習
事後学習
・子どものことばの発達の特徴を自己の体験をふりかえり考えてくること
・母語の獲得のプロセスを具体例に沿って説明できるようにすること
授業内容語彙爆発、汎用的知識、即時マッピング、認知バイアス、アフォーダンス
13タイトル第二言語習得
事前学習
事後学習
・母語が外国語の学習に与える影響を自己の体験をふりかえり考えてくること
・誤用に対する考え方の変遷を第二言語習得論として説明できるようにすること
授業内容母語の干渉、言語転移、語用分析、中間言語、化石化、回避
14タイトル視覚言語 手話の世界
事前学習
事後学習
・手話の特徴を音声言語と比較して考えてくること
・手話の言語的な特徴を具体例に沿って説明できるようにすること
授業内容日本手話、日本語対応手話、図像性、品詞の転成、文法化、ろう文化
15タイトル総括評価・まとめ
事前学習
事後学習
・これまでの授業をふりかえり復習をしてくること
・授業の全体をふりかえり学びの成果を確認すること
授業内容本授業の学びを総括し、授業のまとめと学習の評価を行う
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
日本語教師として、長年、留学生の日本語教育に携わってきました。また、文部科学省委託事業「外国人児童生徒等教育を担う教員の養成・研修プログラム開発事業」に委員として参加し、外国人児童生徒教育のためのカリキュラム開発を行いました。
<備考>
(未登録)