山梨大学電子シラバス>検索結果一覧>授業データ



授業科目名 応用化学実験III
時間割番号 TAC308
担当教員名 小幡 誠/奥崎 秀典/桑原 哲夫
開講学期・曜日・時限 後期・月/火/水・III-V/III-V/III-V 単位数 3
<対象学生>
(未登録)
<授業の目的>
有機・高分子材料は現代社会には欠くことのできない物質である。一方で、大量合成されてきた有機・高分子材料が環境に大きな負荷をかけていることが問題となっており、持続可能社会の構築には有機・高分子材料を深く理解して賢く利用することが必要不可欠である。
応用化学実験IIIでは有機・高分子材料について、その合成および材料物性評価の方法を学習する。有機合成実験では酢酸エチル、2-メチルシクロヘキサノール、ジベンジリデンアセトン、4-アセチルビフェニルの合成および光合成色素のカラムクロマトグラフィーによる精製に関する操作を学ぶ。さらに有機化合物の同定方法としてNMR、FT-IR、融点測定などの知識・技術を習得する。またUV-visスペクトル、蛍光スペクトルを通じて光化学の基礎を習得する。高分子合成ではポリメタクリル酸メチルとポリアニリンの合成を通して重合および精製操作を学ぶ。合成した高分子の立体規則性、平均分子量および分子量分布、溶解パラメーターの評価法の基礎を学び、さらに材料物性として電導度、結晶化度および力学的・熱的性質の評価法に関する基礎知識や技術の習得を目的とする。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
工学部>応用化学科向け
記号コンピテンシー(能力・資質) 
AC-A専門4.化学の専門知識・技術を活用し、新素材・エネルギー・環境等の分野における問題解決に取り組むことができる。G. 化学工学G2. 日常生活や化学実験における危険防止や正しい器具の使用方法、化学物質の安全性(毒性)、廃棄処理方法、化学物質の安全性をふまえた暮らし・食の安全性や環境問題について説明できる。
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
AC
1有機・高分子合成およびその物性評価を適切に行うことができることAC-A
2実験結果を適切にまとめ、解析・考察して報告することができることAC-A
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
140%実験への積極的な参加と実験作業の適切さ
260%実験レポートの完成度
合計100% 
<授業の方法>
あらかじめ実験指導書を熟読し、取り扱う薬品や器具、反応、原理、操作手順に関する理解を深めておくこと。白衣を着用し、実験室内では常に保護眼鏡を装着すること。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
本実験科目の履修は原則、全ての実験課題を行い全てのレポートを提出することが必要である。
<テキスト>
  1. 実験指導書(実験説明会で配布する)
<参考書>
  1. 有機・高分子化学実験, 丸善, ISBN:4621024809
  2. フィーザー有機化学実験, 丸善, ISBN:4621047345
  3. 高分子合成の実験法, 化学同人, ISBN:4759800522
  4. 有機反応機構の書き方, 丸善, ISBN:974-4-621-08198-3
  5. 実験データを正しく扱うために, 化学同人, ISBN:978-4-7598-1135-3
<授業計画の概要>
1タイトル有機・高分子化学実験を安全に行うために
事前学習
事後学習
実験指導書の熟読
授業内容はじめに以下の内容について理解を深める。
(1) 有機・高分子化学実験を安全に行うための心得
(2) 試薬の危険性と安全な取り扱い方
(3) 環境に配慮した実験に行い方
(4) 各実験テーマの概要
2タイトル実験1 アルドール縮合によるジベンジリデンアセトンの合成
事前学習
事後学習
カルボニルの化学と赤外吸収スペクトルに関する復習。実験指導書による実験手順の確認と実験ノートの整理
授業内容代表的なカルボアニオンによる炭素-炭素結合生成反応であるアルドール縮合反応について理解を深める。また粗生成物の精製方法として再結晶を、同定方法として融点測定と赤外吸収スペクトル測定の方法について理解を深める。
3タイトル実験2 カラムクロマトグラフィーによる光合成色素の分離・精製
事前学習
事後学習
クロマトグラフィーに関する復習。実験指導書による実験手順の確認と実験ノートの整理
授業内容有機合成でよく用いられる精製方法であるカラムクロマトグラフィーの技術を身につける。また簡便迅速な分析法である薄層クロマトグラフィーの方法を学ぶ。単離した光合成色素の紫外可視吸収スペクトルを測定し、色と吸収波長の関係について理解を深める。
4タイトル実験3 メタクリル酸メチルのラジカル重合
事前学習
事後学習
ラジカル重合の素反応について復習する。実験指導書による実験手順の確認と実験ノートの整理
