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授業科目名 生化学実験
時間割番号 LBT325
担当教員名 大山 拓次/川上 隆史/志浦 寛相
開講学期・曜日・時限 前期・月/火/木/金/水・III-IV/III-IV/III-IV/III-IV/III-IV 単位数 2
<対象学生>
(未登録)
<授業の目的>
生化学は生命現象を分子レベルで理解する学問であり、生物体に含まれる物質の構造と機能および代謝と制御などが重要な研究分野である。生物化学は生物学、農学、薬学、医学などにおいて、分子生物学と共に生命科学(ライフサイエンス)を支える基本的な研究分野である。そのため、生物に関する何れの分野に進むにしても、生物化学を理解し、その実際を知っておくことは必要不可欠である。本実験では、生命活動を支えている物質を生体から取り出し、その性質や働きを実験を通して理解すると共に基本的な実験器具や装置および試薬の取り扱い方を身に付ける。コンピュータを利用したデータ処理も身に付ける。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
生命環境学部>生命工学科向け
記号コンピテンシー(能力・資質)説明 
BT-A専門理解・検証生命工学分野の専門的な実験技術を修得し、専門的な課題を論理的に整理・検証できる。
BT-B共通汎用能力5・問題解決力計画力課題の解決に向けた実現可能な計画を具体的に立案できる。
BT-C実行力計画に従って解決に取り組むことができる。
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
BT
1生化学実験を行う際の基本操作を行うことが出来る、実験器具や機器を正しく取り扱うことが出来る。BT-A
2生体分子の諸性質、生化学反応の理論を説明することが出来る。生化学反応、物質分離実験を計画することが出来る。BT-B
3生化学反応、物質分離実験を正確に実行し、結果に基づき論理的に考察し、レポートを作成することが出来る。BT-C
4定性的に正しく評価することができる、定量実験結果をコンピュータによるデータ処理を通して正しく取り扱うことが出来る。BT-C
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
125%実習、討論、レポートを通じて理解度、習熟度を評価する。
225%テスト、討論、レポートを通じて理解度を評価する。
325%テスト、討論、レポートを通じて理解度・習熟度を評価する。
425%テスト、討論、レポートを通じて理解度・習熟度を評価する。
合計100% 
<授業の方法>
実習・面接授業を中心とする。感染症拡大状況に応じて少人数に分散しての実習実施、事前講義等はハイフレックス型あるいはライブ型で行う。授業情報は適宜CNSで通知する。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
二年次までの生命工学の専門授業を十分に理解しておく必要がある。ほぼ全ての生体分子をターゲットとした生化学実験を行うため、不十分な知識で実験を実施しても、実験の中身を全く理解できない点、十分に留意していただきたい。
事前の知識を問う準備試験、実習への取り組み態度、各実験項目に関するレポート、終了テストの全てが成績評価に重要である。
<テキスト>
  1. 大山拓次、川上隆史、志浦寛相, 生物工学実験Iテキスト, 山梨大学生協
<参考書>
  1. D. Voet, J. G. Voet, C. W. Pratt著 ; 田宮信雄 [ほか] 訳, ヴォート基礎生化学 第5版, 東京化学同人, ISBN:9784807909254
<授業計画の概要>
1タイトル生化学実験基本操作
事前学習
事後学習
実習テキスト等を読み、文献調査を行い、実施内容を把握しておく。実習後、結果や討論内容を実験ノートにまとめ、理解を深める。
授業内容器具洗浄、ガラス細工、秤量、試薬調製、測定機器の取り扱い方等を学ぶ。
2タイトル弱酸解離定数(pKa)の測定、緩衝液の緩衝能力の測定
事前学習
事後学習
実習テキストを読み、文献調査を行い、実験内容を十分に理解しておく。実習後、実験ノートに実験結果や討論内容を実施記録をまとめ、解離定数および緩衝能に関する理解を深める。
授業内容弱酸(リンゴ酸、酢酸等)を用い、滴定実験、混合実験を通して解離定数(pKa)や緩衝液の緩衝能を測定し、コンピューターを用いたデータ処理を行う。
3タイトル吸着クロマトグラフィーと透析膜による物質の分離
事前学習
事後学習
実習テキストを読み、文献調査を行い、実験内容を十分に理解しておく。実習後、実験ノートに実験結果や討論内容をまとめ、吸着クロマトグラフィーおよびクロロフィル群の生化学特性に関する理解を深める。
授業内容炭酸カルシウムを固定相とした吸着クロマトグラフィーによる葉中葉緑素群の分離と同定を行う。また、透析膜を用いて高分子多糖とその酵素反応生成物であるオリゴ糖の分離を行う。
4タイトルペーパークロマトグラフィーによるアミノ酸の同定
事前学習
事後学習
実習テキストを読み、文献調査を行い、実験内容を十分に理解しておく。実習後、実験ノートに実験結果や討論内容をまとめ、ペーパークロマトグラフィーの原理、遊離アミノ酸の生化学的特性に関する理解を深める。
授業内容ペーパークロマトグラフィーを用いてタンパク質を構成するアミノ酸の同定実験を行う。
5タイトル等電点沈殿法を用いた牛乳からのカゼイン分離
事前学習
事後学習
実習テキストを読み、文献調査を行い、実験内容を十分に理解しておく。実習後、実験ノートに実験結果や討論内容をまとめ、等電点を含むタンパク質電荷、ミセルコロイド、物質分離の精製収量・収率に関する理解を深める。
