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授業科目名 IoT・AIシステム
時間割番号 TCS333
担当教員名 大渕 竜太郎
開講学期・曜日・時限 後期・月・III 単位数 2
<対象学生>
(未登録)
<授業の目的>
現在,情報通信技術の中で最も注目されているのは,人工知能(AI)や機械学習(ML)の技術とIoT(モノのインターネット)技術である.IoT機器とは,例えば,スマートフォン,自動運転車,あるいはスマートスピーカーなど,インターネットに接続された広い意味での情報機器を指す.インターネットに繋がれたこれらIoT機器の数は既に世界の人口を超えた.社会に埋め込まれたこれらのIoTデバイスは,画像,位置情報,温度,等のデータを収集する.これらのデータは末端(エッジ)のIoTで深層学習などのエッジAIで処理されることもあれば,ゲートウェ経由でクラウドに送られてビッグデータとして処理される場合もある.処理された結果は,エアコンの起動,車のブレーキやかじ取り,スマートスピーカーからの音楽再生,などの形で環境・社会に影響を与える.
本講義では,IoTとは何かを概観したのち,IoTシステムにおけるクラウドとエッジの協同によるデータ処理の仕組み,およびそのデータのやり取りに必要な各種通信方式について学ぶ.次いで,IoTデバイスのプロセッサおよびOSと各種ソフトウェア・スタック,物理量と情報を変換するセンサとアクチュエータ,機械学習を含むデータ処理の方式について学ぶ.さらに,IoTシステムが避けて通れない情報セキュリティおよび機能安全,および保守・運用上の注意点について学ぶ.また,Raspberry Piなどの開発ボードを用いたプロトタイピング開発についても触れる.

なお,同時開講のTCS334「IoT・AIシステム演習」では,Raspberry Piや各種センサ,クラウドAPIなどを用いた演習を通じて,本科目の内容を実践的かつ体験的に身に着けることができる.本科目とTCS334「IoT・AIシステム演習」の同時履修を強く推奨する.
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
工学部>コンピュータ理工学科向け
記号コンピテンシー(能力・資質) 
CS-A専門2.技術者として自らの活動が自然や社会、人に与える影響を理解することができ、責任をもって問題解決にあたることができる。
CS-B5.時代の変化に対応できるよう、最新の技術動向を考慮して、自律的・継続的に学習できる。
CS-C6.情報科学、及び、数学や自然科学等の知識と手法を用いて、以下のことができる。6a.解決すべき問題を形式化することができる。
CS-D6b.要求、時間、費用、資源等の制約条件を考慮した上で、複数の解が存在するような複雑な問題の中から適切な解を見つけ出すことができ
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
CS
1(1)IoTシステムの概要と特性を説明できる.CS-A
2(2)IoTにおけるエッジとクラウドが連携したコンピューティング技術の概要について説明できる.CS-D
3(3)IoTシステムのデータ処理に用いられる統計的手法,機械学習手法とそれらを実行するエッジおよびクラウド上の仕組みについて概要を説明できる.CS-C
4(4)IoT通信方式(エリアネットワーク,WAN)とデータ通信プロトコルの概要を説明できる.CS-D
5(5)IoTデバイスのハードウェア(プロセッサ,センサ,アクチュエータ),およびセンサの信号処理方式(エッジAIを含む)の概要を説明できる.CS-D
6(6)IoTシステムのセキュリティと機能安全の概要に説明できる.CS-A
7(7)IoTシステムのプロトタイプ開発手法および開発事例について説明できる.CS-B
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
110%(1)IoTシステムの概要と特性を説明できる.
210%(2)IoTにおけるエッジとクラウドが連携したコンピューティング技術の概要について説明できる.
330%(3)IoTシステムのデータ処理に用いられる統計的手法,機械学習手法とそれらを実行するエッジおよびクラウド上の仕組みについて概要を説明できる.
415%(4)IoT通信方式(エリアネットワーク,WAN)とデータ通信プロトコルの概要を説明できる.
515%(5)IoTデバイスのハードウェア(プロセッサ,センサ,アクチュエータ),およびセンサの信号処理方式(エッジAIを含む)の概要を説明できる.
610%(6)IoTシステムのセキュリティと機能安全の概要に説明できる.
710%(7)IoTシステムのプロトタイプ開発手法および開発事例について説明できる.
合計100% 
<授業の方法>
コンピュータのハードウェア,プログラミング,およびオペレーティングシステム関する基礎的な知識があること.
関連の深い先行科目である「計算機アーキテクチャーI」,「プログラミング基礎」,「プログラミング応用」,「オペレーティングシステム」の単位を修得していることが望ましい.また「ハードウェア基礎実験」を履修済みであると理解の助けになる.
<受講に際して・学生へのメッセージ>
(未登録)
<テキスト>
  1. モバイルコンピューティング推進コンソーシアム監修, IoT技術テキスト : MCPC IoTシステム技術検定中級対応, ISBN:9784865941654
<参考書>
(未登録)
<授業計画の概要>
1タイトルIoTの概要
事前学習
事後学習
事前: 無し
事後: 学習した内容を復習する.
