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授業科目名
担当教員
量子力学
小林 潔/石川 陽
時間割番号
単位数
コース
履修年次
期別
曜日
時限
TAM214 2 (未登録) 2 後期 II
[概要]
 現代社会に供する様々なシステム,それを支える電子デバイス,半導体をはじめとする物質素材の根本は,物理学により理解される.特に,ミクロな世界で起こる物理現象に基づいて,基礎からこれらを理解するためには,量子力学なくしては不可能である.昨今のナノテクノロジーの進展のおかげで,物質の構成要素である原子や分子を実空間で観察し,操作することが可能となり,ミクロな世界がより身近になっている.このような状況下では,個々の多種多様な系の量子論を展開することは,必ずしも適当ではなく,むしろ古典論と明白に異なる概念構造,理論構造を身につけることが重要である.そこで本講義では,古典論では取り扱えない現象や概念の意味するところを押さえながら,変換に対する不変量が基本的に大切な量であるという量子力学の基本的な考え方と理論構造の初歩を習得することを目的とする.<BR> 実例となる現象を通して,何故量子論が必要になったか,そこから得られた概念や法則は何かを学ぶ.さらに,物理法則を簡潔に整った形で表現でき,変換に対する不変量を直接に抽象化して取り扱うことができるブラケット記法を基礎として,量子力学の基本的な考え方,理論構造を初歩的な数学を用いて学ぶ.また,具体例として,量子ナノ構造と光科学を意識した応用を学ぶ.
[具体的な達成目標]
物質工学の根本となる専門的知識技術の習得を目指して,古典論では取り扱えない現象や概念の意味,量子力学の基本的な考え方,理論構造,基礎的知識を習得するために以下の項目を目標とする.<BR>(1)古典論では取り扱えない現象や概念の意味を理解し,例を用いて説明できること.<BR>(2)変換に対する不変量が基本的に大切な量であるという量子力学の基本的な考え方を理解し,例を用いて説明できること.<BR>(3)ブラケット記法を理解し,例を用いて説明できること.<BR>(4)物理イメージと数学手法の対応を理解し,例を用いて説明できること.
[必要知識・準備]
微分積分学,線形代数学,入門物理
[評価方法・評価基準]
No評価項目割合評価の観点
1試験:期末期 50  %具体的な達成目標のすべての項目への達成度を評価する. 
2試験:中間期 50  %主に第7回の授業までについて具体的な達成目標への達成度を評価する. 
[教科書]
(未登録)
[参考書]
  1. J. J. Sakurai, Modern Quantum Mechanics, Addison Wesley
  2. P. A. M. Dirac, The Principles of Quantum Mechanics, Oxford Clarendon Press
  3. 朝永振一郎, 量子力学I, II, みすず書房
  4. 朝永振一郎, スピンはめぐる, みすず書房
  5. 小出昭一郎・田村二郎訳, メシア 量子力学1,2,3, 東京図書
[講義項目]
第1回:量子論の起こり<BR>第2回:ケットベクトル,ブラベクトル,双対ベクトル空間<BR>第3回:ノルムと内積,オブザーバブルと演算子 <BR>第4回:Diracのデルタ関数<BR>第5回:直交規格化完全性,交換関係<BR>第6回:基底ケットと行列表現,同時対角化<BR>第7回:調和振動子,生成消滅演算子<BR>第8回:測定と不確定性関係<BR>第9回:基底変換と対角化<BR>第10回:座標表示と無限小並進移動演算子,生成子による運動量の定義<BR>第11回:座標表示の波動関数,運動量表示の波動関数<BR>第12回:ケットベクトルの時間発展とシュレディンガー方程式<BR>第13回:シュレディンガー描像とハイゼンベルク描像<BR>第14回:シュレディンガーの波動方程式<BR>第15回:まとめと総括
[教育方法]
「量子力学演習」とペアで,講義の前後には,自ら手を動かして計算する,式のイメージをつかむ,わからない点は,なるべく早めに質問するなどの習慣をつけるよう指導する.
[JABEEプログラムの学習・教育目標との対応]
(未登録)
[その他]
複素積分の復習をしておくことを勧める.