授業内容牛乳を出発試料とし、酢酸緩衝液を用いた等電点沈殿をメインとしたカゼインの抽出・分離、収量計算を行う。
6タイトルグリシン合成と同定
事前学習
事後学習
実習テキストを読み、文献調査を行い、実験内容および劇物試薬の危険度を十分に理解しておく。実習後、実験ノートに実験結果や討論内容をまとめ、合成反応における生成物同定や収量・収率計算に関する理解を深める。
授業内容モノクロロ酢酸のアミノ化法に基づくグリシン合成と精製を行う。生成物についてペーパークロマトグラフィー等の同定実験および精製収量計算を行う。
7タイトル生体からのタンパク質抽出と定量
事前学習
事後学習
実習テキストを読み、文献調査を行い、実験内容および劇物試薬の危険度を十分に理解しておく。実習後、実験ノートに実験結果や討論内容をまとめ、酵母に含まれるタンパク質群や物質抽出における収量・収率計算に関する理解を深める。
授業内容パン酵母の破砕液の遠心上清に含まれる総タンパク質をビュレット法を用いて検出・定量を行う。
8タイトル単糖、少糖類の同定、フェノール硫酸法による多糖類の加水分解
事前学習
事後学習
実習テキストを読み、文献調査を行い、実験内容および劇物、危険物試薬の危険度を十分に理解しておく。実習後、実験ノートに実験結果や討論内容をまとめ、単糖、少糖類の生化学的特性とそれを利用した同定法、多糖類の加水分解に関する理解を深める。
授業内容還元末端を標的とした生化学反応を用いた糖類の同定実験、フェノール硫酸法を用いた多糖類の加水分解実験を行う。
9タイトル生体からの脂質抽出と薄層クロマトグラフィーによる脂質の分画
事前学習
事後学習
実習テキストを読み、文献調査を行い、実験内容を十分に理解しておく。実習後、実験ノートに実験結果や討論内容をまとめ、脂質の生化学的特性とそれを利用した薄層クロマトグラフィーによる同定原理、パン酵母が持つ脂質に関する理解を深める。
授業内容パン酵母から有機溶媒を用いて抽出した脂質を薄層クロマトグラフィーを用いて検出を行う。
10タイトル核酸(DNA、RNA)のUVスペクトル分析、生体からのRNA抽出と定性・定量
事前学習
事後学習
実習テキストを読み、文献調査を行い、実験内容を十分に理解しておく。実習後、実験ノートに実験結果や討論内容をまとめ、核酸の生化学的特性とそれを利用したUVスペクトルによる同定原理、パン酵母が持つRNAに関する理解を深める。
授業内容標準物質を用いた核酸溶液のUVスペクトル測定を行う。STS法を用いて酵母よりRNAを抽出し、収量・収率計算を行う。
11タイトル生体からの酵素抽出と反応初速度の測定
事前学習
事後学習
実習テキストを読み、文献調査を行い、実験内容を十分に理解しておく。実習後、実験ノートに実験結果や討論内容をまとめ、酵素活性検出・測定の概念、グルコースペルオキシダーゼ法によるグルコース検出法に関する理解を深める。
授業内容酵母菌体破砕上清液に含まれるインベルターゼの活性を検出するため、スクロースを基質とした酵素反応を行い、グルコースペルオキシダーゼ法を用いた生成物定量に基づく活性(反応初速度)を決定する。
12タイトル酵素反応初速度の測定
事前学習
事後学習
実習テキストを読み、文献調査を行い、実験内容を十分に理解しておく。実習後、実験ノートに実験結果や討論内容をまとめ、酵素反応速度論におけるパラメーター(Km、kcat)の重要性と活性測定に基づく算出方法、および酵母インベルターゼに関する理解を深める。
授業内容酵母菌体破砕上清液に含まれるインベルターゼの反応速度パラメーターを決定するため、スクロースを基質とした一連の酵素反応を行い、基質濃度依存的な反応初速度変化を求める。コンピューターを用いてデータ解析を行う。
13タイトルレモンからのクエン酸、芳香成分の分離
事前学習
事後学習
実習テキストを読み、文献調査を行い、実験内容を十分に理解しておく。実習後、実験ノートに実験結果や討論内容をまとめ、植物二次代謝産物の概要、クエン酸の生化学的特性とそれを利用したレモンからの抽出・精製・同定法に関する理解を深める。同時に糖代謝(エネルギー獲得)におけるクエン酸の重要性についても理解を深める。
授業内容レモンから炭酸カルシムを用いたクエン酸の単離・精製を行い、収量計算を行い、精製試料の同定実験を行う。
14タイトル酵母の発酵におけるピルビン酸とアセトアルデヒド生成の測定
事前学習
事後学習
実習テキストを読み、文献調査を行い、実験内容を十分に理解しておく。実習後、実験ノートに実験結果や討論内容をまとめ、酵母アルコール発酵代謝経路と実験でターゲットとした酵素群の生化学的特性に関する理解を深める。
授業内容酵母の生育環境の違いに伴って蓄積するアルコール発酵中間代謝物を生化学的に検出し、生育環境により活性に著しい変化を生じた酵素を特定する。
15タイトル総括
事前学習
事後学習
総括に向けて、実習内容を振り返る。授業後、討論やテスト内容に基づいて生化学の知識、実験に関する理解を深める。
授業内容実習を振り返り総括を行う、実習内容について討論を行う、テストを受験する、レポートを執筆する。
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
生物分子工学研究所での実務に関連して、DNA複製と修復に関するタンパク質群の構造生物学的研究ついて実習指導ならびに講義を行う(大山)。産業技術総合研究所 創薬分子プロファイリング研究センターでの実務経験を活かして、創薬に関連するケミカルバイオロジー研究の基礎について実習指導ならびに講義を行う(川上)。理化学研究所での実務に関連して、ジェネティクスおよびエピジェネティクス研究の基礎について実習指導ならびに講義を行う(志浦)。
<備考>
(未登録)