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授業科目名 西洋史演習B
時間割番号 EES208B
担当教員名 皆川 卓
開講学期・曜日・時限 後期・木・V 単位数 2
<対象学生>
2年生以上
<授業の目的および概要>
精緻な弁証法によって展開されるマルクスの『資本論』(第1巻)を読み、その論理の意義や問題点を理解することによって、近代ヨーロッパ発展の基盤となった資本主義のメカニズムや、それに対する当時の批判のありかたを学習し、近代的な議論の作法や論理的な思考力を養う。
<到達目標>
現代生活の基盤にある近代社会について、論理的な思考力を養い、社会のメカニズムを客観的に受け止める力を形成すると共に、そこから生み出された自分の意見に対する他者の批判に対し、冷静で柔軟な自己説明、自己陶冶ができるようにする。
<授業の方法>
順番を決めて『資本論』を輪読します。中で語られる理論は19世紀の例が中心で取っつきにくい上、言い回しも極度に抽象的なので(これはマルクスの趣味です。慣れると難しくありませんが)、最初は教員が現代日本の学生たちにも想像できる生活経験に照らして解説を加えます。しかしある程度まで達すると、突然スラスラと理解できる時が来るはずなので(皆さんの先輩はそうでした)、根気よく出席することが重要です。
<成績評価の方法>
No評価項目割合評価の観点
1小テスト/レポート 30  %趣旨を自分なりに理解できているかを確認します。 
2受講態度 20  %分からないことに食い下がる力を見ます。 
3発表/表現等 50  %自分なりに理解した趣旨を表明し、自分の意見を表明できるかどうかを見ます。 
<受講に際して・学生へのメッセージ>
古典の中でも難解なものに挙げられる『資本論』ですが、実は特別な知識や教養は必要なく、市場社会に生きる経験(つまり皆さんが普通に持っている経験)と「堪える力」さえあれば、だれでも理解できるように書かれています。しかし(詰め込むだけ詰め込んで、相互比較・批判する訓練はほったらかしの)情報化社会の影響で、その「堪える力」が問われます。「堪える力」の源は、忍耐力ではなくプライドです。
<テキスト>
  1. カール・マルクス, 資本論 1 第1巻 第1分冊, 新日本出版社, ISBN:4406008926
<参考書>
(未登録)
<授業計画の概要>
第1回 ガイダンス(はじめに−『資本論』とその時代)<BR>第2回 第1編 商品と貨幣 第1章 商品(1:商品の特徴)<BR>第3回 第1編 商品と貨幣 第1章 商品(2:使用価値)<BR>第4回 第1編 商品と貨幣 第1章 商品(3:交換価値)<BR>第5回 第1編 商品と貨幣 第1章 商品(4:商品の価値の本質)<BR>第6回 第1編 商品と貨幣 第2章 交換過程(5:交換はなぜ起こるか)<BR>第7回 第1編 商品と貨幣 第2章 交換過程(6:使用を目的とする交換)<BR>第8回 第1編 商品と貨幣 第2章 交換過程(7:販売を目的とする交換)<BR>第9回 第1編 商品と貨幣 第2章 交換過程(8:価値を代表する商品)<BR>第10回 第1編 商品と貨幣 第3章 貨幣または商品流通(9:商品の流通)<BR>第11回 第1編 商品と貨幣 第3章 貨幣または商品流通(10:貨幣の流通)<BR>第12回 第1編 商品と貨幣 第3章 貨幣または商品流通(11:貨幣と市場)<BR>第13回 第1編 商品と貨幣 第3章 貨幣または商品流通(12:価値の変態)<BR>第14回 第1編 商品と貨幣 第3章 貨幣または商品流通(13:増殖する価値)<BR>第15回 振り返りとまとめ