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授業科目名
解剖学B(肉眼解剖学講義・実習)
担当教員
小田 賢幸/篠原 良章/成田 啓之
時間割番号
単位数
履修年次
期別
DMB207 4 2 通期
<授業の概要>
肉眼解剖学履修の目標は人体に関する3次元の地図を頭の中につくることである。人間は自らの身体を皮膚、筋肉、骨、内臓などに分節し、それぞれに名称を付し概念化することで理解を試みた。またこの方法論を用いると知識構造は必然的に重層的し、それに応じた膨大な名称が発生する。膨大な個別知識の抽象化がその主な目的であるため最初は難しく感じると思われる。従って理解の助けとなるような具体例を交えながら講述するので、それを基盤にしてまずは諸君それぞれが規範的な人体の見取図を構築してもらいたい。

<発生学・骨学>
1個の受精卵から発生する人体は最終的には37兆の細胞からなる有機体を形成する。上述の様に領域、階層ごとにある程度の理解が進んでいれば俯瞰的な理解が可能となる。本講では発生学の基本知識をいくつかの領域ごとに講述し、身体の部品がどのように形成されるのかを概説する。同時に骨学実習を展開することで実像と概念の照合を行い、得られた知識を実のあるものとすることも目的である。

<肉眼解剖学実習>
系統講義で得られた知識に基づいて献体を用いた系統解剖学実習を展開し、知識と実像を比較する。また細部の名称を解剖を通じて覚える。実習前に1時間程度の実習講義を行うが、当日の実習範囲を完全に網羅することはできない。従って献体が無償で提供された貴重な教材であることを常に意識し、十分な予習を行ってから実習に臨む姿勢が要求される。また献体に接することで医師としての倫理観を涵養し、併せて解剖に関する法的取り扱いも知ってもらいたい。一方、実習では実習書とアトラスが不可欠である。タブレットに読み込んだ電子書籍のアトラスでも構わない。また全16回が予定されている小テストでは、解剖学用語の確認のみならず、3次元的な構築や障害された場合の症状などに関しても問う。それぞれの構造と機能を表裏一体のものとして捉えることで、臨床医学での症状、徴候、病態生理を理解する上での基盤が形成される。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
医学部>医学科向け
記号コンピテンシー(能力・資質) 
A専門プロフェッショナリズム
B医学知識と問題対応能力
<到達目標>
目標NO説明コンピテンシーとの対応
医学
1身体を構成する器官系を理解しその構成と機能を説明できること。B
2ヒトの発生の概要を理解し、その特徴、過程を説明出来ること。B
3身体を構成する骨を4つの領域に分けてその構築を説明できること。B
4ご遺体を用いた実習を通して生命の尊厳を理解し、医学に於ける倫理の重要性を説明できること。A
<成績評価方法>
目標No割合評価の観点
150%全16回の小テストにより肉眼解剖学の知識と理解を問う。
220%中間テストにおいて人体発生学の知識と理解を問う。
320%中間テストにおいて骨学の知識と理解を問う。
410%実習中の口頭試問等により受講態度と予習復習の程度を問う。
合計100% 
<授業計画>
05-18 (水) AM 発生学講義 (01) 概論
05-25 (水) PM 骨学講義 (01) 体幹を構成する骨
06-01 (水) AM 骨学講義 (02) 上肢を構成する骨
06-08 (水) AM 骨学講義 (03) 下肢を構成する骨
06-09 (木) AM 骨学講義 (04) 頭蓋を構成する骨
06-15 (水) AM 発生学講義 (02) 神経系
06-21 (火) PM 発生学講義 (03) 頭頸部
06-29 (水) PM 発生学講義 (04) 循環器系
07-05 (火) PM 発生学講義 (05) 消化器系
07-07 (木) PM 発生学講義 (06) 泌尿生殖器系
 未定     期末テスト
09-15 (木) PM 肉眼解剖学実習 (01) はじめに 皮剥ぎ 頚部と体幹の浅層 §1~3
09-16 (金) PM 肉眼解剖学実習 (02) 頚部と体幹の浅層 §4~6
09-20 (火) PM 肉眼解剖学実習 (03) 頚部と体幹の浅層 §7&8
09-22 (木) PM 肉眼解剖学実習 (04) 頚部と体幹の浅層 §9&10
09-26 (月) PM 肉眼解剖学実習 (05) 上肢 §11&12
09-28 (水) PM 肉眼解剖学実習 (06) 上肢 §13~15
09-30 (金) PM 肉眼解剖学実習 (07) 上肢 §16&17
10-03 (月) PM 肉眼解剖学実習 (08) 上肢 §18~20
10-06 (木) PM 肉眼解剖学実習 (09) 上肢 §21~25 (§21~23を重点的に)
10-11 (火) PM 肉眼解剖学実習 (10) 体壁 §26~29 (§28&29を重点的に)
10-14 (金) PM 肉眼解剖学実習 (11) 体壁 §30~34
10-17 (月) PM 肉眼解剖学実習 (12) 胸腔 §35~37
10-20 (木) PM 肉眼解剖学実習 (13) 胸腔 §38~40
10-21 (金) 2限 小テスト
      3限 特別講義(島田悠一先生)
      4限 肉眼解剖学実習 (14) 胸腔 §41&42
10-24 (月) PM 肉眼解剖学実習 (15) 腹腔 §43~45
10-25 (火) 3限 小テスト
10-27 (木) 3限 特別講義(高本健史先生)
4限 肉眼解剖学実習 (16) 腹腔 §46~48
10-31 (月) PM 肉眼解剖学実習 (17) 腹腔 §49&50
11-01 (火) PM 肉眼解剖学実習 (18) 腹腔 §51&52
11-04 (金) PM 肉眼解剖学実習 (19) 下肢 §53~55
11-07 (月) PM 肉眼解剖学実習 (20) 下肢 §56&57
11-14 (月) PM 肉眼解剖学実習 (21) 下肢 §58~60
11-21 (月) PM 肉眼解剖学実習 (22) 下肢 §61~63 (§61&62を重点的に)
11-22 (火) PM 肉眼解剖学実習 (23) 骨盤 §64~65m 或いは §64~66f
11-25 (金) PM 肉眼解剖学実習 (24) 骨盤 §66m~68m 或いは §67f~69
11-28 (月) PM 肉眼解剖学実習 (25) 骨盤 §69~71 或いは §70f&71
12-02 (金) PM 肉眼解剖学実習 (26) 頭部 §72&73
12-05 (月) PM 肉眼解剖学実習 (27) 頭部 §74~76
12-09 (金) PM 肉眼解剖学実習 (28) 頭部 §78&79
12-12 (月) PM 肉眼解剖学実習 (29) 頭部 §80~82
12-16 (金) PM 肉眼解剖学実習 (30) 頭部 §83&84
12-19 (月) PM 肉眼解剖学実習 (31) 頭部 §85~88
12-22 (木) PM 肉眼解剖学実習 (32) 頭部 §89~91 (§89&91を重点的に)
12-23 (金) PM 納棺・実習室清掃
01-10 (火) PM 再試験

