山梨大学電子シラバス>検索結果一覧>授業データ



授業科目名 多文化社会とことば
時間割番号 CPYK31
担当教員名 長坂 香織
開講学期・曜日・時限 後期・(未登録)・(未登録) 単位数 1
<対象学生>
全学部生
<授業の目的>
この科目は「連携開設科目(主幹大学:山梨県立大学)」です。
授業の実施日については、大学ホームページ(https://www.yamanashi.ac.jp/campuslife/332)に掲載「教養教育連携開設科目履修ガイド」の令和4年度連携開設科目(主幹大学:山梨県立大学)一覧(PENTAS YAMANASHI )を確認してください。

コロナ禍で在留外国人数は僅かに減少しているが、令和3年6月末現在、我が国の在留外国人人口に占める永住者の割合は約3割を占め増加傾向にある。また、外国人労働者数は年々増加している。人口減少の日本社会、日本経済にとって、外国人住民はなくてはならない存在となっている。
そのような中で、「多文化共生」ということばが使われるようになって、少なくとも25年以上が経過している。共生にあたり3つの壁「ことば、文化、制度」があると言われているが、この四半世紀、これらの壁は低くなったのだろうか。「共生」への眼差しは、日本社会でどれほど育まれたのだろうか。
本講義では、多文化共生社会/異文化コミュニケーションにおける複雑に絡み合った「3つの壁」の内、「ことばの壁」に焦点をあて、乳幼児期からの言葉の発達と母語・継承語による関わりを含めた、多文化共生社会における言語支援について理解し、多文化共生に向けて、その知識を仕事や人生などにどのように活かすか、自分には何ができるのか考えることを目的とする。
<本授業科目による獲得・涵養が特に期待されるコンピテンシー>(能力・資質)
全学共通教育科目向け
記号コンピテンシー(能力・資質)説明 
A共通教養多様な知識の獲得単位を取得した教養教育科目の概要と、重要な基礎的事項を説明できる。
B批評力学んだ内容を自らの言葉で的確に論評・伝達できる。
C地域理解自らの生活の場である地域の特色・課題を説明できる。
D異文化理解と外国語リテラシー自文化と異文化に対する知識と理解を基に、自己や社会のあり方について相対的視点から意見を述べることができる。
「英語」で自らの専攻分野の内容を理解し、その内容について簡単に表現することができる。
「ドイツ語・フランス語・スペイン語・中国語」で基礎的な内容について読み書き、口頭でのやりとり・意思疎通ができる。
<到達目標>  到達目標とは
目標NO説明コンピテンシーとの対応
共通
1異文化コミュニケーションにおける「壁」について説明できる。D
2外国での子育てにおける母語・継承語の重要性について説明することができる。B
3多文化共生社会における言語支援について例をあげて説明することができる。B
4コミュニティ通訳と、一般通訳および観光通訳との違いを説明できる。A
5やさしい日本語を話すとき、書くときの注意事項について理解することができる。A
6多文化共生社会にむけて、自身に何ができるのか考えることができる。C
7やさしい日本語を使うことができる。D
<成績評価の方法>
目標No割合評価の観点
120%多文化社会におけるコミュニケーションで何を考える必要があるか理解し、説明することができるか、振返りと発表から評価する。
210%母語・継承後教育の必要性について考え、説明することができるか、振返りから評価する。
320%多文化共生社会における言語支援について例示すると同時に、その中で自分ができる言語支援について考えることができるか、振返りと発表から評価する。
410%コミュニティ通訳の特徴と重要性について理解できているか、振返りと発表から評価する。
510%言語支援の一環としてのやさしい日本語が書けるかまたその重要性を理解しているか、振返りから評価する。
620%多文化共生が進む地域に暮らす者として、自分自身にできることを考えようとする姿勢があるか、振返りと発表から評価する。
710%多文化共生で必要とされているやさしい日本語について理解しているか、振返りから評価する。
合計100% 
<授業の方法>
各回は、下記授業内容と、それに関する質疑応答、意見交換、また、時間に応じて異文化コミュニケーションのエクササイズを行う。原則として対面ですが、学外の方にはオンライン同時配信も行います。
<受講に際して・学生へのメッセージ>
授業への積極的な参加を求めます。
<テキスト>
  1. なし
<参考書>
  1. 岡本夏木著, ことばと発達, 岩波書店, ISBN:9784004202899,
    (1985年出版 岩波新書, 黄-289)

