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授業科目名 公共経済学
時間割番号 LSS225
担当教員名 渡邉 靖仁
開講学期・曜日・時限 後期・金・II 単位数 2
<対象学生>
(未登録)
<授業の目的および概要>
本講義では、公共部門の経済活動・政策の存在意義や経済への影響の基礎的な理論を、実際の経済問題や農業問題の事例を参照しながら学ぶ。講義の当初3分の2では、ミクロ経済学の基本的なトピックである市場の失敗とその対処法を、余剰分析の手法を用いて理解する。そののち、必需性の高い財・サービスの代表である食料・医療を例に、その直面する課題と対処法について、実際の政策展開例を踏まえて議論する。専門用語には英文を併記し、公共経済学の理論に関して、より正確な理解と検討を促す。
<到達目標>
市場の失敗・政府の失敗がなぜ起こるのか、その理由とこれへの対処法ならびにその効果を理解する。これによって、効率と公平、貢献原則と平等原則、自由と平等などのトレードオフ関係について認識を深め、経済社会の事象を公・共・私の3つの立場から評価する視点を獲得する。「自然との共生可能な豊かな地域社会を実現するための課題を提起し、解決する能力」を涵養し、さらに経済社会の持続可能性を高める選択肢を提案し、あるいはこれをより深く検討するために、この3つの立場からの視点をバランス良く取りそろえた思考方法に慣れ親しむ。
<授業の方法>
講義
<成績評価の方法>
No評価項目割合評価の観点
1試験:期末期 70  %理解度と応用力を評価するために計算問題、記述式試験を行う。 
2小テスト/レポート 30  %小テストは理解度の確認のために適宜実施する。レポートは、課題を公・共・私の観点から評価し、自分の見解をまとめるトレーニングの一環として作成を求める。 
<受講に際して・学生へのメッセージ>
(未登録)
<テキスト>
(未登録)
<参考書>
  1. スティグリッツ (著) 藪下史郎 (翻訳), 『スティグリッツ「公共経済学」上』 , 東洋経済新報社, ISBN:978-4492313312
  2. 常木淳, 『公共経済学』, 新世社, ISBN:978-4883840373
  3. 海野敦史, 『公共経済学への招待』, 晃洋書房, ISBN:978-4771021532
  4. 八田達夫, 『ミクロ経済学1・2』, 東洋経済新報社, ISBN:978-4492813003
  5. Hindriks J., G.& D. Myles, Intermediate Public Economics, The MIT Press, ISBN:978-0262083447
<授業計画の概要>
第1回:公共部門の市場介入(1)総論
1)市場の失敗:部分最適が全体最適を導かない 2)政策介入の理由:保守とリベラル3)政府の失敗 4)政策介入コスト 5)効率と公平とのトレードオフ:社会的選択 
第2回:公共部門の市場介入(2):課税
1)政策介入手段 2)租税と資源配分 3)間接税と直接税 4)転嫁と帰着 5)課税の死荷重 6)生産抑制と課税 
第3回:公共部門の市場介入(3):補助金
1)補助金と資源配分 2)生産補助金と減産補助金 3)補助金の死荷重 4)生産刺激と補助金 5)課税と補助金の組合せによる市場介入
第4回:公共部門の市場介入(4):価格規制と参入規制
1)価格支持 2)価格低下 3)参入規制 4)価格操作と参入規制の死荷重 5)レントシーキング 6)規制のメリットとデメリット:資源配分と所得分配からの評価
第5回:独占とその要因
1)独占の発生要因 2)独占企業の行動 3)独占の死荷重 4)独占価格とマークアップ率
第6回:独占への対応
1)自然独占と規制 2)公益企業の料金規制と政策展開例:独占企業の費用に関する隠れた情報の導出政策 
第7回:複占と規制政策
1)寡占とゲーム理論 2)クールノー競争 3)ベルトラン競争 4)シュタッケルベルク 5)余剰分析による寡占、完全競争、独占の位置づけ
第8回:外部性(1)
1)外部効果と市場メカニズム 2)私的限界費用と社会的限界費用 3)外部効果の抑制(1)ピグー税(2)内部化(3)市場のダイナミズム:コースの定理(4)市場創設  4)トピクス:排出権取引 5)外部性対応の評価軸 (1)私的解決方法 取引費用>0の場合の調整:公害の歴史(2)公的解決方法 
第9回・外部性(2)
1)市場創設による外部性の解消再論 2)情報の非対称性の緩和を目指す制度設計 3)社会的共通資本 
第10回:公共財(1)
1)純粋公共財:等量消費と排除不可能性 2)価値財 3)混雑した公共財とその対策 4)公共財の評価:隠れた情報とフリーライダー 
第11回:公共財(2)
1)公共財の最適供給:(1)リンダール均衡(2)サミュエルソン基準 
2)中位投票者定理
第11回:所得分配
1)効用フロンティアと社会的厚生関数 2)功利主義 3)自由至上主義 4)中道 5)成長政策と所得分配 
第12回:貿易
1)大国と小国 2)自由貿易と管理貿易 3)関税・輸入割当と死荷重 4)幼稚産業保護 5)スミスとリストの生きた時代とその主張 6)最近の経済連携交渉と農業政策 7)財としての食料の特性は? 8)「国益」と民主主義の意思決定プロセス−中位投票者定理とその帰結 
第13回:地域政策
1)中央政府と地方政府の役割分担 2)近年の地方分権政策の動向 3)過疎法と「むらおさめ」4)農業の6次産業化の展開 5)地域の価値の評価指数 6)農業を軸とした地域活性化:理論と実践例 
第14回:医療政策
1)医療サービスと需給ギャップ 2)国民皆保険とモラルハザード 3)財・ザービスとしての医療の特殊性は?4)医療成長産業論のもたらすもの 5)ナショナルミニマムと個人の選択の自由 6)死生観と医療制度:人工授精と終末期医療
第15回:まとめ
1)公共部門の市場介入効果とその評価 2)だれのためにある社会? 3)分析の視点再論:公・共・私