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授業科目名 多様性生物論
時間割番号 LEV342
担当教員名 岩田 智也
開講学期・曜日・時限 前期・月・I 単位数 2
<対象学生>
(未登録)
<授業の目的および概要>
遺伝子から地球システムにいたるさまざまな空間スケールで生物多様性の歴史、進化および構造について学び、その維持メカニズムに関する理解を深める。また、生物多様性の機能(生態系サービス)と人間社会との密接な関係について学習する。特に、「生態学」や「地球環境科学」などで習得した基礎知識を発展させながら、進化生物学や生物多様性科学に関する理論と実践について統合的に理解を深める。
<到達目標>
1)生物多様性の意味および機能的価値について理解する。
2)生命進化の歴史と創出メカニズムについて理解する。
3)生物多様性の構造と機能およびその保全策について理解する。
以上の3つの目標への到達を通じて、生命現象の仕組みを説明することができる。
<授業の方法>
講義形式で実施する。
<成績評価の方法>
No評価項目割合評価の観点
1試験:期末期 35  %解度と応用力を評価するために論述式、記述式試験を行う。 とくに、到達目標に示した生命現象に関する項目について基本的理解度を評価する。 
2試験:中間期 35  %解度と応用力を評価するために論述式、記述式試験を行う。とくに、到達目標に示した生命現象に関する項目について基本的理解度を評価する。 
3受講態度 30  %講義に対する姿勢を評価する。 
<受講に際して・学生へのメッセージ>
参考文献や関連資料は講義中に紹介する。
<テキスト>
(未登録)
<参考書>
  1. 川上紳一, 生命と地球の共進化, NHKブックス, ISBN:4-14-001888-7
  2. 松久幸敬・赤木右, 地球化学概説, 培風館, ISBN:4-563-04901-8
  3. 和田英太郎, 地球生態学, 岩波書店, ISBN:4-00-006803-2
  4. 日本生態学会, 生態学入門, 東京化学同人, ISBN:4-8079-0598-8
  5. Frankhamほか, 保全遺伝学入門, 文一総合出版, ISBN:978-4-8299-1067-2
<授業計画の概要>
第1回:生物多様性とは
生物多様性の定義、生物多様性を喪失させる人間活動および保全に向けた国内外の取り組みについて理解する。

第2回:生態系サービスの機能的価値と定量評価
生物多様性が生み出す様々な「価値」について学習し、多様性を保全・喪失することで生じる損益について定量的に評価する。

第3回:地球進化と生物の誕生
地球の形成と原始地球の環境および生命の誕生に至る地球進化史の最初の10億年について理解する。

第4回: 生命進化と地球環境の変遷
酸素発生型生物と真核生物の出現、複数回の大量絶滅および人類の誕生など、生命進化の概要を理解する。また、生命進化と地球システムの共進化についても学習し、生物多様性の地球史的変遷を理解する。

第5回:生物の分類と系統
生物の分類体系および系統関係について学習し、分類学・系統学に基づく生物多様性と進化の道筋を理解する。 

第6回: 新たな種の形成プロセス
種が新たに形成される主な進化プロセスとして同所的種分化と異所的種分化について学習し、生殖隔離による種多様性の創出メカニズムを理解する。

第7回:生物進化のメカニズム1
集団遺伝学の基礎的考え方をもとに進化とは何か学習し、さらに進化をもたらす主要因(突然変異、自然選択、遺伝的浮動)について理解する。

第8回:生物進化のメカニズム2
進化をもたらす主要因(突然変異、自然選択、遺伝的浮動)についてより詳細に学習し、生物進化の至近要因と究極要因について理解する。

第9回:様々な進化論
ネオダーウィニズム、中立説、細胞内共生説などの進化理論を学び、多岐にわたる生物進化プロセスを統合的に理解する。

第10回:標本およびビデオ・写真教材を用いた生物多様性と進化の理解
第1〜9回で学んだ内容について、生物標本に触れながら、ビデオ・写真教材とあわせて再度解説を行うことで、生物多様性と進化の創出・維持メカニズムについて深く理解する。また、中間試験を実施する。

第11回:生物多様性の構造と機能1
種の豊富さや均等度、多様度指数など生物多様性の様々な定量方法について学習し、生物多様性の空間パターンを評価する。

第12回:生物多様性の構造と機能2
多様性の時間・空間変異をもたらす要因について学習し、多重時空間スケールにおける生物群集の維持機構について理解する。

第13回:生物多様性の保全理論1
生物群集・生態系レベルにおける野生生物の保全策として、保護地域の選定やデザイン、管理手法について学習する。

第14回:生物多様性の保全理論2
個体群・種レベルにおける野生生物の保全策として、絶滅リスク評価や遺伝的多様性の保全策について学習する。

第15回:評価:総括・まとめ
<実務経験のある教員による授業科目の概要>
担当教員は、公的および民間研究機関に対する環境管理にかかる提言および助言などの実務経験をもとに指導をします。