  2. 今井むつみ著, ことばと思考, 岩波書店, ISBN:9784004312789,
    (2010年出版 岩波新書, 新赤版 1278)

  3. 今井むつみ著, ことばの発達の謎を解く, 筑摩書房, ISBN:9784480688934,
    (2013年出版 ちくまプリマー新書, 191)

  4. 水野真木子, 内藤稔著, コミュニティ通訳 : 多文化共生社会のコミュニケーション, みすず書房, ISBN:9784622087403,
    (2018年出版)

  5. 文化庁 在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン,
    (https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/92484001.html)

  6. 庵功雄 [ほか] 編, 〈やさしい日本語〉と多文化共生, ココ出版, ISBN:9784866760124,
    (2019年出版 学習院女子大学グローバルスタディーズ, 5)

  7. 荒牧重人 [ほか] 編, 外国人の子ども白書 : 権利・貧困・教育・文化・国籍と共生の視点から 第2版, 明石書店, ISBN:9784750353326,
    (2022年出版)

  8. 田中宝紀著, 海外ルーツの子ども支援 : 言葉・文化・制度を超えて共生へ, 青弓社, ISBN:9784787234889,
    (2021年出版)

  9. 川上郁雄著, 「移動する子どもたち」のことばの教育学, くろしお出版, ISBN:9784874245118,
    (2011年出版)

  10. 国立国語研究所「病院の言葉」を分かりやすくする提案,
    (https://www2.ninjal.ac.jp/byoin/)
<授業計画の概要>
1タイトルオリエンテーション/在留外国人の統計と現状把握
事前学習
事後学習
予習資料を熟読
振り返りを提出
授業内容本講義を受講するにあたってのオリエンテーションを行うと同時に、在留外国人の現状について概観する。
2タイトル乳幼児期の言語獲得
事前学習
事後学習
予習資料を熟読
振り返りを提出
授業内容乳幼児期の言語獲得と思考の発達について学ぶ。
3タイトル学童期から青年期における言語
事前学習
事後学習
予習資料を熟読
振り返りを提出
授業内容母語・継承語、生活言語と学習言語、ダブルリミテッドなど、学童期から青年期にかけて見られる言語に関わる諸問題について学ぶ。
4タイトル外国人住民への情報提供
事前学習
事後学習
予習資料を熟読する
振り返りを提出する
授業内容外国人住民への情報提供の現状と課題を理解し、その課題をどのようにして解決していくか考える。
5タイトル外国人住民への言語支援
事前学習
事後学習
予習資料を熟読する
振り返りを提出する
授業内容小中高での日本語教育(日本語学習)および地域における日本語教室について、現場からゲストスピーカーを招き、その現状、課題、課題への対応策について学ぶ
6タイトルコミュニティ通訳
事前学習
事後学習
予習資料を熟読する
振り返りを提出する
授業内容コミュニティ通訳(医療、司法、行政、教育分野における通訳)の特徴、通常の通常の通訳との違いを知るとともに、その必要性について理解する。
7タイトルやさしい日本語
事前学習
事後学習
予習資料を熟読する
振り返りを提出する
授業内容やさしい日本語とその必要性について理解し、実際に「やさしい日本語」への書き換えをしてみる。
8タイトル発表とディスカッション、まとめ
事前学習
事後学習
授業を通して関心のある分野で、各自問いを立てそれについて調べ(自分なりの答えを出して)発表する準備をする。
他の受講者の発表、ディスカッションに関してまとめの振り返りをする。
授業内容各自(人数によってグループごと)の発表と、それに関するディスカッションを行い、授業をとおしたまとめをする。
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
やまなし医療通訳研究会AIMY、多文化社会の保健医療を考える会JUNTOSの代表を務め、外国人学校健診、日本語作文コンテスト、医療通訳セミナー・フォーラムなど企画運営している。
<備考>
・事前学習の資料は、その都度提示します。
・他大学の学生や社会人等とともに学ぶ「PENTAS YAMANASHI」の科目です。