授業内容IoT概論,データ中心のシステム設計,DXとIoT
2タイトルIoTシステムのコンピューティング技術
事前学習
事後学習
事前: スライドを事前に学習する.
事後: 学習した内容を復習する.
授業内容クラウドコンピューティングとエッジコンピューティング,フォグ,IoTゲートウェイ
3タイトルIoTデータ活用技術(データ処理方式,データ分析方式)
事前学習
事後学習
事前: スライドを事前に学習する.
事後: 学習した内容を復習する.
授業内容IoTデータ活用の概要,IoTデータの流れ,IoTデータの特徴,データ保存方式(NoSQLなど),バッチ処理(Hadoopなど),ストリーミング処理.
4タイトル機械学習(ML)システムのライフサイクル
事前学習
事後学習
事前: スライドを事前に学習する.
事後: 学習した内容を復習する.
授業内容MLシステムのライフサイクル(業務理解,データ準備,MLモデル構築,展開と運用),データバイアス,MLOps
5タイトルIoTのMLシステム(1)
事前学習
事後学習
事前: スライドを事前に学習する.
事後: 学習した内容を復習する.
授業内容Python,scikit-learnとPandasを使った機械学習の実際:
データ読み込み,データ準備,ロジスティック回帰(線形Softmax識別器)
6タイトルIoTのMLシステム(2)
事前学習
事後学習
事前: スライドを事前に学習する.
事後: 学習した内容を復習する.
授業内容Python,scikit-learnとPandasを使った機械学習の実際:
サポートベクタ識別器,決定木(decision tree),乱尺決定森(randomized forest, random forest)の実際
7タイトルまとめと中間評価
事前学習
事後学習
事前: これまでの講義資料を復習してテストに備える.
事後: 学習した内容を復習する.
授業内容前半のまとめ
中間テスト
8タイトルIoTエリアネットワーク通信(1)
事前学習
事後学習
事前: スライドを事前に学習する.
事後: 学習した内容を復習する.
授業内容IoTエリアネットワーク通信,IoTエリアネットワーク無線の概要,様々なIoTエリアネットワーク無線通信技術(ZigBee, WiFi, Bluetooth,LoRaWAN, Wi-SUN)
9タイトルIoTエリアネットワーク通信(2)
事前学習
事後学習
事前: スライドを事前に学習する.
事後: 学習した内容を復習する.
授業内容様々なIoTエリアネットワーク無線通信技術(NFC,EnOcean),エナジーハーベスティング,IoTエリアネットワーク有線通信技術(PLC,Ethernet)
10タイトルWAN通信,プロトコルとトラフィックの性質
事前学習
事後学習
事前: スライドを事前に学習する.
事後: 学習した内容を復習する.
授業内容固定回線,光回線,無線通信回線(4G/LTE,5G,NB-IoT)
11タイトルIoTデバイス,IoTデバイスのプロトタイピング開発,センサ(1)
事前学習
事後学習
事前: スライドを事前に学習する.
事後: 学習した内容を復習する.
授業内容IoTデバイスの役割,IoTデバイスの基本構成,IoTデバイスのプロトタイピング開発.
センサの分類,センサが用いる物理的効果,センサの用途,センサの選び方
12タイトルセンサ(2)
事前学習
事後学習
事前: スライドを事前に学習する.
事後: 学習した内容を復習する.
授業内容各種センサ(光センサ,温度センサ,湿度センサ,圧力センサ,加速度センサ,ジャイロセンサ,GNSS,超音波センサ,磁気センサ,など),アクチュエータ(DCモータ,ソレノイド),センサの信号処理,画像センサ
13タイトルIoTのセキュリティ,リライアビリティ
事前学習
事後学習
事前: スライドを事前に学習する.
事後: 学習した内容を復習する.
授業内容IoTのセキュリティ,情報セキュリティの分類,情報セキュリティの要件,脅威と脆弱性,セキュリティ対策技術(認証,暗号化,行動監視)
14タイトルIoTの機能安全,IoTシステムの保守・運用
事前学習
事後学習
事前: スライドを事前に学習する.
事後: 学習した内容を復習する.
授業内容機能安全と絶対安全,機能安全の国際標準,機能安全の実現方策,
IoTの保守と運用,IoTの契約形態,データ匿名化,BCP.
15タイトルまとめと期末評価
事前学習
事後学習
事前: これまでの講義資料を復習してテストに備える.
授業内容後半のまとめ
期末テスト
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
担当教員は情報系企業の基礎研究所においてグラフィックス描画用等のハードウェアの設計開発に携わり,またそれらハードウェアのファームウェア,ソフトウェア開発も行った経験を持つ.
これらの経験をもとに,ハードウェアとソフトウェアの境界をやりくりしつつ設計開発実装されることの多い組込みシステムの考え方を伝える.さらに,急速に拡がりつつある物のインターネット(IoT),担当教員の研究対象であるAIや機械学習,等の新しい流れを取り込んだ組込みシステムの授業を行う.
<備考>
(未登録)