〈授業形態について〉
新型コロナウィルスの状況に応じて面接授業とライブ配信の併用を行う。
後期の実習前講義はオンデマンド配信を行う。事前に閲覧し、予習しておくこと。
成績は計16回の小テストと実習中の口頭試問により判定する。小テストは偶数回の実習開始前にMoodle上で実施する。
前期の骨学発生学試験の成績からイエローカード数の初期値を決める。
小テストの成績に応じてイエローカードは-1 ~ +1枚の範囲で変動する。成績が良ければイエローカードは負の値にもなる。
イエローカード所持者は実習中に口頭試問を受ける。口頭試問は主に御遺体を用いるが、発生学、骨学、神経解剖の範囲からも出題されることがある。
口頭試問に合格した場合、イエローカードを1枚減らせる。
全実習が終了した時点でイエローカードが0枚以下の学生は合格とする。イエローカードを1枚以上所持している学生には再試験を課す。
なおイエローカード数が多すぎると判断された場合、再試験の受験資格が認められないことがある。
<教科書>
  1. T.W. サドラー著 ; 安田峯生, 山田重人訳, ラングマン人体発生学 第11版, メディカル・サイエンス・インターナショナル, ISBN:9784895928397,
    (2016年出版)

  2. 寺田春水, 藤田恒夫著, 解剖実習の手びき 11版, 南山堂, ISBN:9784525103118,
    (2004年出版)

  3. Frank H. Netter著 ; 相磯貞和, 今西宣晶訳, ネッター解剖学アトラス : 電子書籍付, エルゼビア・ジャパン,南江堂 (発売), ISBN:9784524230082
<参考書>
  1. T.W. Sadler ; computer illustrations by Susan L. Sadler-Redmond ; scanning electron micrographs by Kathy Tosney ; ultrasound images by Jan Byrne, Hytham Imseis, Langman's medical embryology : pbk, international ed 14th ed, Wolters Kluwer, ISBN:9781975114848,
    (2019年出版)

  2. 寺田春水, 藤田恒夫著, 骨学実習の手びき 第4版, 南山堂, ISBN:9784525103248,
    (1992年出版)

  3. 伊藤隆原著, 解剖学講義 改訂3版 / 高野廣子改訂, 南山堂, ISBN:9784525100537,
    (2012年出版)

  4. 坂井建雄, 河原克雅総編集, カラー図解人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版, 改訂第4版, 日本医事新報社, ISBN:9784784931811,
    (2021年出版)

  5. Richard L. Drake, A. Wayne Vogl, Adam W.M. Mitchell [原著] ; 秋田恵一訳, グレイ解剖学, エルゼビア・ジャパン, ISBN:9784860346607,
    (2019年出版)

  6. Michael J.F. Barresi, Scott F. Gilbert, Developmental biology : [pbk.] International 12th ed, Sinauer Associates/Oxford University Press, ISBN:9781605358741,
    (2020年出版)

  7. Scott F. Gilbert著, ギルバート発生生物学, メディカル・サイエンス・インターナショナル, ISBN:9784895928052,
    (2015年出版)

  8. chairman of the editorial board, Peter L. Williams ; editorial board, Lawrence H. Bannister ... [et al.], Gray's anatomy : the anatomical basis of medicine and surgery 38th ed, Churchill Livingstone, ISBN:9780443045608,
    (1995年出版)

  9. Keith L. Moore, Arthur F. Dalley II, Anne M. R. Agur, Clinically oriented anatomy : [pbk] 8th ed, Wolters Kluwer, ISBN:9781496347213,
    (2018年出版)

  10. Michael Schunke, Eric Schulte, Udo Schumacher ; Illustrationen von Markus Voll, Karl Wesker, Allgemeine Anatomie und Bewegungssystem 2., uberarbeitete. und erw. Aufl, Thieme, ISBN:9783131395221,
    (2007年出版 Prometheus : Lernatlas der Anatomie)

  11. 前田 恵理子著, 解剖実習室へようこそ, 医学書院, ISBN:4260100807,
    (2005年出版)

  12. 松村讓兒著, 臨床につながる解剖学イラストレイテッド, 羊土社, ISBN:9784758120258,
    (2011年出版)
[実務経験のある教員による授業科目の概要]
医師として実務経験のある教員が講義、実習を行っている。(発生学特別講義、肉眼解剖学実習)