授業内容メタクリル酸メチルのラジカル重合を通じて、ラジカル重合の一般的な方法と生成ポリマーの精製について理解を深める。
5タイトル実験4A Fisherエステル化による酢酸エチルの合成
事前学習
事後学習
カルボニルの化学に関する復習。実験指導書による実験手順の確認と実験ノートの整理
授業内容Fisherエステル化を通して、酸触媒下における求核アシル置換反応の理解を深める。また生成した酢酸エチルの精製方法として単蒸留と分液操作について学ぶ。
6タイトル実験4B 水素化ホウ素ナトリウムを用いた還元による2-メチルシクロヘキサノールの合成
事前学習
事後学習
カルボニルの化学に関する復習。実験指導書による実験手順の確認と実験ノートの整理
授業内容代表的な金属水素化物である水素化ホウ素ナトリウムを用いたカルボニルの還元反応を学ぶ。
7タイトル実験4C 酢酸エチルと2-メチルシクロヘキサノールの1H NMR測定
事前学習
事後学習
NMR分光法に関する復習。実験指導書による実験手順の確認と実験ノートの整理
授業内容NMR分光法における基礎的事項(化学シフト、スピン結合、ピーク面積とプロトン数の関係など)を復習し、NMRスペクトルを用いた基礎的な構造解析の方法の理解を深める。またジアステレオ過剰率の決定方法について学ぶ。
8タイトル実験5A 鈴木‐宮浦クロスカップリングによる2-アセチルビフェニルの合成
事前学習
事後学習
実験指導書による実験手順の確認と実験ノートの整理
授業内容現代の機能性分子合成に必須となっている鈴木-宮浦クロスカップリングの方法を学ぶ。またターンオーバー数など触媒反応の評価指標について理解を深める。
9タイトル実験5B 2-アセチルビフェニルの分光測定
事前学習
事後学習
光化学に関する復習。実験指導書による実験手順の確認と実験ノートの整理
授業内容吸収スペクトル測定と蛍光スペクトル測定の方法を理解する。またモル吸光係数、振動子強度、ストークスシフトなど光化学の基礎の理解を深める。
10タイトル実験6A ポリメタクリル酸メチルのキャラクタリゼーション1(立体規則性と平均分子量の評価)
事前学習
事後学習
平均分子量と分子量分布の測定法に関する復習。実験指導書による実験手順の確認と実験ノートの整理
授業内容高分子の基礎的な分子特性評価として1H NMRスペクトルによる立体規則性評価とサイズ排除クロマトグラフィーによる平均分子量と分散度の測定方法を理解する。
11タイトル実験6B ポリメタクリル酸メチルのキャラクタリゼーション2(濁度滴定と原子団寄与法による溶解パラメーターの評価)
事前学習
事後学習
正則溶液とFlory-Hugginsの理論の復習。実験指導書による実験手順の確認と実験ノートの整理
授業内容高分子の溶解性は塗料や接着剤など実用的な応用において非常に重要なパラメーターである。高分子の溶解性を評価する指標として溶解パラメーターが用いられている。ここでは濁度滴定法による溶解パラメーターの評価方法を学ぶ。また原子団寄与法による溶解パラメーターの推算方法を理解する。
12タイトル実験7A 酸化重合によるポリアニリンの合成
事前学習
事後学習
酸化重合に関する復習。実験指導書による実験手順の確認と実験ノートの整理
授業内容ポリアニリンは代表的な導電性高分子であり、帯電防止やエレクトロクロミズム、二次電池などへの応用が検討されている。本実験では過酸化物を用いたアニリンの酸化重合によりポリアニリンの合成方法を学ぶ。またUV-vis分光光度計を用いてアニリンの重合過程を観察する。
13タイトル実験7B ポリアニリンペレットの錠剤成形と電気伝導度測定
事前学習
事後学習
電気伝導度測定法に関する復習。実験指導書による実験手順の確認と実験ノートの整理
授業内容ポリアニリンを圧縮成形し、ディスク状試料を調製する。このペレットのについて四端子法により電気伝導度の測定について理解する。
14タイトル実験8 高分子材料の構造と力学的性質
事前学習
事後学習
高分子の力学的性質に関する復習。実験指導書による実験手順の確認と実験ノートの整理
授業内容代表的な生分解性高分子のポリ乳酸(PLA)はトウモロコシやサトウキビなど植物由来のデンプンを原料とするバイオプラスチックであることから,カーボンニュートラル材料として注目されている.この実験ではPLAフィルムの引張試験による力学的性質の評価法を学ぶとともにPLAフィルムの構造変化と力学特性の関係について理解を深める。
15タイトル実験9 高分子材料の構造と熱的性質
事前学習
事後学習
高分子の熱的性質に関する復習。実験指導書による実験手順の確認と実験ノートの整理
授業内容この実験ではPLAフィルムの延伸に伴う構造変化を示差走査熱量法(Differential Scanning Calorimetry, DSC)を用いて評価する方法について理解を深める。
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
他大学での博士研究員としての実務経験を,研究者としての素養・心構えなどの教育に活かしている。
<備考>
(未登録)